世界救うのも四回目。   作:名も無き一人の望み

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 続きました。

 実は特異点F終わりまでは書き溜めてあったりする。





燃える都市ではじめまして

 

 

 

 目が覚めた先に広がっていたのは、燃え盛るどこかの街並みだった。

 咄嗟にペルソナを「火炎無効」持ちのヒノカグツチに変えたことで被害は当然免れる。

 手首に当たった火の粉が熱い。……熱い?

 

 火炎無効は熱さすら感じなくなるはずだけれど、サーヴァントの形にしたことで仕様が変わったのだろうか。

 細やかな疑問を脇に置いて、一人燃える街を進んでゆく。

 

 

 ブーツの底がかつかつと音を立てた。

 見た目だけで考えると、恐らくは中学生の頃にプライベートでよく履いたブーツの筈だ。

 腰の右と左に一つずつ、重たい金属の感覚。これは認知世界でいつも使っているダブルバレルのソードオフショットガン。 左手の袖の中にも金属の感覚がするので、断言こそできないが__恐らくこちらは高校2年生、マヨナカテレビの中で使っていたスティレット。

 

 このジャケットは確か、怪盗団の時のコスチュームだったか。

 しかしジャケットの下の服は普段着と大差ない。どうにもちぐはぐな格好だ。

 

 

「……人も居ないのに、どうしたことかねえ…」

 

 

 此方側に向かって来ていた骸骨の兵士を見ながら、ぽつりと呟いた。

 先ずは敵対的な反応を示す奴らを潰す事が最優先事項だろうか。 基本やりたいことばかりやってきた弊害か、物事に優先順位を付けることは得意では無い。

 

 

「さあて…サーヴァント・フール。初陣としようじゃないか!」

 

 

 左手を虚空に軽く差し出すと、何も無い掌の上に青いカードが浮き上がった。

 掴み取って上に投げ、左袖からスティレットを取り出して真っ二つに断ち切った。

 

 

「出番だよ、ヒノカグツチ!!」

 

 

 斬れたカードの破片が飛び散り、青い炎に包まれる。

 カードの破片と青い炎が私の背後に動き__現れたのは。

 

 

「…は……カグツチ?!」

 

 

 呼んだのとは違う、私の固有ペルソナ__その第一形態だった。

 カグツチ。日本神話の火の神にして、創造神殺しという珍しい逸話を持つ神__そして、私のペルソナの一体。

 しかし「カグツチ」であるのは初期も初期。成長と共に第二段階はヤタガラス、最終段階でヒノカグツチになった、筈なのだが。

 何故召喚に応えたのがヒノカグツチではなくカグツチなんだ? 驚きで思考が止まった。

 

 何も、敵はその隙を見逃すほどバカではないし優しくもない。

 先程より明らかに縮まった私と骸骨の距離。 止まった頭を無理矢理動かす。

 疑問はあとでテオドアかイゴールに。今は戦闘が最優先ということくらい、順序立ての苦手な私でも分かる。

 

 

「仕方ない、久し振りにきみと一緒に戦うとしよう!

 ブッ飛ばしちまえ、アギだ カグツチ!!」

 

 

 まずは小手試しといきたいところだったが。お生憎さま、そんなことができそうな量ではない。慢心で無駄に傷を負いたくない。

 しかしマハラギダインをブッパして終わり、ではあまりにも味気ないだろう。 敵は大体どのくらいの強さなのか、「サーヴァント」となった私の力はどれくらいのものなのか。この先の為にも確かめておきたい。

 故に、単体で最小火力を発揮するアギを指示した……はず、だったのだけれども。

 

 カグツチを起点として放たれた大きい一つの火球は、数十体の骸骨兵を諸共吹き飛ばして燃やした。

 骸骨はもう一体として残ってすらいない。 過剰火力だったのか、地面にちろちろと揺蕩う炎が残っていた。

 

 

「……カグツチでも十分なほど強くなってるな…」

 

 

 半ば呆然と呟いた。

 これペルソナ使うの最低限で良いんじゃね…? バフかけて殴るだけでも十分強いのでは…?

 

 次は身体能力を確かめようか、サーヴァントになったことで生前よりは強化されたであろう素の力のことも見ておきたい。

 

 

「あ、人が居る…!」

 

 

 思わず零れたといった雰囲気の、その声に振り返った。

 

 黒い髪の少年、紫色の髪の少女、それから銀色に見える髪の少女と、フードを被った男性。

 少年に警戒心と害意、敵意は無さそう。紫髪の少女もそれらは薄い。

 極端にそれらが高いのは銀髪の少女とフードの男性か。

 

 

「…知らねえ顔だな。此処の聖杯戦争に参加したヤツじゃねーのか…?」

 

「敵性反応は無さそうです。泥に汚染された感じも……」

 

「無駄に戦うことはしたくないからねえ。君達も私に危害を加えようってんじゃないだろう?」

 

 

 聖杯戦争。

 与えられた知識の中にあったが、この場所では聖杯戦争が行われたのか?

 フードの彼は「知らねえ顔」と言っていたが、つまり彼は此処の聖杯戦争の参加者ということ…?

 駄目だ、与えられた知識で補填できていない。 どういうことだテオドア。いやイゴールに問うべきか。

 

 

「えっと…俺は藤丸立香です!!

 この子がデミ・サーヴァントのマシュで、こっちがオルガマリー所長!」

 

「ご紹介に預かりました、マシュ・キリエライトです…!」

 

「人理継続保障機関フィニス・カルデア所長、オルガマリー・アニムスフィアよ」

 

 

 デミ・サーヴァント、それから人理継続保障機関フィニス・カルデア。

 知識としては知っているが、まさかこんなにも早く出会えるとは思っていなかった。

 …いやまあ、ご都合的な話で考えてみると当然か。 早く出会わねばジ・エンドである。救いは無い。

 

 

「俺はキャスターだ。…まあ事情は言わずとも分かって欲しいもんだな」

 

「これでもサーヴァントの端くれだ、その程度分かるよ。 私のことは愚者(フール)と呼び給え」

 

「分かった、フール!」

 

 

 真名を隠す為に、クラスを呼び名にするように要求するサーヴァントは多いと知識にはあった。

 エクストラクラス「愚者(フール)」が、私達ペルソナ使いのサーヴァントにはあてがわれている。

 中途半端な私達をどう扱うか、悩んだ末の決定らしい。ある種の力業だ。

 

 他の英霊と違って後世に伝わっておらず、民衆にも知られていない故に切り離してしまえば器が小さくなる。 しかしそのままブチ込むには情報量が多い。

 まあそりゃそうよな、気持ちはわかる。気持ちは。

 認知がどうこうでなんちゃらかんちゃらで世界救った奴とか情報量が多すぎて無理だよな。私も無理だ。

 

 

「…さて、ええと…特異点と言うのだったかい、この街は?」

 

「そこまで知ってるの、フール!?」

 

「これでもサーヴァントの端くれさ私は。情報は座に居た時に手に入れたよ」

 

 

 立香によると、此処は冬木市。 かって聖杯戦争があった場所で、キャスターは元々参加者だったという。

 特異点と化した理由は十中八九聖杯だ、と声だけの存在が言った。

 

 

「情報提供に感謝するよ。ところで君は誰だい?」

 

『ああ…僕はロマニ・アーキマン。 カルデアの医師だよ、宣しく フール』

 

「ロマニね、重ねてには成るけれど御説明有難う。 右も左も分からない若輩者で申し訳無いけれど、此度の旅路では宜しく頼むよ」

 

 

 声だけ、とは言えどサポートがあるのは心強い。

 双葉や風花、りせがこんなポジションだったよな。 懐かしい思い出の中に似たような状況を思い出した。

 

 で、この特異点をあるべき形に復元しなければいけないのか。

 その為にやることは聖杯の回収、と。

 

 

「で…当の聖杯とやらは、一体何処に在るんだい?」

 

「ああ、それは丁度さっきコイツらに話したんだが…」

 

 

 現地人…現地サーヴァントであるキャスターは、聖杯の所在を知っているようだ。

 そして今向かっているのがその聖杯の在処、とのこと。

 

 

「着いたぜ、此処だ」

 

「ダンジョン感がありありと滲み出ている…」

 

「へえ、確かに奴染みた気配がするねえ。

 苛立ってきたなあ、聖杯って破壊しても良いのかい?」

 

「フールさん!?」

 

 

 聖杯は死すべし。 ジョーカーもそう言ってた。…多分言ってたはず。

 個人的に認知から生まれた聖杯と神には多大な恨みと怒りがあるので、認知から生まれていない聖杯と神でも何となくムカつく。 聖杯死すべし。慈悲は無い。

 

 

「……嫌な予感がするねえ。先に進ませて貰っても良いかい?」

 

「…や、構わねえけどよ。 ちったあ坊主共の手助けしてやろうとかはねえのか?」

 

「知り合いなのだろう?なら君に任せるさ、キャスター。

 私は私で立香達の役に立てることがあってねえ、適材適所と言うだろう?」

 

「……あのなあ…」

 

 

 薄暗い洞窟を進みながら、誰にも目線を向けることなく一つの提案をした。

 

 これはあくまで勘にすぎないが、私の勘はよく当たる。 特に「死」に関しては尚更だ。

 

 

「私には信用もカスも無い状況だからね、それに君達が不安なのもよく判る。

 けど__言えないけれど、私にも君達にとっての最善手を打つことが出来るんだ。

 私の行動を、それからキャスターとマシュの力を、信じて頂けないかな?」

 

「…あのなあ……それ出されちゃ頷くしか無えだろうが、フール…」

 

「不肖ですが…マシュ・キリエライト、努力いたします…!」

 

『まあ…………不安ではあるけれど、そこまで言うのならね』

 

「…仕方ないわね」

 

「俺も怖いけど…でも俺の人を見る目は確かだから!フールを信じる!!」

 

 

 ああ、良かった。

 生き残ったのが彼らで、彼らが初めて出会ったのが彼で、本当に良かった。

 

 

「じゃ、キャスター。 彼の相手は頼んだよ、君は現地サーヴァントなんだから知ってるんだろう?」

 

「……は? おい待て、何の話を…」

 

『後方からサーヴァント反応! 接近中だ、気を付けて!!』

 

「コレかよ!?まあそんな気はしてたが…!」

 

 

 「待て!!」とのキャスターの叫びを背後に駆けだした。

 軽く前方に跳ねると、数秒前まで私の体があった場所に剣が飛来した。

 剣ってことはセイバー……いやセイバー?この距離で剣ぶん投げる奴がセイバー? サーヴァントのクラス分類というものはよく分からない。 私達「愚者(フール)」も、弓矢を使う奴なんてほとんど居ない癖に適性にアーチャーがあったりする。 どういうこっちゃ。

 

 

「悪いねキャスター、戦闘は君に任せるよ!」

 

 

 戦闘音が小さくなった辺りで足を止め、タロットカードの要領で青い鍵を取り出した。

 ベルベットルームに招かれた時に渡された、契約書の鍵だ。

 

 

「さて。ちょっとご相談なんだけど__」

 

 

 途端 目の前に現れた青いドア。

 鍵を差し込んで捻り、手応えを確認してから取っ手を引き、ドアを開いて中に体を滑り込ませた。

 

 

 

 









「キャスターなのかセイバーなのかアーチャーなのかアルターエゴなのかわからん」→「じゃあ新しいクラス作るか」→エクストラクラス:フール 爆誕



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