マシーナリーとも子CK   作:晩舞龍

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JustDefense

 徳によって駆動する機械生命体・サイボーグによる池袋侵攻から4年が経過した、西暦2039年。

 サイボーグによる組織・シンギュラリティにより池袋・奈良・神田・市ヶ谷が制圧されながらも、人類による反撃が開始され、1年間の膠着状態が続いていた。

 

 ──陸上自衛隊・市ヶ谷駐屯地──

 

 池袋方面から、猛然と轟音を立て、一機のサイボーグが驀進する。

 既に避難命令が発令され、無人の街に砂埃とコンクリートの破片をまき散らしながら進むこの暴れ馬を、自衛隊は計画通りにとらえていた。

「目標捕捉。識別番号5、ジャストディフェンス澤村」

 ジャストディフェンス澤村と呼ばれたこのサイボーグは、四肢を接地した高速移動形態でここ市ヶ谷めがけて向かっていた。

「対地空ミサイル放て!」

 市ヶ谷に設置された作戦本部からの指示で、上空を飛行している戦闘機から対地空ミサイルが続けざまに4発、発射される。

 ドン! ドン! ドン! ドン! 

 周囲の建物を爆砕した攻撃の跡から、爆炎と煙を縫って標的がなおも疾走する。

「全弾命中! 効果無し!」

 防衛省長官の安藤がその報告を受け、次の指令を出す。

「やはりか。ここまでは想定通りだ。彼女を出撃させろ」

 

 ──早稲田上空──

 

 別の戦闘機が飛来する。そのハッチから街を見下ろす、武装に身を包んだ女性。

 隣に控えるエンジニアらしき男性が声をかける。

「平均avtは1000前後で安定しています。出撃可能です」

「わかりました。では」

 ハッチには人間を地面方向に向けて射出するという、この機体専用の機構が備えつけられており、武装を身に着けた女性がそれに体をセットする。

「ビートエッジ竜崎、出撃します!」

 自由落下を超えたスピードで直下のジャストディフェンス澤村へ向かって降下していく彼女の背面には、サーキュレーターが取り付けられており、それはこの瞬間も回転し、疑似徳を生み出している! 

 そう、彼女は武装した人間でありながら、サイボーグと同様に徳を発生させているのだ! 

 

 ジャストディフェンス澤村が進撃を停止する。

 自身の歩みを止めることさえできなかったミサイルとは違う圧を上空から感じたためだ。

「なんだァ? これは……疑似徳サイボーグか?」

 澤村の眼前に、その存在が落下してくる。土埃が晴れると、既に戦闘態勢の構えを取っている。

「その構え……雀将ボクシングか」

「ええ。学生時代に嗜んでいましたので」

「いいねェ! 私も元関東チャンプだ。しかし解せねェな……アンタ、疑似徳サイボーグじゃないのか? なんで私の邪魔をするんだ」

 話し終わるや否や、澤村のほほを竜崎の猛烈なパンチがかすめる。

「これには事情がありまして、私は人間なのです。ですが、貴方たちと同じ徳の力を使える」

「人類のくせにやるじゃん! でも、私に会ったのが運の尽きだったなァ!」

 返しの裏拳が竜崎の顔面目掛けて飛ぶ。

 だが、それをやすやすと掴み、そのまま地面へと叩きつける! 

「ギャーーッ!!」

 倒れた四肢を組み伏せ、竜崎は自身の体に装着された武装を展開する。

「事前情報通りのキャタピラを確認! これより履帯を切断する!」

「なッ! それだけはやめろ! うあっ!?」

 竜崎の疑似徳を流された電動カッターが、ガリガリと澤村のキャタピラを引き裂いていく。

 呼吸困難の人間のように悶え始める。

「待て……私の徳が……こんな、ところで……」

 回転体を破壊され、疑似徳の発生源を絶たれた澤村が、機能停止する。

「対象沈黙。作戦を終了します」

 動かなくなった澤村を担ぎ上げ、竜崎が装備していたジェットを噴射させて市ヶ谷へと帰還していく。

 

 それを物陰から見つめる、一体のサイボーグがいた。疑似徳を超える存在である本徳サイボーグ・マシーナリーとも子だ! 

「野良サイボーグが暴れまわってるって聞いて来てみれば……人類がサイボーグ殺しだァ?」

 とも子は踵を返し、池袋方面へと戻っていく。

「コイツはちと厄介なことになってきたな……」

 

 

 マシーナリーとも子 CyborgKiller

 第一話 JustDefense




年表
-2035年 たか子、早苗、ますみの池袋侵攻
     たか子ととも子の邂逅
-20XX年 澤村、姉とともにシンギュラリティを出奔し野良サイボーグになる
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