世界救うのも四回目。   作:名も無き一人の望み

6 / 8
星見台ではじめまして

 

 

 

 特異点F、修復完了後。

 

 「死んだ」と確かに言われ、確かに死んだだろうに、何故かカルデアに生きたまま戻れたオルガマリーに数人の人手が割かれる中、人類最後のマスター、藤丸立香とデミ・サーヴァントのマシュは、他の職員に見守られながらサーヴァント召喚に踏み切っていた。

 

 

「おいおい…槍の方で呼べって言っただろ?」

 

 

 特異点Fで味方となった、キャスター。真名をクーフーリン。

 

 彼を筆頭として、アーチャーのエミヤ、ライダーのメドゥーサ…など、特異点Fで何かしらの関わりを持ったサーヴァントが多く召喚された。 当然、黒い騎士王を始めとした不在は居る。

 関わりを持っていないはずのアサシン、佐々木小次郎やキャスターのメディアが呼ばれた時は職員諸共ひっくり返ったが。 エミヤ曰く、特異点F…冬木の聖杯戦争で呼ばれていた面子らしい。

 

 

「…召喚リソースはあと一回、ですか……」

 

「ドクター、高めの林檎とカステラって…」

 

「…………無さそう、だなぁ…」

 

「おや。カステラなら、私が作ろうかね?」

 

「多分まず材料すら少ないかと……」

 

 

 そして、フールは未だ来ない。

 別れ際に言っていたように林檎とカステラを捧げようとドクターに聞いたが、残念。今のカルデアは酷く物資に乏しい。

 カステラなら…と言ってくれたエミヤ。残念ながら材料もあるかどうか。

 

 

「ごめんフール、来て…!!」

 

 

 陣に青い光が走り、陣から溢れ出た光が空中で縦長の長方形になる。

 やがて長方形の中に模様が刻まれ、取っ手らしき場所が生まれ__

 

 

「……ドア?」

 

 

 そう。それは間違いなく、青い扉だった。

 当然 職員もサーヴァントも、こんなもの知る筈が無い。

 

 危険かもしれない。そんな心配を余所に、ゆっくりとドアが開いた。

 さらりと黒髪が見える。

 

 

「…おや、出遅れたみたいだね。申し訳ない、少し時間がかかってしまったよ」

 

 

 特異点Fでよく聞いた、どこか先生じみた口調。

 

 

「フール……!!」

 

「如何にも。また会ったね」

 

 

 どこか貴族じみた格好、黒い髪、薄紫の瞳。

 後ろ手にドアを閉めたフールは、ひらひらと手を振った。

 面倒ごとに巻き込まれた、とでも言うような渋い表情で。

 

 

「サーヴァント、エクストラクラス、フール。名はスノーホワイトだ。

 白雪と呼んでもらっても構わないよ、マスター。どうぞ宣しく」

 

「スノーホワイト……って、"白雪姫"!?」

 

「さてね。真偽の程は棺の中に閉じ込めておこう。

 死体愛好家(ネクロフィリア)に暴かれなければ良いのだけれども。」

 

 

 遠回しに王子のこと死体愛好家(ネクロフィリア)って言ったな。

 なんか絶妙に白雪姫っぽいのにぽくないのは何なのだろうか。

 

 どこからか持って来た林檎をお手玉のように放り投げ弄びながら、ふと飽きたかのように齧り付いた。

 しゃくり、と瑞々しい音がする。

 

 

「残念乍ら林檎もカステラもないようだからね、持参したよ」

 

「一回は死因になったはずなのに、林檎好きなんだ…」

 

「それ以前に2回殺されかけて、尚も林檎を食べたんだ。死因に心的外傷なんて存在しないに決まっているだろう?」

 

 

 一度、紐で腰を絞められ。

 二度、毒の櫛で毒殺され。

 三度、毒林檎を喰らって姫は死ぬ。

 

 死姿に一目惚れした王子が棺を運ぶ際、何かにぶつかった衝撃で、欠片がぽろりと零れ落ち、姫様は目を覚ます。

 そうして姫様と王子様は結ばれ、御后様は熱した鉄の靴を履かされて死ぬまで踊りましたとさ、めでたしめでたし____

 

 

死体愛好家(ネクロフィリア)と結婚することの何がめでたしなんだい、馬鹿共。まあ御后が死んだ時はめでたしだと思ったけれどもね」

 

「コワイ……グリム童話コワイ………………」

 

「何を今更。因みに言うけど、御后は実母だよ」

 

「ミ゜」

 

 

 芯を残して綺麗に齧り食べきった白雪。淡々と語る事実が背を冷やす。

 グリム童話が怖いって前々から友人に聞いたことはあったけど、本人に言われると説得力が違う。

 

 

(……本当にそうなのか私は知らないのだけれど。

 でもまあ、本物の白雪から貰った霊基の一部がそう言ってるんだ。多分そうなんだろうね)

 

 

 まあ知った顔して喋っているソイツは本人じゃないんだが。

 本人の記憶や情報、能力をちょぴっとずつ貰っただけのごく普通の世界を救った一般人(笑)のサーヴァントである。わけがわからないよ。

 

 

「まあ、任せ給えよ。幸いにも世界滅亡の危機には慣れているんだ」

 

「何があったんだい白雪姫!?!?!?」

 

「グリム童話コワイ………………」

 

「な…なんか思ってたのと違いますね…」

 

 

 慣れたくなかったんだけどねえ、こちとら。

 内心そう呟く白雪を他所に、カルデアは旅の始まりに向けて歩みだした。

 

 

 

 

 






 本名は「北原白雪」なので嘘は言ってない。
 「白雪(スノーホワイト)」だから嘘は言ってない。別に「白雪姫」とは名乗ってないし!!!






白雪姫「私の名前使うの?なら私の名前の認知使ってるらしいし、よしみで霊基ちょびっとあげるわ」

白雪「やったー、貰っとこ」




 なお同じノリで他の英霊(オリ英霊、オリ鯖)からも霊基ちょびっと貰っているのでどこかでとんでもねー事故が発生する。


 因みに、童話出身の白雪姫を名乗ってしまったことで、ナーサリーが来ても事故が発生する。作者のグリム兄弟じゃないけど、同じ童話作家のアンデルセンが来ても事故る。



 あとは居ないか…と思いきやベルベットルームで色々と合体させたペルソナを使用しており、そのペルソナと同名の英霊(幻霊)からも霊基を貰っているので、カルデアにサーヴァントが増えれば増えるほど事故の確率は上がる。
 つまり物語が進めば進むほどカルデアで北原白雪が一息つける場所はゴリゴリと減る。
 終わるころにはもうずっとベルベットルームにいるレベルになりそう(こなみかん)


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。