由愛ちゃんがほぼ聞き手に徹していますが、まだ説明中なのでそうならざるを得なく……
すごくまどろっこしい書き方をしてしまっていますが、
ルールブック内の情報をそのまま載せるのはよくないためこのような形になっています。
ごめんなさい
「よし! じゃあ由愛ちゃんは今回妖精っていうことで……アリアンロッドだとフェイ、っていう種族なんだけどね」
「フェイ……ですか」
「うん、それに一言で妖精っていってもいろんな種類があるんだよ」
紗南さんは分厚いルールブックを机に広げ、私に見せてくれます。
「12種類いるんだけど、どれがいい? 多分能力を説明してもまだわからないだろうから、フィーリングで!」
名前と妖精さんの特徴を1つ1つ見ていく。
まだルールがわからないから、紗南さんが言う通り能力はよくわからないけど……あ。
「フェイ:フェアリー……?」
私にとってなじみのある言葉が目に入った。
「お、フェアリーはいいね!由愛ちゃんってフェアリーに縁があるもんね」
「ですね、妖精さんの役の時によく言われるので……」
「実際能力も強いし……そうだね、今回はフェアリーにしよう!」
妖精さん……なんだか、それなら楽しく遊べそうかも。
「あー、でもフェアリーって50cmくらいだから……ハーフブラッドフェイフェアリーって手もあるなぁ」
ハーフブラッド……?
「え、えっと……紗南さん、なんですかそれ……?」
私が尋ねると紗南さんはちょっと申し訳なさそうにして。
「あ、TRPGって専門用語多くて難しいよね、ごめんね! えっと、簡単に言うと妖精と人間のハーフだね! それなら見た目も人間に近くできるしイメージしやすいかな? って」
それなら、イメージしやすいかも……?
でも本当の妖精さんもいいなって私が思ってると。
「それに妖精の冒険者って珍しくて目立っちゃうからさ。由愛ちゃん、そういうの気になるんじゃないかなーって」
「ぅ……た、確かに、目立つのは少し恥ずかしい、かも」
周りの人からじろじろと見られるのを、想像して。
それだけでドキドキして、緊張しちゃうな……。
「だったらハーフの方がいいかもだね!それでいいかな?」
「はい、じゃあえっと……その、ハーフブラッド、フェイフェアリー? っていうので、お願いします」
「うんうん! じゃあ次はクラスだね! まずメインクラスから選ぶんだ。で、そのメインクラスは4つあるんだけど……」
紗南さんはぱらぱらとページをめくって。
「まずはウォーリア! これは前で剣とかの武器を持って魔物と戦う前衛職だね!」
「わ、私には向いてなさそうかも……」
「じゃあウォーリアはなしかな? 次のクラスの説明するね」
紗南さんは次へページをめくって。
「次にアコライト! ヒーラーだね! 仲間を回復して癒したり支援したりする職業だよ!」
「癒しの……職業」
アコライトの説明に私は反応して。
皆を癒したり助ける職業……素敵かも。
「そう! 由愛ちゃんには似合ってるかもだね!」
「うん……でも一応、他のも聞いてみます」
「オッケー! じゃあ次は……」
ページをめくる紗南さん。
「メイジだよ、魔法職だね! 火水風土の魔法を操って敵を倒すんだ。これも由愛ちゃんには合ってるかも? 風魔法があるからね!」
「で、でも私、攻撃はあんまり、かも……」
「そっか、自分がしっくりくるやつでいいからね。じゃあ最後!」
またページをめくって。
「最後はシーフ! 罠を見つけたり解除したりするのが得意な職業だよ。あとは回避と範囲攻撃が得意だね。ステージのギミック解除には欲しい職業だね! PTのサポート役、縁の下の力持ち的な感じもするかな?」
「そういうのも楽しそうですね、でも……」
私の考えは決まっていて。
「アコライトがいい、かな。やっぱり私は、皆を癒したいなって……」
「由愛ちゃんならそう言うかなって思ったよ。じゃあ前衛アタッカーが居ないとだし、あたしはウォーリアでやるね!」
それから、
「TRPGって本当に最初はわからないことだらけだろうけど……でも覚えちゃえばあとは楽しいから!」
って、紗南さんは言いました。
「いえ、大丈夫ですよ。新しいことを覚えるのって、わくわくして、楽しいですから……♪」
確かに知らない言葉がいっぱいで、まだよくわからない、けど……
アイドルになったばかりの頃も、知らない世界ばっかりで。
だけど、少しずつ、楽しいのがわかってきたから……
「ありがと。どうしてもTRPGって最初にルールとかを教えるのが一番敷居が高いっていうか、難しいからね……」
「ふふ、でも紗南さんの熱意は伝わってますよ」
「そう? それならいいんだけどさ。けど流石に初回からあんまり詰め込むのもだし、ルールもまだ説明してないから……スキルはクイックスタートのから決めちゃおっか。説明ばっかりもつまんないからね。それでいっかな?」
「はい、大丈夫ですよ」
「それじゃあねー……」
紗南さんはまたページをぱらぱらとめくって、なんだか悩んでるみたいです。
大変なんだなぁ、いちから説明するのって……
けど、私もお絵かきの説明するときに説明の仕方に結構悩むことが多いし、紗南さんの今の気持ちはわかる、かも……。
「いきなりジョイフルの強さを知っちゃうのはなぁ……こっちかな。よし、由愛ちゃん、これなんてどうかな?」
そういって紗南さんが見せてきたのは。
「笑顔の神子……ですか?」
笑顔の神子……って書かれたかわいい女の子のイラストでした。
「うん。ホーリーウェポンってスキルで武器の攻撃のダメージを強化する補助魔法を覚えてるキャラだよ! これなら由愛ちゃんにしっくりくるかな、って」
「確かに、いいかも……」
前で相手と戦う紗南さんに、私が魔法で支援をする。
その姿が、すっとイメージできて。
「うん、それにします」
「オッケー! アイテムとかはあたしが……」
と紗南さんが言いかけたところで。
「あ、由愛ちゃんの性格的に武器は持たないよね? このキャラ、初期設定だとメイス……んーと、棍棒みたいなの持ってるんだけど」
と聞いてきます。
「は、はい……そういうのは、持ちたくないかな」
「じゃあスタッフか……いや待てよ……由愛ちゃん。手提げバッグ、っていうのがあるけどそれにする? 武器の代わりに持つ荷物入れだけど」
あんまり私が武器を持つイメージがないから……その方がいいかも。
「バッグ、いいですね……それにしたいです」
「わかった! じゃあ細かいスキルと能力値はあたしが決めるとして……一般スキルかな、由愛ちゃんに決めてもらうのは」
「一般スキル……普通のスキルとは違うんですか?」
また知らない言葉が出てきたので、紗南さんに聞きます。
「そうだね、キャラクターの特徴みたいなものかな? 身体を動かすのが得意とか、嘘をつくのが得意とかね」
「その子の、個性みたいなものなんですね」
「そう!結構種類があるけど、雰囲気で選んじゃって大丈夫だよ。どれにする?」
って、紗南さんはルールブックを私に見せてくれます。
「……うーん……」
1つ1つ見ていって。
嘘をつくのは苦手だし、説得も、知らない人と話すのは得意じゃないし……
あ、でもゲームするキャラクターだから、私が得意かどうかは関係ないんだ……。
けど、やっぱりイメージはしづらくて。むずかしい、なぁ……
そうやって私が悩んでいると、紗南さんが声をかけてくれました。
「んー、2巻の方にもいくつかスキルが載ってるけど、見てみる?」
「そ、そうしてみます」
ルールブックは2冊あるみたいで。もう1冊の本をめくり、私に見せてくれました。
そしてそこに書いてあった最初のスキルに私は目を惹かれて。
「アニマルエンパシー……」
動物さんと意思の疎通ができるようになるスキル。
動物さんの言葉や気持ちがわかるようになるらしくて。
「紗南さん。私、これがいいかもです」
「おー、面白いスキル選んだね! いいと思うよ!」
そう言うと紗南さんは、
「じゃあ、これでスキルも取り終わったし、由愛ちゃんに決めてもらうことはいったん決まったから……」
カバンから紙を取り出して。
「これにキャラクターを書いていこう!」
「キャラクター、シート……?」
「うん、自分のキャラクターをこれに書くんだ。あ、ステータスとかはあとであたしが教えるから大丈夫! で、ちょっと細かいステータスとか所持品とかをあたしが考えてる間なんだけど……」
「は、はい」
「シートのここ、四角い枠があるでしょ?ここに自分のキャラクターのイラストを描けるんだよね。せっかくだし描いてみない?」
キャラクターシートの紗南さんが指さしたところに、確かに枠がありました。
「ここに、私のキャラクターを?」
「うん。由愛ちゃん絵を描くの得意だよね? ちょっと時間かかりそうだし、ただ待ってもらうのもだからさ」
「確かに、待つだけなのもですね……」
「キャラクターを描けばまた没入感上がるしね! でも無理にとは言わないけど……どうかな?」
少し悩んだけど、でも、今までのキャラクターのイメージを絵にしてみたくて。
「か、描いてみようかな……?」
「おぉっ、いいね! あ、でもそっか、キャラクターのイメージするならもう少ししてもらうことがあるかな!」
また紗南さんはぱらぱらとルールブックのページをめくって。
「これ、ライフパス!これを決めた方がイメージしやすいかな!」
って紗南さんは言ってから、
「えーっと、ライフパスっていうのはキャラクターの設定のことだね!もう由愛ちゃんの中でキャラクターがどういうイメージかって決まってる?」
「うーん、ぼんやりとは決まってますけど……はっきりとは、まだ……」
「じゃあこれで決めちゃおう!結構面白いよ!」
サイコロを私に2個渡してきます。
「これは……?」
「えーと、ここのページのね、出自、境遇、目的、ってあるんだけど……これを決めてどんなキャラクターか、っていうのを決めるんだよ」
「え、えっと……?」
「わかんないよね、あたしと一緒にやっちゃおっか」
「お、お願いします……!」