Hellbound Echoes   作:ゲット虚無

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彼の素顔

 

けたたましい銃声がオフィス内に響き渡った。

破片が飛び散り、壁際に設置されたテレビが無残にも撃ち抜かれ、画面がひび割れて崩れ落ちる。煙が立ち上る中、銃口から僅かに硝煙を吹かせる銃を構えたままのブリッツが、椅子にふんぞり返っていた。

 

「交換だ、モックス」

 

完全に仕事を放棄したかのような態度で、ブリッツはモクシーに命じる。

モクシーは深いため息をつくと、倒れたテレビを引きずりながら、新しいものを用意した。慣れた手つきで配線をつなぎ、電源を入れる。

 

「気が乗らん、次だ次」

 

ブリッツはモクシーにチャンネルを切り替え続けさせる。

ドラマ、ニュース、コメディ……どれもイマイチだったらしく、彼は眉間に皺を寄せる。

そして、ある番組にチャンネルが合わさると、満足げに目を輝かせた。

 

「ビンゴ!」

 

その瞬間、ブリッツはまたもや銃を構え、撃鉄を起こした。

 しかし——

 

「次壊したら、ただじゃおかんからな?」

 

冷えた声が彼の横から飛んできた。

ブリッツはピクリと肩を震わせる。

視線を横にずらすと、そこには淡々とした表情で椅子に腰掛けるオスカーの姿があった。

 

彼の右側に召喚された黒い羊の頭蓋骨が、赤い光を放ちながら、静かに佇んでいる。

”ゼノブラスター”彼が扱う強力なエネルギー兵器だ

「黒い羊の頭蓋骨の形をした砲台」であり、戦闘時には強力な光線を放つ。

 

——それが本気で発射されるわけではないと分かっていても、威圧感は尋常ではない。

 

「待て待て待て!!ジョークだっての!!!」

 

ブリッツは両手を上げ、汗をかきながら笑って誤魔化す。

だが、オスカーの表情は変わらない。

 

「とりあえず、さっきのテレビの修理代はお前の給料から引くからな?」

 

「あーなんだよもう!!」

 

ブリッツは頭を抱え、椅子の上でジタバタする。

モクシーは苦笑しながら手際よくテレビの修理を終え、新しい画面を映し出した。

 

オスカーはゼノブラスターを消しながら、手元の書類をめくり、再び経理の作業に戻る。

しかし、彼の目元にはうっすらと笑みが浮かんでいた。

 

(まったく……ガキか、こいつは)

 

オフィスの喧騒は、相変わらずであった.....この時までは

 

突如として、オフィスが大きく揺れる。。

 

オスカーは書類の数字を追っていたペンを止め、眉をひそめる。

 

「……地獄で地震なんて起きるのか?」

 

椅子にもたれかかりながら、半ば呆れたように問いかける。

 

「どっかの馬鹿が街で何か爆発でもさせたんだろ」

 

ブリッツが特に気にした様子もなく、鼻を鳴らした。

その言葉が終わらぬうちに、壁の一部が大きく崩れ、灰色の粉塵が室内に舞い上がる。

 

割れたレンガや木片が床を転がり、部屋の空気に砂埃が混じった。

 

ルーナは目を細め、カウンターに肘をついたまま、心底面倒そうにため息をつく。

 

オスカーは顔を覆いながら、無言で天井を仰ぐ。

 

この静かな抗議が届くはずもなく、崩壊した壁の向こうから狂ったような甲高い声が響く。

 

「怖がらないでくれ!」

 

粉塵の中から現れたのは、痩せこけた男の悪魔だった。

 

ハット帽を目深に被り、眼鏡の奥の目が落ち着きなく動いている。

 

背中から伸びた機械のアームがうねうねと動き、まるで意思を持つように周囲を探る。

 

オスカーは机の端に肘をつきながら、ゆっくりとその姿を見つめた。

 

手元のペンを回しながら、静かに口を開く。

 

「……おい、保険には入ってるんだろうな?」

 

男は、意に介さぬ様子で堂々と名乗った。

 

「ワシはループティ・グープティ!発明家で、変な大型機を作っとる!」

 

その瞬間、オスカーの瞳に明らかな苛立ちが滲む。

 

「……なんだって? ハンプティ・ダンプティ?」

 

その一言で、男の顔が一気に紅潮する。

 

「ループティ・グープティじゃ!! 二度と間違えるな小僧!!!」

 

「テメェよか年上だわ、クソガキ」

 

オスカーは冷ややかに返す。

 

「てか、どうでもいいけど、ドア使ってくれない? あの入り方は無いわ」

 

ルーナが目を細め、崩れた壁の残骸を蹴る。

 

「変人じゃからな! 変なことをせんと!」

 

ループティは悪びれた様子もなく、胸を張る。

 

ブリッツが鼻をつまみながら、顔をしかめた。

 

「うーわ....地上の匂いくせぇな……もしかしてアンタ 死にたてか?」

 

「その通り! ついさっき、ここに来たばかりじゃ!!」

 

オスカーはこの流れに既視感を覚え、無言で天井を仰ぐ。

 

(またか……)

 

ループティはおもむろに写真を取り出し、デスクに置く。

 

「これが殺害対象じゃ!」

 

映っていたのは、管に繋がれたベットの中にいる初老の男。

 

オスカーは無言で写真を手に取り、視線を落とす。

 

「……この爺さんが?」

 

ループティが声を荒げる。

 

「そうじゃ! ワシのかつての相棒、“ライル”じゃ!!!」

 

聞くところによると元々彼は老人ではなかった。

かつて彼とライルは『ライル ルーピィ ロボテック』という技術大国を築き上げた。

だが、老化を停止・逆行させる装置の実験中、装置が暴走。

その結果、ループティは急激な老化によって心筋梗塞を起こし、死亡した。

 

一方のライルは命を取り留め生き延び、現在は企業を独占し、帝国を築き上げている。

 

ループティの表情は怒りに満ちていた。

 

「ワシなしであいつが贅沢三昧しておることが許せん!!!」

 

彼は机を強く叩く。

 

「だから、あのクソを殺してくれ!!! もちろん依頼料は払う!!」

 

I.M.P.の面々は沈黙する。

 

すると、オスカーが写真をじっと見つめたまま、口を開いた。

 

「……お前、自分のミスでそうなったんだろ?」

 

ループティの手がぴたりと止まる。

 

「しかし、あの野郎が!!!」

 

「確かにそいつは富を自分だけのもんにしたんだろうが……」

 

オスカーは写真をテーブルに戻し、指先で軽く叩く。

 

「お前が死んだのはお前自身ののしくじりの結果ってだろう?」

 

ループティは歯を食いしばりながら、オスカーを睨む。

 

「お前、そんなこと言ってるが、この仕事を引き受けないつもりか!?」

 

オスカーはしばらく考えるように黙り込んだが、代わりにブリッツが即座に口を挟んだ。

 

「ハッ!引き受けるに決まってんだろ!! それが俺たちの仕事だ!」

 

「……まぁ、依頼人がどんなクソでも、依頼料さえ払うなら問題ねぇしな」

 

オスカーは写真をブリッツへと押しやる。

 

▼▼▼▼▼▼

 

「オイ、ケモっ娘! ちょっとこれを見てみんか!!!」

 

 ルーナは不機嫌そうに顔を上げ、目を細める。彼女の視線の先には、オフィスのど真ん中で機械のアームをうねうねと動かしながら、得意げな顔をしている ループティ・グープティ の姿があった。

 

 彼の背中に生えた無数の機械アームは、ギシギシと音を立てながら怪しげな動きをしている。

 

 そして、彼の手には見たこともない形状の奇妙な装置が握られていた。

 

「……またかよ」

 

 ルーナはスマホを投げ出し、露骨にげんなりした表情を浮かべる。

 

「ほれ、見てみい!! これはな、"分子加速式ミクロ・デスキャノン" じゃ!!!」

 

 ループティは誇らしげに機械を掲げ、アームをクネクネと動かしながら、オスカーたちに説明を始める。

 

「いや、だから何なんだよ、それ……」

 

 ルーナは顔をしかめ、溜息をつく。

 

 一方、デスクで帳簿を整理していたオスカーは、手を止めることなく、ただ無表情でループティを一瞥した。

 

「またクソみてぇな名前の兵器作ったのか.....?」

 

「クソみたいとはなんじゃ!!?」

 

「オフィスの中でそんなもん作るなって言ってんだよ!!!」

 

 オスカーはデスクを叩きながら立ち上がり、鋭い視線をループティに向ける。その赤い瞳には明らかな苛立ちが滲んでいた。

 

 ループティはその視線を気にする様子もなく、ますます得意げに笑う。

 

「ワシの発明品じゃから、当然じゃ!」

 

「そこに自信持つな!!!!」

 

「アンタ……本当に発明家なの?」

 

 ルーナは腕を組みながら、胡乱げな目つきでループティを睨みつける。

 

「ふん、見ておれ!!!」

 

 そう言うや否や、ループティは装置のボタンを押そうとする。

 

「待て待て待て!!!!!!!」

 

 オスカーは椅子を蹴って立ち上がり、瞬間移動するような速さでループティの腕を掴んだ。

 

「バカかお前!? その手元のやつ、起動したら何が起きるか分かってるんだろうな!?」

 

「ワシの発明品じゃからな、分からん!!!」

 

「そこが一番の問題だろうが!!!!」

 

 オスカーはこめかみを押さえながら、深々と息を吐いた。

 

 ループティは腕を振り払うと、何やらゴソゴソと機械をいじり始めた。

 

「よし、これで"自律爆破式ナノボムランチャー"に改良した!!!」

 

「ちょっと待て、それって最初のやつよりやばいやつじゃねぇか!!!」

 

 ルーナも流石に顔を青ざめる。

 

「ねぇオスカー、アイツ止めたほうがいいんじゃないの?」

 

「もうやってる……!!!」

 

 オスカーは机を叩きながら怒鳴りつけた。

 

「なぁルーナ、後であいつを外に追い出すぞ」

 

「賛成」

 

「待て待て!! せめてこの"次元裂開式ワームホールガン"だけでも試させてくれ!!!」

 

「お前さ、それってつまり"オフィスに次元の穴開ける"ってことじゃねぇの?」

 

「そうじゃ!」

 

「ならダメに決まってんだろ!!!!!」

 

 オスカーは全力で叫んだ。

 

「発明は爆発じゃ!!!」

 

「するな!!!!!」

 

 そのやり取りを見ていたルーナは、スマホを手に取り、メッセージを打ち始めた。

 

【ブリッツ、早く帰ってこい】

 

 オスカーは腕を組みながら、深々とため息をついた。

 

「クソが……」

 

「ねぇオスカー、アンタ、アイツらにメッセージ送れないの?」

 

「……送ったところで、今仕事中だしな」

 

 彼はスマホを取り出してブリッツにメッセージを送る。

 

【仕事はどうだ?早く帰ってこねぇとオフィスが崩壊するぞ】

 

(頼む、ブリッツ……早く帰ってきてくれ……!!!)

 

 

I.M.P. のメンバーはイラついた表情を浮かべながら立ち尽くしていた。

 

 本来ならば、さっさとターゲットである ライル を仕留めて、ミッション完了となるはずだった。

 

 だが、事態はそう単純ではなかった。

 

——なぜなら、"天使" たちが現れたからだ。

 

 輝く純白の翼を持つ三体の天使たちは、祝福された光のクロスボウをブリッツ達に向け、立ち塞がり、厳しい眼差しをこちらに向けている。

 

「もういい!! こっちは老いぼれの命を救うんだ!! 本人の意思は知らん!!」

 

 その言葉に、ブリッツは ブチ切れた。

 

 ブリッツは苛立ちを隠そうともせず、地面に唾を吐く。

 

 ライルは確かに"死"を望んでいた。だが、天使たちはそんなことを気にも留めていない。

 彼らの目的は "ライルに生きる希望を与えること" であり、 彼の意志がどうであれ、それを無視してでも延命させようとしているのだ。

 

「死を望む奴だっている!! それに 前金をこれに使い切ったしな!!」

 

 ブリッツは怒りを込めながらポケットに手を突っ込み、ポニーの人形 を取り出して天使たちに突き付けた。

 

 モクシーは完全に呆れ果てていた。

 

 彼は額に手を当て、溜息をつく。

 

「ボス……また オスカーに怒られますよ?」

 

 そう指摘すると、ブリッツの顔が一瞬だけ引き攣った。

 

「黙れ、モックス!! 今はそんな話はしてないだろ!!!」

 

ブリッツはそう叫ぶが、その声には 微妙な焦り が混じっていた。

 

 I.M.P. のメンバーにとって、"仕事でやらかす" のは日常茶飯事だ。だが、それでも オスカーに経理報告で怒られるのは別問題なのである。

 

一方、その頃、オスカー達はと言うと.....

 

オフィスの空気は、普段にも増して重苦しかった。

 

 原因は一つ。

 

 —— ループティ・グープティ。

 

 なにやら、また何か作る作業を始めたのか.....オスカーとルーナはそれを止めるのが馬鹿らしくなったのか、一旦給湯室に退避していた。

 

オスカーはカウンターでコーヒーを淹れ、カップに注ぐ。

 彼はループティにイラつきながらもの平静を保とうとしている。

 

そんな彼の隣で、ルーナは少し落ち着かない様子だった。

 携帯をいじるでもなく、仕事をするでもなく、ぼんやりとコーヒーカップを見つめている。

 

オスカーは彼女の様子に気づきながらも、特に何も言わなかった。

 

「……ねぇ」

 

 ルーナがぽつりと呟く。

 

 オスカーはコーヒーを口に運びながら、彼女を一瞥した。

 

「ん?」

 

「……いや、別に大したことじゃないんだけどさ」

 

 ルーナはカップの縁を指でなぞる。

 なんでもないような顔を装っているが、その声には 微妙な引っかかり が感じられた。

 

 オスカーは特に気にした風もなく、軽く肩をすくめる。

 

「言いたいことがあるなら言えよ」

 

「……」

 

 ルーナは少しだけ逡巡する。

 

 彼女の脳裏には ビーチでの出来事 が蘇っていた。

 

 ボルテックスが言った言葉。

 

『腹割って話してみなよ? 実を言うとな? アイツの普段の態度や喋り方って素じゃないんだぜ?』

 

(……アイツの普段の態度が素じゃない?)

 

 ルーナは、その言葉がずっと心の中に引っかかっていた。

 オスカーが誰かに対して露骨に馴れ馴れしいわけでもなく、特に感情を露わにするタイプでもないことは知っている....テックスとの会話やブリッツにいつもキレている様子をみれば完全にそうではないことも彼女は分かっている

 

 しかし、それでも 「素じゃない」という言葉の意味 が気になっていた。

 

「……オスカーってさ、あんたって普段、結構感情出さないわよね?」

 

 少し遠回しな言い方をする。

 

 オスカーはコーヒーを口に含み、淡々と返した。

 

「そりゃ、無駄に感情的になっても疲れるだけだからな。お前の親父は俺をよく苛立たせるが.....」

 

「……でもさ、例えばブリッツと一緒にいる時とか、たまに喋り方、違う時があるでしょ?」

 

 ルーナの指摘に、オスカーはわずかに目を細めた。

 

「……違う時?」

 

「あぁ……なんていうか、"素が出てる" って感じっていうか」

 

 オスカーは彼女の言葉を聞いて、一瞬だけ視線を逸らした。

 まるで何かを考えているような仕草だった。

 

「……何が言いたい?」

 

「別に、深い意味はないけど」

 

 ルーナは誤魔化すように言いながら、壁に背を預ける。

 

「ただ……あんた、本当はどういうやつなの?」

 

「……俺が?」

 

「そうだよ。アンタの"素"って、どんな感じなの?」

 

 オスカーは少しだけ考え込んだ後、ゆっくりとカップを置いた。

 

「……どうだろうな」

 

 まるでその事に触れないでほしいような言い方である。

 

「……アンタさ」

 

 ルーナはふと思ったことを口にする。

 

「生前の自分のこととか、どれくらい覚えてんの?」

 

「……」

 

 オスカーの瞳が一瞬だけ揺れた気がした。

 

 

「さぁね....もうほとんど覚えていないよ」

 

 

 

その時だった。

 

彼の口調が変わった。

 

……それは、今まで聞いていた "オスカー" の話し方 とは違うものだった。

 

 普段の、どこか気怠げで冷めた口調ではなく、ほんの少し 柔らかい響き が混じっていた。

 

(……ん?)

 

 ルーナは、それに気づいた。

 

 だが、それを指摘することはしなかった。

 

(……今のが、"素" か?)

 

 オスカーはそのまま短く、静かにそう答える。

 

「でも……たまに夢で見る」

 

「……夢?」

 

「……ああ。何かをしていた記憶の断片、誰かと話していた時間、何かを繰り返していたこと……ただそれは酷く最悪なことだったような気がする」

 

 彼の声は、ほんの少しだけ遠くを見ているような響きがあった。

 

「だけど、どれも"はっきりとは思い出せない"んだよ」

 

 オスカーはそう言うと、少しだけ苦笑した。

 

「まぁ、何かを知ったところで変わるわけでもないしね」

 

 彼の言葉には 諦観 にも似た響きがあった。

 

 ルーナはそれ以上、深くは追及しなかった。

 

(……なによそれ)

 

 少しだけ腑に落ちない気持ちを抱えつつ、ルーナはカップを手に取り、一口コーヒーを飲んだ。

 

 オスカーは、何も言わずに煙草に火をつける。

 

 オフィスには静かな時間が流れていた。

 

 結局、ルーナのモヤモヤは晴れなかった。

だが、それ以上聞いても無駄だと、本能的に感じていた。

 

「……まぁいいわ」

 

 ルーナはそう呟くと、適当にスマホを取り出し、画面をスクロールし始めた。

 

 オスカーはそれを横目で見ながら、再びコーヒーを口に含んだ。

 

 ——彼の "素の顔" を知るのは、果たしていつになるのだろうか。

 

「HAHAHAHAHA!!! 完成したぞぉ!!!! "人間瞬間変身装置" じゃ!!!!!」」

 

 突然、オフィスの中央で 狂ったような笑い声。

 

彼等は顔をしかめ、オフィスに入る。

 

 そこには謎の機械と共に鎮座するループティがいた。

 

 機械の背面には無数のコードやチューブが絡みつき、謎の発光する液体が滴っている。

 

 ルーナは冷ややかな目で "人間瞬間変身装置" なるものを見つめ、無気力な声で言った。

 

「……それ、絶対ヤバいやつだろ」

 

「何を言っとる!!!」

 

 ループティは高笑いしながら、謎のレバーを引いた。

 

 ——オフィス全体が揺れた。

 

 バチバチバチッ! と火花が散る。

 

 「うおっ……!? クソが!! だから言っただろうが!!!!」

 

 オスカーはとっさにルーナを引き寄せ、 爆発寸前の機械から距離を取る。

 

 しかし、次の瞬間。

 

 機械が弾け、 オフィスの天井に大穴が開いた。

 

 オスカーとルーナは 無言で ループティを睨む。

 

「……で、これで何が変わるんだ?」

 

「HAHAHAHA! どうやら失敗したようだ!!!!!」」

 

 その瞬間、ルーナは顔を手で覆った。

 

 オスカーは額に手を当て、静かに携帯を取り出した。

 

"通話中:モクシー"

 

「……おい、そっちはどうなってる?」

 

『あっ、オスカー!? あの、まぁ……その……』

 

 背後で銃声が響く。

 

『天使達が邪魔で……今、ボスが暴れています……』

 

 オスカーは 深い溜息 をついた。

 

「は?天使......いや、いやいい何も聞かなかったことにする.....こっちも地獄だ。早く仕事終わらせて帰ってこい……」

 

『えぇと、ハイ。すぐに片付けます……』

 

 オスカーは 苛立った口調で言葉を続けた。

 

「いいか? もしオフィスが爆発したらお前らの給料から引くからな?」

 

『えっ!? なんで僕たちが!?』

 

「俺とルーナが今、こっちでどれだけ苦労してると思ってんだ?」

 

『……その、すみません。』

 

 モクシーの声がやや申し訳なさそうに小さくなる。

 

「ハァ……とにかく、早く帰ってこい」

 

 オスカーは 電話を切ると、再びループティの方へ視線を向けた。

 

次の奇行が始まる前に、こいつを止めなければならないのだ。

 

「さて……こいつ、どうやって黙らせるか……」

 

 オスカーは 煙草に火をつけ、静かに考え込んだ。

 




ちなみに後から地獄に堕ちてくるライルも会社の壁を壊しますが、流石にオスカーはブチ切れました。
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