世界救うのも四回目。 作:名も無き一人の望み
P5Rの肩ズンフィギュアガチャがあったのでやったらジョーカーが出ました。
嬉しさに打ち震えて書き溜めを放出します。
素で勝てるわけが無いので、宝具を切ろうかと一瞬思ったが……この状況で、有効打になりそうな物が、殆ど無い。
一つ。今毒を使って何になる。二つ。人には効かない。三つ。此処でぶっ放したらマシュや立香諸共巻き込んでしまうだろう。
故に、宝具を使用する事は断念する。というか元々ペルソナ使いに必殺技なんてものは無い。仲間の宝具を見させて貰ったら、なんで宝具になってるんだそれとかもあった。
だから、使うのは別のもの。始まりにして終わりを消した、本能より具現化する才能のペルソナ。
腰に携えた二つの銃ではなく、どこからか一つの銃を取り出した。
何時もこれでペルソナを召喚する時は手が震えた。今も震えている。
しかしてこの恐怖を乗り越え、戦う者にこそ彼らは力を貸す。
「来い__」
右手に持った銃を脳天に突き付け、震える手に構わず前を見据え、睨みつける。
恐怖が、怯えが、周囲に悟られないように。
人差し指に力を込める。
「ヒュギエイア!!」
ギリシア神話、半神半人の名医であるアスクレピオス…の、娘。衛生を司る女神、のはずである。私の記憶が正しければ。
何せ神話やらは量が膨大な上に登場人物が多い。固有名詞を覚えるのは苦手なんだから勘弁してくれ。
私が銃を当てた逆側の頭から何かが割れる音と共に青い炎が舞い、それは私の背後にまわって白衣をまとった女性的な姿に変化した。
『な…ヒュギエイア、ギリシャ神話の衛生の女神?!
……いや、サーヴァント反応は無いし彼女に関する数値も殆ど変化は無い…
その名を冠しただけの使い魔のような存在、なのか…?』
「説明は面倒だ、そう思って貰って構わないよ!」
ヒュギエイアは回復及びサポート特化のペルソナで、戦闘には余り期待できない。
今の私にできることはサポートだが、何もしないよりは数倍マシだ。
「メディラマ、それからヒートライザ!ついでにランダマイザでデバフかけちまえ!」
回避不可能のバフとデバフ、ついでに回復。
ヒートライザ・ランダマイザでかなりの魔力が吹っ飛んだが、何のこれしき。こちとら魔力Aだ!
「うぉ…回復か!?」
「バフ付きさ、微力だけどね!」
腕を振り下ろした巨人の攻撃を、騎士王は受け止めて僅かに顔を歪める。
こちらにバフ、あちらにデバフでようやくアレか。もしかすると元々何かしらのバフがかかっていたのかもしれない。ならば。
「もう一丁、ラクンダ!」
「小賢しい…!」
こちらに剣を構えた騎士王に、咄嗟にペルソナをカグツチに切り賛えてアギを放った。
更に木の巨人の薙ぎ払い。その防御で気が逸れた隙に、再びペルソナをヒュギエイアに変えてキャスターにタルカジャとマカカジャを付与した。
ついでにそろそろ踏み込んでみるか、とチャージを積んでみる。
息を潜めて、気配を消して。自分は今、此処に居ない者だと思え。
私の適性、アサシンクラスのクラススキルである『気配遮断』。発動のイメージが全く掴めないが、やるしかない。
「マシュ、立てるか?」
「はい、フールさんが回復魔術らしきものを使ってくださったので...」
自分を殺せ。見つかれば死あるのみ。
息を殺し、気配を殺し、死を覚悟して影に身を潜める。
何れ来て欲しいそのときを、じっと、じっと待つ。
「小癪な…!」
木の巨人…ウィッカーマンに向けて振り上げた剣に、黒い光が収束する。
しかし、そこを見逃す道理は無かった。
「私が生きる為に私に殺されてくれ、騎士王アーサー・ペンドラゴン!」
背後への移動を終わらせたフールが、出したスティレットで、人間でいう心臓部分を刺し貫いた。
騎士王は咄嗟に背後に向けて剣を振り抜いたが、魔カが不十分だった為に宝具とまでには及ばない。
スティレットを回収して振り抜かれた腕の下を潜り抜け、魔力の暴風をモロに受けながらもヒュギエイアのディアで回復して結果的には無傷で不意打ちを終わらせた。
それに、その隙を見逃さないキャスターでもない。
木の巨人の腕の一振りが、騎士王の体に直撃した。
「くぅ……っ!」
そこに接近するは、先程の騎士王の聖剣を受け止めた雪花の盾。
「あああああああああああっ!!!」
マシュの、今の全力を。魂を乗せた、全力の一撃。
体制が崩れた騎士王の死角から、全力のその一発が叩き込まれた。
スティレットで砕かれた心臓の霊核もあり、光の粉となって消えてゆく騎士王。
「…お前達の勝ちだ。マスターたち、光の御子、盾の娘、そして女神の使役者よ。
しかし、聖杯を巡る旅…グランドオーダーは、まだ始まったばかりだ。 続きは長い」
「え、まだやんの…?」
グランドオーダー、聖杯を巡る旅。
中々終わらないだろうとは思っていたが、まだ先があるとは。
できるだけ早いうちにペルソナを合体させたり入手したりして、私自身も強くならねば。主にペルソナ部分で。
「私に勝ったのだ、持って行け」
放り投げられた聖杯を慌てて受け止める立香。
やっぱり厄ネタの気配がする。ねえそれ壊していい?
違和感を覚えて手に視線を落とすと、騎士王と同じように光の粒子となって消えていこうとしていた。
特異点修復が終了すると、召喚されたサーヴァントは座に還るらしい。私達の座はあのベルベットルームだ、聞きたい事を色々と聞いておこう。
「坊主、お前らと会えて良かったぜ。次があれば是非ランサーで呼んでくれ!」
「私も呼んでおくれ。高めの林檎かカステラがあれば必ず行くよ?」
ま、そんなもの無くても行くのだけれど。
なんなら呼ばれなくても行く。行くしかない。
「それじゃ、また会おう!」
「またな!」
完全に目の前が白い光で包まれて__そして、目を閉じた。
この先は彼らに任せるしかない。
どうか、ご武運を。