我は邪王真眼の使い手、めぐみん!   作:桃玉

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今日から主人公はダストさんです!


6-3 芥どもの…相互移籍(コンヴァート )

俺の名はダスト。

この街を救った大英雄様だ。

というのも最近、魔王の幹部であるデュラハンが俺が拠点にしている街、アクセルに襲撃しやがった。

たまたまこの街に滞在していたイケすかない魔剣の勇者らが応戦してたんだが、今まで同格以上のモンスターと戦った事がなかったんだろうな、格上のモンスターに押されていたんだ。

ま、ベテラン冒険者であるこの俺が到着して、なんやかんやあって撃退したんだがな!

こりゃもう俺の功績つっても過言じゃないだろ。

 

「いや、幹部相手に震えてたアンタが何言ってんの? あたしたちが何とか引き篭もりを引っ張り出して、戦闘にギリギリ間に合っただけじゃない」

「おいおい、人聞きが悪いぜリーン。何一つ嘘は言ってないだろ」

「じゃあ聞くけど、どんな活躍したのよアンタ」

「そりゃあ…………な?」

 

うちのパーティーの紅一点であるリーンが何かごちゃごちゃ言っているが、俺は背を向けて口を閉ざした。

なぜなら俺の功績は言わずとも知れている。

共通認識がある中で英雄は自らの功績について多くは語らない、そういうもんだろ?

 

「黙ってるってことはやっぱり活躍してないじゃない。何にもないなら街の人に自慢して回るのやめなさいよ、恥ずかしい」

「そうだぞダスト。大体、俺たちが仮に活躍してたとしたら今頃クエストに何かいかずにすんでただろうに」

「テイラーの言うとおりだぜ。まったく、どうして他の冒険者たちが酒飲んでる中俺たちは仕事に行かなきゃならないんだよ……」

 

そう言ってリーンに続くのはテイラーとキース。

街を救った英雄がこんなに怠惰たぁ情けない限りだぜ。

もうちっとは俺のことを見習ってあくせく働いてほしいもんだ。

 

「そうよねぇ……このバカダストのせいでお金ないものねぇ」

「俺のせいってか!? 言っておくが俺は悪くない! むしろ俺たちは誰よりも最後に戦闘に参加したのに同じだけの報酬を貰ったんだ、時給換算で1億どころか10億だって言ってもいいだろ!」

「最初から戦いに参加してた人と同じ報酬貰ってる自覚あったんだー。ねえ、堂々とそんなこと言ってるけど恥ずかしいとは思わないの? 負い目ないの?」

「まったくだな。むしろ街の英雄ダスト様を崇め奉れやがれ!」

「最ッ低……。てか、だったらどうして今あたしたち借金返済のためにクエスト探してるのよ? ねえ、英雄気取りのダストさん?」

「なー、不思議すぎて憤りを感じるぜ。どうして街の英雄にこんな不当な仕打ちをするんだってな!」

「あはは、ダストったらホントに馬鹿。アンタが今回の報酬を全部ギャンブルでスった挙句、取り戻そうとしてパーティーメンバーのお金まで使っちゃったせいでしょうが」

 

俺はリーンたちに背中を向けた。

漢に言葉はいらねえ、背中で語るもんだ。

……別に長時間の折檻が始まりそうな予兆を感じ取って逃げようとしてるわけじゃない。

 

ただ、俺たちは英雄として立ち上がらなければならない。

モンスターの脅威に怯えている街の人々を守るためにも。

 

 

 

 

そんなこんながあって。

毎日クエストで得た金をギャンブルにつぎ込んで倍にしてさっさと借金生活からおさらばだと意気込んでいたのだが、どういうわけか俺の借金は増えるばかり。

もし幸運の女神エリスが俺の前にノコノコ姿を現したら、俺のことを不幸にした元凶としてセクハラの限りを尽くしてやる。

そんなムシャクシャした気持ちのはけ口として、最近調子に乗っている新人の冒険者パーティーの男に難癖をつけていたのだが――

 

「よっしゃあああっ! パーティーメンバー交換に応じやがったぜ、あのバカ!」

 

思わず嬉しさのあまり心の中でガッツポーズを決める。

その男、カズマとか呼ばれている最弱職の冒険者をうまい具合に口車に乗せてやり、4人の美少女とウチのパーティーメンバーを交換してやることに成功した。

しかもその美少女は全員が上級職だし……あいつ、本当に馬鹿なんじゃないか?

一時的とはいえこんな上物を手放すだなんて俺には考えられねえ。

そもそも、今日一日だけ交換という約束だったが、最弱職の冒険者よりも俺の方が強いに決まってるし、ここで俺のかっこいいところを見せつけてやればあいつのパーティーメンバーは俺のパーティーに移籍……!

ああ、おっぱいに囲まれてちやほやされる桃源郷が目に浮かぶぜ!

 

そんなこんなで今日は美女4人を侍らせてゴブリン狩りに行くことにした。

元々はリーンたちと一緒にやる予定だったんだが、いつもより豪華なメンバーにニヤついた顔が直らない。

クルセイダーが鎧や剣を持っていなかったり、いろいろとでかい方の紅魔族が挙動不審だったり、少しだけ不安要素はあるが……ま、全員が上級職だしきっと大丈夫だろ!

そう思いながらクルセイダーの揺れる乳を見て目の保養にしていると。

 

「あ、あの、ダストさんでしたっけ? その、すごく鼻の下が伸びてる気がするんですけど、ど、どうしたんですか?」

「えっと、ゆんゆんっつったか? これは持病の発作みたいなもんだ、気にしないでくれ」

「そ、そうですか……」

「そんなことお前さんたちはいつもどんなクエストを請けてるんだ? やっぱ一人を除いて上級職だけだし高難易度のクエストか?」

「そ、そんな、高難易度だなんて! 毎日普通のクエストですよ」

「そんな謙遜すんなよ。魔王軍の幹部を討伐したパーティーなんだし、そんなこと言って実はもの凄い大物と渡り合ってんじゃないのかよ」

「いえ、ジャイアントトードとかキャベツとかそういうのばかりで」

 

緊急クエストのキャベツはともかく、ジャイアントトードって……

遭遇した場合はともかくとして、上級職ばっかのパーティーが、あんな報酬が低くて誰でも勝てるような雑魚モンスターの討伐を請けるか?

 

「あ、そうか! あの最弱職が足を引っ張ってるんだな!」

「いや、カズマさんはむしろ――」

「いや悪い。仲間のことを悪く言われたらそりゃいい気はしないだろうな。だが、俺は最弱職のアイツほど足は引っ張らないだろ?」

「いや、まあ、確かにダストさんは戦士職ですしカズマさんより強いかもしれないですけど――」

「だろ? となれば上級職ばっかだし白狼の群れとかも楽勝だ! 今日はゴブリンの討伐クエストの予定だったが、こんな頼もしいメンバーがいればそれでもよかったかもしれないな!」

「ア、アハハ……だといいんですけどね」

 

胸のデカい方の紅魔族が俺から目を背け、乾いた笑いで意味深なことを呟いた。

きっと紅魔族としての本能だろう、うん、そうに違いない。

だってほかのメンバーは意気揚々と上級クエストに行こうとしているんだ。

現に――

 

「いいわねそれ! いつもはカズマが低難易度のクエストばかり選んでくるけど、たまには手応えのある大物を相手にしてカズマに私のありがたみとか再認識させましょうよ! ねえダクネス!」

「確かにそれは名案だ。ゴブリン退治ではなく一撃熊の討伐にすればよかったな。まあ、すでにクエストに出発してしまっているのだから無理な話だが」

「わりいな。しかも今日は初めてのメンツでのクエストだし、ま、次冒険に誘ってくれたら是非とも行かせてもらうぜ! 借金も早く返済しないとだしな……」

 

正直、パーティーメンバーの前ではあんな感じで振る舞っていたが、俺にだって多少の罪悪感はあるんだ。

俺の予定ではあそこで全部借金を返せてたし、むしろ金が倍になって返ってくると思ってやった訳だしな。

本当に大物討伐にいって何百万エリスと稼げたら、あいつらに恩を返すと言っちゃ何だが少し報いるためにも……

その金でもう一回倍額チャンスをつかみ取りにいってやる!

ただこのメンバーについて行くだけで戦闘に参加しなくても収入になるし、その不労所得じみた資金を元手にギャンブルすれば実質損失なんてないも同然だ。

ノーリスク勝負、俺ってば冴えてやがるぜ!

 

「そういえばダストさんも借金があるんですか?」

「俺がってよりはパーティー全体でだな。しょーがねえから俺もクエストに参加してやって…………って、今ダストさんもって言ったか?」

「き、奇遇ですね! 私たちも実は借金を返済する生活してて、この前の魔王軍の幹部を討伐したときに街に被害が出たじゃないですか」

「ああ、あの窓ガラス全破壊事件か……」

「その修繕費を私たちが持ってくれとギルドの方から言われまして、1億近くの借金があるんですよ! えへへ、な、なんか同じ状況に立ってる人が他にもいるだなんて思わなくて親近感覚えちゃうなぁ……こ、これって仲間になるべきだっていうエリス様のお導きとかなんですかね!」

「お、おう、そうかも……な?」

「ですよね!! 借金仲間どうし頑張って返済しましょうね!」

 

もしかしてこの紅魔族、ちょっと思考回路が狂ってんのか?

借金持ちって聞いて喜ぶとか、借金仲間だとか……いろいろと関わっちゃいけない部類に属してる人間だったのかもしれない……

い、いや、ちょっとくらい感性がおかしくても大丈夫だ。

中身が多少残念でもこの美少女っぷりでプラマイプラスになる、そうに決まってる!

 

「そう言えばゴブリンの討伐クエストをしていると初心者殺しが襲ってくる場合があると聞きます。大物とまではいきませんが、そいつでも討伐してみましょうか。そうすれば後続のパーティーの安全確保になりますしね」

「めぐみん、それは悪い考えよ!」

「えっと、どこが悪いですか?」

「私たちがあらかた討伐しつくしちゃえば、カズマたちのゴブリンを討伐できなかったせいで報酬は少なくなるでしょ? きっと落ち込んで帰ってくるはず……その時に私たちが大金を見せつけながら慰めれば『麗しい女神のアクア様に一生ついて行きます~!』って泣きついて来るに決まってるわ! なんて子なのかしらめぐみん!」

「そこまでは考えてなかったのですが!?」

 

このアクアってヤツも残念美人かもしれない。

プリーストとか言うし、その青い髪色みたいに清楚で落ち着きのある聖職者だと思ってたのに……

ま、まあ、何だかんだいってプリーストのスキルは全部取得してるしてるらしいし、その上余ったスキルポイントで宴会芸スキルも全部習得したとかいってるし、ちょっと清楚からはかけ離れてるが凄いやつなのは確か。

ゆんゆんと同様、性格破綻しててもお釣りがくるレベルだ。

それに、まだ4分の2がおかしいだけでほかの二人がまともな可能性が残ってる。

 

「しっかし初心者殺しか……あいつはかなり大変だぞ? かなり自信満々に見えたが、もしかしてお前らは狩ったことあんのか?」

「ないですね」

「じゃあなんでそんなに自信満々!?」

「ふっ、我が爆裂魔法は漆黒の魔獣ごときに後れをとるはずがないじゃないですか。もちろん、その相手が邪神に連なるものであろうとも同様ですがね」

 

そう言ってロリ魔法使いは自身の冒険者カードを俺に見せつける。

そのカードの討伐欄には上位悪魔やデュラハンの文字が。

なるほど、数々の強敵を撃ち倒してきた実績のある魔法があれば初心者殺しを見たことがなくてもそりゃ余裕の表情って訳か。

そう思いながら習得スキル一覧の場所に目を配ると、一番上には爆裂魔法の文字。

続いてその下を見ようとしたのだが、何かスキルは取得しているらしいことはわかったが手に隠れているせいで何も見えない。

きっと中級魔法とかを習得してるんだろう。

 

「頼もしい限りだぜ! まさか爆裂魔法を使える魔法使いと組めるだなんて夢にも思わなかった! こりゃ後で仲間に自慢しねえとな!」

「ほほう、爆裂魔法の良さがわかっているとは、あなた、さてはできる人ですね。街から離れていますし、ここならガラス全破壊事件は起きないはず……。ふっふっふ、であれば有望な冒険者に我が爆裂魔法を見せてあげましょうか!」

「えっ?」

 

何を言ってるんだコイツ……

こんな見通しのいい平原で爆裂魔法をぶちかましたらその音のせいでモンスターが来ちまうぞ?

てか、今ガラス全破壊事件がなんとかって聞こえたんだが?

ということはこの前の事件の主犯って……まさかな。

 

そう思いながら苦笑いを浮かべていると、周囲の空気が変化する。

ロリアークウィザードの杖前に収束していく膨大な魔力。

俺は魔法に関しては素人だが、その収束していく魔力は明らかにリーン使うそれとは違く、禍々しい漆黒が混じっていくように見えた。

その魔力に火花みたいな輝きが生じ始め――

 

「お、おい、なんだこのビリビリする感覚……まさか正気か!? や、やめ――」

「『エクスプロージョン』――ッ!!」

 

俺の制止は爆裂魔法の爆風と爆炎、そのすべてに巻き込まれてかき消された。

俺が慌てて伏せて爆風の影響を少しでも減らそうとしてる中、他の3人といえば――

 

「今日の爆裂魔法はなんだか結構激しめね。いつもの清涼な風の感じがないって言うかなんというか……」

「私としては熱風の加減がいつもより強く感じるし、かなりいいと思うのだが……まあアクアの言うことにも一理ある」

「総括して78点ってところかしら? 初めて爆裂魔法を理解してくれる人に出会ったからって力みすぎよ。あと、爆裂魔法をなにもない平地に向かって撃ったのも減点ポイントね。今日はクエストなのよ? まあ、いつものことだしいいんだけどね?」

 

なんなんだこいつら……

どうして爆裂魔法の威力をこう平然と受け止めてるんだ!?

特にそこのクルセイダー、アンタはどうしてそんな嬉しそうな顔してるんだよ!

他のメンツはその後ろで変な感想会開いてるし、採点まで始めるって……

俺だけびびってる状況ってありえねえだろ、本当に一体どうなってんだ!

 

「どうですかダスト! 我が爆裂魔法の威力たるや凄まじいことこの上ないでしょう!」

「お、おう、すげぇよ、もしかしてこれを魔王軍の幹部に撃って討伐し…………おい、何で寝てんだ?」

「我が奥義である爆裂魔法はその威力故に消費魔力もまた絶大……要約すると、魔力を使い果たしてしまって動けません」

「はあああ!? えっ、お前、一発で魔力つきたってのか!? 冗談だろ! てかなんで敵もいないのに撃ったんだよ! 意味分かんねえぞ!」

「なんですか、爆裂魔法の素人でしたか。いいですか、爆裂魔法は気持ちが高ぶったときに撃つものですよ」

「素人って何だよ! 初心者殺しに撃つんじゃなかったのかよ! せめてゴブリンに撃てよ! 魔法使いが使いもんにならなくなったのにどうして他の奴らは静観してんだよ、ちっとは慌てろよぉぉお!!」

 

呑気なメンバーを見て苛立ち叫ぶと向こう側の影が動き出した。

目をこらして見ると、その蠢く影の正体は、醜悪な顔立ちの人型。

 

「野性味あふれるいい具合の獣ぷりじゃないか! ふふふ、初心者殺しかと思って肩すかしを食らった気分だが、これはこれで……!」

「おい、お前は下がってろ。ここはしょうがねえから俺が行く。なんせあいつらは女の敵とも言われてるモンスター、ゴブリンだ。鎧も剣もない前衛職なんて役に立たね――」

「お構いなくぅぅう!!」

「ちょおおおい! 勝手に突っ込んでいくなよぉおお!?」

 

息を荒げているクルセイダーは俺の制止も聞かずに突進していった。

なんでこのパーティーのメンバーはこんなんばっかりなんだよ!

コロナタイトをテレポートしたら……

  • やっぱりアルダープの屋敷へ!!
  • 邪王真眼の影響で別の場所へ!?
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