「こんな年端もいかない少女の下着を公衆の面前で剥ぎ取るとはなんと鬼畜の所業! こ、これは騎士として見逃すわけにはいかない! 是非、是非とも私をパーティにいr」
「いらない」
「ん…………くぅっ///」
食い気味の拒否に顔を赤くし、息を荒らげているのはダクネス。
ご覧の通りこの人は間違いなくダメなタイプ……これ以上おかしなのを入れちゃ駄目だ!
そんなことを思う中、うちのおかしいパーティーメンバー1号と2号は。
「ねえカズマ、もしかしてこの人が昨日面接に来たって人?」
「ちょっとこの人クルセイダーではないですか! 断る理由なんてないのではないですか?」
「クルセイダーと言えば鉄壁の防御が売りの上級職じゃない! 是非入ってもらえないかしら!」
やっぱり頭のおかしいものどうし共鳴するよなぁ……こうなるってわかってたから会わせたくなかったんだが。
このままじゃ頭のおかしいやつがもう一人増えることになる。
そうすれば俺は魔王討伐なんて夢の果て、クエストを受けるたびに厄介ごとに巻き込まれて全滅する未来。
絶望だ……
いや、希望を捨てちゃあいけない!
俺たちのパーティーには、俺と同じ常識人にして苦労人の魔法使いがいるじゃないか!
そう思って俺は頼みの綱であるゆんゆんに声をかけようとして。
「新しいパーティメンバー……新しいお友達……私が求めてた青春!みんなでお出かけして、食事して、体の洗いっこして、お泊まりパーティして、それからそれから……!」
どうやらゆんゆんはおかしいメンバーのうちの一人だったらしい。
このままじゃ本当に厄介ごとばっかり巻き込まれかねない。
そうなる前に…………かくなる上は!
「ダクネス、実は俺とアクアはこう見えてガチで魔王を討伐したいと考えている。ちょうどいい機会だ、めぐみんとゆんゆんも聞いてくれ。俺とアクアはどうやってでも魔王を討伐したい。そのために冒険者になったんだ。そう言う訳で俺たちの冒険は今後過酷なものになっていくだろう。ダクネス、もしお前が魔王軍の手に渡ってしまったらそれはもうもの凄い目に!」
「ああ、確かにその通りだ。女騎士が魔王に捕まりエロいことをされるというのは昔から相場が決まっている。それだけでもいく価値がある!」
えっ、あれっ、おかしいな。今なんて?
俺の耳がおかしくなってないなら今ダクネス、エロいことされるって決まってるから行く価値があるって……
ま、まあいい、こっちは後回しだ。
「めぐみん、相手は魔王とその幹部! 一人一人が最強と言っていい集団に喧嘩を売ろうってんだ。無理してパーティに残らなくても……」
「我が名はめぐみん! 紅魔族随一の魔法の使い手にして、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操りし者! 我を差し置いて魔王を名乗るとは笑止千万、我が力の根源を解放し一片残らず葬り去ってやりましょう!」
そうだ、こいつは元々中二病全開だったわ。
マントをはためかせて周囲の注目を集め、声高らかに魔王討伐を宣言するめぐみん。
瞳は紅く爛々とした闘志の炎を宿していた。
どうしよ、痛い子二人がさらにやる気に……
こうなったら最後の希望にすがるしかない!
「ゆんゆん、俺たちは今まで誰も成し遂げられなかったことをしなきゃならないんだ。それに友達を巻き込みたくない。わかってくれないか」
「カズマさん、今、私のこと友達って……! 私、このパーティーから抜けません、ぜったい! めぐみんのこともあるけど、友達を見捨てるなんて……したくないですから」
うん、どうせこうなるだろうなって。
まあ万が一ゆんゆんだけパーティーから脱退したらそれはそれでめちゃくちゃ困るからこれでよかったんだろうが。
と、メンバー三人の誰も脱退しなかったことに嬉しいやら悲しいやら、複雑な思いをしていると。
「小さな体とちっぽけな勇気に宿した熱い想いってとこか……」
「フッ、この瞳に宿りし力で私が魔王の座を奪い取ってみせましょう!!」
「ようこそ、地獄の入り口へ! 期待してるぜ、兄弟!」
「「うおおぉぉォォォォーーー!!!!」」
荒くれ者の声とともに他の冒険者どもが歓声を上げ始めた。
まずい、なんか俺がめぐみんのお膳立てをして本気で魔王討伐をしようとしているパーティみたいになってる。
そんなことする気など毛頭ないのに。
そう思っているとアクアが俺の耳元にやって来てコソコソと耳打ちしだした。
「ねえカズマさん、なんか魔王討伐ってちょーっと怖いと思うの。ほんのちょっぴりだけどね。でもなんだかこのギルドのみんなはやる気みたいだし、魔王討伐はこの人たちに任せて私たちはゆっくりしない?」
「お前は一番やる気出せよ……」
仮にも女神なんだしさ……
というか女神とか差し置いても、魔王討伐しないと天界に帰れないから一番モチベーション高くあれよ!
そんなことを思いながらアクアとコソコソやっていると、その様子に気づいたのかゆんゆんがトテトテとやってくる。
「カズマさん、アクアさん、二人のためなら私どんなことだって……魔王討伐頑張りましょうね! って、あれ? あの、カズマさん? アクアさん? なんで二人そろって悲しい目をしてるんですか?」
疑問そうに俺たちの顔を見て首を傾げるゆんゆん。
俺、ゆんゆんにはもっといい仲間が見つかると思うんだ、そのボッチ気質さえなんとかできればだけど。
俺とアクアの心が初めて一つになった気がした。
と、その時。
『緊急クエスト! 緊急クエスト! 街にいる冒険者各員は至急冒険者ギルドに集まってください! 繰り返します……』
街中に大音量のアナウンスが響き渡る。
モンスターが街に襲撃にでも来たのかと思って緊張を感じていると、嬉々とした様子でダクネスが。
「ああ、もうこんな時期か」
「な、何だよ時期って! もしかしてこの街じゃモンスターが定期的に襲ってくるのか!?」
「モンスター? いや、そんな物騒なものじゃない。キャベツだ」
「……今なんて?」
「キャベツだ」
「…………キャベツって、あの野菜の?」
「うむ、あの緑色の葉野菜のことで間違いない」
「いや、だとしたらどうして農家の俺たちが手伝わなくちゃいけないんだよ!? ……おい、どうして俺を世間知らずなヤツを見る目で見ているんだお前ら」
めぐみんとダクネスはともかく、ゆんゆんもそういう視線を向けてくるのが解せない。
そんな中、アクアが思い出したと言わんばかりに口を開く。
「あー、カズマは知らないんでしょうけどこの世界のキャベツは…………飛ぶの」
「……なんだって?」
「聞き違いじゃないわよ。この世界のキャベツは味が濃縮しておいしくなると、食われてやるもんかと地面から飛び立つわ。海を越え山を越え大陸を超え、最終的に秘境の地で静かに息を引き取るというの」
「猛獣のニンジンと言い畑で収穫されるサンマと言い、この世界は一体どうなってやがんだ!?」
「異世界だもの、それくらい普通なのよ。だからね、そんなキャベツ、私たちが一玉でも多く捕まえておいしくいただきましょう! ってわけよ」
「へぇー……」
意味不明なこの世界の説明を聞いていると、目の前から緑色の球体が群れをなして飛んでくるのが見える。
マジかぁ……
異世界に来て、二つ目のクエストがキャベツの収穫になろうとは誰が思っただろう。
そんな中、ギルドのお姉さんからアナウンスが飛んでくる。
『みなさん、今回のキャベツは旬なので栄養価、経験値、味、どれをとっても最高基準です! と言うわけですのでキャベツ狩りの季節、奮ってご参加ください!』
「嵐が、来る……っ!!」
「「うおおぉぉォォーー!! 収穫だぁぁァァーー!!」」
やってきた緑の玉の群団に突っ込んでいく冒険者たち。
ああ、何が悲しくて異世界に来てキャベツ相手に死闘を繰り広げないといけないんだ。
「あ、そういえば言い忘れてたんだけど、農家は収穫時期が迫って凶暴化した野菜たちの世話とか収穫のエキスパートだから高レベルの冒険者の隠居先に人気で、物理もさることながら魔法も高度に使用できる彼らはよく王都の防衛に呼び出されるわ。本気を出せば魔王軍もたちまち壊滅してしまうと言われているのだけど……まあ、農業第1な彼らにそんな気はさらさらないみたいね」
……俺、馬小屋に戻っていいかな。
このすば
キャベツの収穫が終わり、ギルド内ではキャベツ料理が振る舞われていた。
俺はその目の前にある地球の物と何ら変わりなくなったその緑の葉を口に含み噛みしめる。
鮮度がよくシャキシャキという歯ごたえが小気味よく、少量の調味料で味付けされたそれはその野菜本来の甘味と旨味を生かしており、今生きていることの幸せを心から噛みしめ……
「……何故たかがキャベツの炒め物がこんなに美味いんだ。納得いかねえ……というか、こんなことするために異世界に来たわけじゃないんだが?」
なぜか悔しくて思わずぼそりと一言呟いてしまった。
そもそも異世界転生してからすべてがおかしかった気がする。
転生したその日にプリーストのおじいさんからお金を恵んでもらったし、この前のジャイアントトード討伐のクエストだって散々だったし……
もっとこう、異世界転生したらチートとかハーレムとか覚醒して新たな力に目覚めるだとかあるだろ!
そう思っているとめぐみんが。
「すみません、もう一皿サラダのおかわりをください! あと唐揚げも追加で!」
「は、はーい、ただいまー…………」
めぐみんの声に引きつった笑いで応える店員。
正直わかる、わかるぞアンタの気持ちは。
だって見てみろよ、この俺の目の前にそびえ立つ皿の高さ。
5皿とか10皿という次元ではない。
まだ俺はほんの一口しか食べてないというのに一体いつの間にこんなに平らげたのだろうか。
そもそもロリっ子の体のどこに食べ物が入るのだろうか、ブラックホールじみた胃袋に俺だってドン引きだもん。
「なあ、いくらキャベツがうまいからって食べ過ぎじゃないか? というか、自分が収穫した分を売らないで全部食べきろうとしてるのか?」
「ええ、もちろんそのつもりです」
「何平然とした顔で言ってんだこのロリっ子!? おかしい! 頭おかしいから! いや、おかしいのは胃袋の方か!?」
「キャベツはヘルシーですからね。カロリーゼロということは実質私の胃袋には何も入っていないのと同じなのです。レベルを上げるためにも、売らずにすべて食らい尽くさなくてはキャベツに失礼と言うものです」
「いろいろツッコミどころはあるが、とりあえずカロリーゼロなことも質量ゼロなこともないからな?」
と、そんなことしている間にキャベツの千切りと唐揚げのセットがもう一皿届く。
それを間髪入れず自分の横の位置に確保しためぐみんは、そのキャベツにギルドの人が用意してくれたドレッシングをかけようとして――
「ねえねえめぐみん! 今度は私の特製マヨネーズにしてみなさいな!」
「私、唐揚げにはマヨネーズではなくケチャップ派なんですが。というかわざわざ持ってきたのですか? ドレッシングがあるのに?」
「まあまあまあ、最初はキャベツだけでもいいから、そう言わずちょっとだけ試してみなさいな! これにこのマヨがとっても合うの!」
「はあ、まあ、そこまで言うのであれば…………ンッ!? 甘くてシャキシャキしてるキャベツにまろやかな酸味がとておいしいです!」
「でしょでしょ! ちなみにシャキシャキしてるのは私が鮮度を保つために花鳥風月の冷たい水で鮮度を保っていたからなのでした!」
「なるほど、ゆんゆんの瞬間凍結でキャベツの生存本能を引き上げ、それで甘くなったと……しかもそこにアクアの流水解凍。キャベツが息絶えた瞬間を狙ったおかげで氷絞めすることができたというわけですか…………これは、二人の功績を認めざるを得ないかもしれません」
なんだよキャベツの氷締めって。
あと、雪下キャベツっては聞いたことがあるが、瞬間凍結させて甘くなるなんて聞いたことないぞ?
もう何なんだよこの異世界、いちいち日本人を馬鹿にしないと気が済まないのか!?
確かにうまいけども!
そう思っていると調子に乗ったアクアが。
「フフン! 功績を認めるっていうんだったらこの女神であるアクア様を崇めてもいいのよ?」
「「「女神?」」」
「……と自分は思い込んでいる可哀想な子だよ。時折そういう発言をしてくると思うがそっとしておいてやってくれ」
「「可哀想に……」」
「なんでよお! 何で誰も信じてくれないの!」
「アクアさん、私は信じますから、信じますから泣かないでください!」
「ありがと、ありがとね、ゆんゆん! このパーティで純粋な子はあなただけよ!」
……何というか、ゆんゆんは詐欺というか悪い輩に引っかからないか心配になるな。
頬をわずかに染めて、少し照れ恥ずかしそうにアクアの頭をなで始めるゆんゆん。
年齢不詳の女神(仮)が13歳の女の子に慰めてもらっているって考えると結構事件の香りがするのは気のせいじゃない。
そんなことを思っていると、向かいの席に座ってるアクアがさっそくジョッキ空にしたらしく、それをテーブルに叩きつけた。
そして旨そうにプハーと息をついて気分を入れ替えたのだろう、機嫌が少しよくなったアクアが話し出す。
「それにしても流石はクルセイダーのダクネスね! あの鉄壁の守りにはキャベツたちも攻めあぐねていたわ!」
「いやいや、私など防御力しか取り柄がない。自分の役目を果たそうとしていただけで華のない役職だ。その点紅魔族の二人は凄かった。圧倒的な威力で他の冒険者の目を釘付けにしていたぞ」
「ええ、そうでしょうそうでしょうとも! 我が奥義爆裂魔法は邪王真眼と共鳴し、すべてを灰燼に帰すのです! 今日一番キャベツを討伐した冒険者といえば私です!」
「ああ、今思い出しただけでも武者震いが……未だかつて味わったことのない衝撃だった! 次は私に向けてあの爆裂魔法や上級魔法を撃ってほしいものだ」
「フッ、その発言、我が爆裂魔法への挑戦と受け取ってもかまいませんね? 我が操りし爆裂魔法は最強の破壊力を持つ魔法。故にキャベツの群れを葬り去ることなど容易い。次は汝が爆裂魔法の威力を前に屈するのだ! まあ、冗談ですが」
冗談…………?
その割には目が赤く輝いてるんだが本当に冗談だよな?
挑戦として受け取ってないよな!?
「何ですかカズマ、その目は」
「いや、なんかこの前、門の近くで爆裂魔法を撃ってたから騒音とクレーターで守衛の人にこっぴどく注意されたって話聞いたばっかりだから」
「さすがに冗談ですよ。私をなんだと思ってるのですか……仲間に爆裂魔法を撃ち込むほどの狂人に見えでもしましたか?」
見えてるから警戒してるんだよ。
今度また迷惑かけたら爆裂魔法を撃つことを控えたくなるような珍妙なあだ名を広めてやる。
と、ジト目を向けてくるめぐみんにそんなことを思っていると。
「まあいいでしょう、今回のカズマのかっこよさに免じてこれ以上の言及はやめておくとしましょう」
「うん? かっこいいって、何か俺したか? 結構地味に頑張ってたんだが……」
「確かに華はありませんでしたが、今回の活躍は目覚ましかったですね。まさかパンツを剥ぎ取るだけだと思っていたスキルと潜伏スキルを併用することでキャベツの隙をついて強襲するとは! その姿はまさに暗殺者の如しです」
「そ、そう言われると悪い気はしないが……」
「めぐみんの言うとおりなのだ、胸を堂々と張っていればいい。私たちが取れなかったキャベツを逃げられないうちに次々とかごの中に放り込んで回収していたではないか。おかげで私たちの手柄を逃さずにすんだ。礼を言うぞ」
「お、おう」
「そうですよ! カズマさんの颯爽と現れて仕事を終えるとすぐに気配を消して次の仕事に移行する様子は図書館のモンスター図鑑に書いてあったもぐにんにんみたいでかっこよかったです!」
「カズマ……私の名においてあなたに『華麗なるキャベツ泥棒』の称号を授けるわ!」
なんだろう、後半になるにつれて褒められてるんだかなんだかわかんなくなってきた。
もぐにんにんって何だよ、キャベツ泥棒ってのも意味わからんが!?
キャベツ泥棒のカズマなんて二つ名で呼ばれたら新手のいじめかと思って引きこもってやる!
そんなことを思っていると、アクアが続けて。
「ちなみにゆんゆんには『甘美なるキャベツ農家』の称号を授けるわ! ほら、このゆんゆんが仕留めたキャベツを使ったサラダ、甘みが増してて絶品よ!」
「いえ、そんな大したことは……。それよりアクアさんは花鳥風月でキャベツの鮮度を保ったり、疲れた冒険者たちにお水を渡して感謝されていたじゃないですか。今度私も普段使いできる初級魔法覚えてみようかな……」
「いい心がけだと思うけど、ゆんゆんにはすごい魔法があるじゃない! 上級の氷結魔法でキャベツの動きを封じたのには驚いたわ!」
確かにゆんゆんの魔法はすごかった。
ジャイアントトード討伐の時もそうだったが、めぐみんのようにオーバキルではなくちょうどいい火力で敵を一網打尽にしていた。
確か……フリーズガストと言うらしいが。
「ああ、アクアの言うとおり。今までに様々な上級魔法の使い手を見たことがあるが、ゆんゆんの魔法は誰よりも凄まじくて……も、もう一度私にあの氷結魔法を当ててくれないか?」
「あ、あの、当ててしまってごめんなさ……今なんて言いました?」
「気にすることはない。あの魔法は気持ちよかっ…………氷属性の耐性をつけるいい訓練になった」
「今、気持ちよかったって……!?」
「言ってない。とにかく訓練のためにむしろこれからもどんどん当てにきてほしい。できればもっと強く激しめに! でないと訓練にならないからな、よろしく頼む!」
「あ、えっと、は、はい……?」
ダクネスの圧に押されてたじろぐゆんゆん。
あれだ、こいつはただのドMだ。
確かにあのキャベツの攻撃、俺だったら吹き飛ばされて再起不能になるレベルだったしダクネスの防御力は凄いんだろうが……
ダクネスの両手剣は一向に当たらないし、怪我をして動けなくなった冒険者の身代わりとなって敵の攻撃を受けている中喜んでたし。
うん、仲間を守るとかそういうのを建前にして、敵の中に自分から突っ込んでいってたよな。
「この変態の話は聞かないでおいた方がいいぞ? そもそもうちのパーティーには回復だけは得意なアクアがいるんだ、ちょっとくらいの傷、わざと俺たちを傷つけようとしたんじゃなかったら気にしなくてもいい。むしろダクネスはこう言ってるんだ、もっとバンバン当ててやってもいい」
「えっ、ええぇぇーッ!?!?」
「そんなことより」
「そんなことより!? 今かなりの鬼畜発言を聞いた気がするんですが!?」
ゆんゆんが何か言っているが、俺の言葉を聞いてダクネスは体をくねらせて喜びを表現している。
本人が嬉しそうなんだ、むしろそうするべきだという俺の考えに間違いはない。
「そんなことより、ちょっと聞きたいことがあってな。なあゆんゆん、ちょっといいか?」
「あ、はい、なんですかカズマさん」
「えっと、今回も変な魔道具を使ってたのか? 今日も倒れてたし、もしかしなくてもまた魔力枯渇したのか? 一応毎回倒れてたとしても魔法の種類とか威力の面でめぐみんの上位互換だが……」
「おい、その話は聞き捨てなりませんね! 爆裂魔法は威力もさることながら無属性魔法という、悪魔だろうと幽霊だろうと神だろうと、万物にダメージを与えることができる究極の魔法なのですよ!」
「あー、そうだねー、すごいよねー」(棒)
「そうでしょうそうでしょう! わかればよろしいのです、私こそがゆんゆんの上位互換なのですから!」
確かにめぐみんの魔法は凄いが……ゆんゆんの方が魔法の種類も多いし、クレーターを作らないし、完璧にめぐみんの上位互換だろ。
そんな俺の考えを見抜けず、めぐみんは満足げに頷き、食事に戻っていった。
邪魔者がいなくなったのを見計らって、今度は小声でゆんゆんに……
「それでさ、結局大丈夫だったのか? 怪我とかあったらアクアに言って治してもらえよ?」
「あ、す、すみません、私は大丈夫です」
「なら一安心だが……魔力切れか?」
「ええ、まあ……今回は魔道具は使わなかったんですけど、ちょっと張り切り過ぎちゃった……みたいな?」
「それだったらいいんだが……次からは肩の力抜いて魔力使い切らないように調節しながら使ってくれよ?」
「…………ぜ、善処します」
善処しますって、それ、結局改善されないやつじゃ?
ま、まさかゆんゆんに限ってそんなことないよな?
そんなことを思いながらゆんゆんを見ると……
いつもオドオドしているゆんゆんだが、今はいつにも増して挙動不審だ。
そう思っていると、キャベツにマヨネーズをかけながらアクアが。
「確かにあの威力はすごかったわね! めぐみんもすごかったけど、今回はゆんゆんに軍配が上がると思うの」
「アクア!? い、今私よりゆんゆんの方がすごかったといってるように聞こえたのですが!?」
「実際にそう言ったんだろ。俺もそう思うもん」
「カズマまで!? 私の方がゆんゆんよりキャベツの討伐数が上なのですが!」
「でもめぐみんはキャベツの大半を消し飛ばしちゃったじゃない。買い取ってもらえないから報酬って意味では……」
「め、めぐみん! 今日は私の勝ちってことでいいわよね! 久しぶりに私の勝ちってことでいいのよね!」
「ぐっ……な、何を勝ち誇った様子でいるのですか? 今回の勝負はキャベツの討伐数ですよ」
「ずるい! そんなの後出しじゃない!」
そもそも、一体いつから勝負が始まってたんだよ。
というかアクアのせいでゆんゆんに逃げられてしまった……
そんなゆんゆんに対して若干不安になりながら、俺はキャベツの野菜炒めをかみしめるのだった。
ストーリー進行の早さどうですか?
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もっとはやく(伏線など要所に絞って書く)
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ちょいはやく(アニメ各話ごとに~1万字)
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今で丁度いい(アニメ各話ごとに2万字)
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もっと深掘り(アニメ各話ごとに2万字~)