MASTER of KILLING・SHADOW WAR(仮) 作:究極の闇に焼かれた男
追記:二つの名前を使い分ける為に、ナハトとして活動している時のルークの名前をナハトに修正しました。
ディアボロス教団のアジト、その地下深くにある隠し通路内にてナイフと剛剣が鍔迫り合う音が響く。
(バカな!? 押し切れないだと!)
オルバは自身を強化した上で振るった剛剣が、ナイフ一本で容易く防がれるどころか逆に押しやられている事実に驚愕を覚えていた。
「なるほど、あの錠剤を服用して自身を強化したのか。 今のアルファ達でも流石に取り逃しても仕方ないか。 ……だが、幾ら無理やり強化した所で俺の相手では無い事に依然として変わりない」
オルバの剛剣を魔導合金製のナイフで受け止めながら鍔迫り合うナハトは、ナイフを握る手に徐々に力を込めるとオルバの剛剣を押し返し始める。
「なっ!?」
「自らの命を懸けてまで錠剤を服用して己を強化したんだ。 簡単には殺られてくれるなよ」
そう言うとナハトはオルバの剛剣を上に弾くと、一気に肉薄して手にしたナイフを順手持ちから逆手持ちに切り替えながらオルバに向けて目にも止まらぬ速さで切り付けはじめる。
幾えにも振るわれる斬撃はオルバの身体を切り付けていき、地面や壁に赤い血が飛び散っていく。
「ぐっ……舐めるなッ!」
身体中を切り付けられていたオルバは痛みに顔を歪めるも、歯を食いしばりながら反撃を行うも、ナハトは何処吹く風と言わんばかりの様子で避けて躱して切り返しオルバの身体を傷付けていく。
「……解せないな」
「何だと…?」
オルバと切り結ぶナハトが不意に呟く。
「貴方の事は良く知っている、オルバ子爵。 かつての貴方は領民からも愛され、奥方の忘れ形見である1人娘の為に貴族としての務めに精一杯励んでいた。 そんな貴方が、どうして教団なんかに下ったのか俺には理解できないな?」
「っ、貴様に何が分かると言うのだ!!」
ナハトの発した言葉にオルバは雄叫びを上げるかの如く叫び返してきた。
「どれだけ貴族としての務めを果たそうが、例え如何に武力が優れていようが、この世界の闇に勝てはしないのだ! 貴様には分かるまい!! この世界で力無き者がどれほど無意味で虚しい存在なのか!! 愛する娘を救うことの出来ない無力な自分自身への怒りが!! 決して逃れられない運命に屈するしか道が無い現実が!! 貴様なんぞに分かるか小僧ッ!!」
オルバは怒りを顕にしながら剛剣で周囲の瓦礫を巻き上げながらナハトに襲い掛かる。
次々と襲い来る斬撃の嵐にナハトは軽く溜息を吐きながら、ステップを踏むかの様な足取りで斬撃を躱し、時に受け流しながらオルバの攻撃を対処する。
「確かに、俺には貴方の絶望は分からない。 俺に理解出来る事には限りが存在するからな。 ────だけどな」
襲い来る猛攻を捌き続けるナハトの表情が変わった瞬間、不意にオルバの動きが止まった。
(なっ、何だ、この殺気は!?)
ナハトの表情が変わると同時に、凄まじい殺気が放たれオルバの全身を包み込んだ。
「今の貴方は失った大切な人に誇れる生き方をしていない事だけは分かる。 貴方に問おう、今の貴方を見て貴方を愛した人達は笑ってくれるのか? 俺には到底そうは思えない、寧ろ深く悲しむはずだ」
「ッ、黙れぇええええええッ!!」
ナハトの言葉にオルバの怒りが頂点に達した。
「ならば見せてやろう、この世界の真の闇を!!」
そう言いながらオルバは最後の一線を越える覚悟を決めるとともに、懐から更なる錠剤を取り出そうとした。
しかし、
(っ、バカな!? 錠剤が無いだと!?)
「お探しの物はコレかな?」
「っ、いつの間に…!?」
ナハトの言葉に釣られて視線を向けると、オルバの所持していた筈の錠剤が入っている小瓶を片手にナハトが笑みを浮かべていた。
「さて、そろそろ幕引きとさせてもらおう。 ────いざ、参らん!」
オルバから奪った錠剤の入った小瓶を握り潰すと、ナハトの姿が掻き消える。
「(消えただと!? 何処に…)っ!!」
ナハトの姿が掻き消えた事に動揺を隠せずにいると、不意に背中と両腕に激痛が走るのを感じ取る。
「なっ、何だと!?」
痛みに呻き声を漏らしそうになるのを堪えながら両腕に視線を向けると、オルバの両腕から赤い血飛沫が噴き出ていた。
(バカな……いつの間に切られた!?)
「まだまだ行くぞ」
自分が認識するよりも速く切られていた事実にオルバの思考が傾いていると、ナハトの声が聞こえると同時に目にも止まらぬ速さで両膝・両太腿・両肩・両肘・両膝裏・二の腕・腰の順で切り裂かれ、赤い血飛沫が舞い続ける。
体勢を支えられなくなったオルバは地面に前のめりになりながらうつ伏せで倒れ込むと、ナハトがオルバを見下ろす形で姿を現した。
「これで遊びの時間は終わりだ」
そう言いながらナイフの切っ先を向けてくるナハトに、オルバは自然と敗北の二文字が脳裏を過ぎるのだった。
「何故だ……何故届かぬ……?」
「かつての貴方だったら俺に一太刀いれる事も叶っただろうな。 けれど、かつての貴方の剣に宿っていた物が今の貴方には感じられなかった。 ただそれだけの事だ」
「かつての……私の剣、だと……?」
「かつての貴方の剣には守るべきものと、誇り高き魔剣士としての魂が宿っていた。 でも、今の貴方の剣には何一つとして宿っていなかった。 貴方は俺に敗れたんじゃない、貴方は貴方自身に敗北したんだ」
「……」
「長話が過ぎたな。 とどめを刺させてもらう」
そう言うとナハトは手にしたナイフをオルバに突き立てようと振り下ろす構えをとる。
ナイフを構えるナハトの姿を見あげながら、オルバの脳裏には在りし日の記憶が走馬灯の如く流れ始める。
魔剣士として純粋に強さの頂きを目指し続けた若かりし頃の記憶。 愛する妻を亡くし、唯一残った娘を男手一つで育てながら、娘の成長を見守り続けた日々。 そして教団の間の手によって愛する娘を奪われ、自身の無力さに打ちひしがれ絶望に身を委ねることしか出来なかった自分自身への強い怒り。
オルバの人生は無力であった。
何かを成そうとして、成せなかった。
故にオルバは敗北したのだと察した。
(そうか…私は諦めたに過ぎないのか。 愛する娘を救う事もできず、教団に立ち向かう覚悟も本当の意味で持ち合わせていなかった。 だから私は、この少年に敗北したのだな。 ……ミリア)
己の最期を察したオルバの脳裏に最愛の娘の笑顔を浮かび上がる。
「ミリ……ア……」
娘の名を口にしながらオルバは静かに死を受け入れるようにして目を閉じる。 そしてナハトは、手にしたナイフをオルバ目掛けて振り下ろし──────その刃を突き立てる寸前で止めるのだった。
「──俺も甘いな。 この人を殺したくないって思っちまうなんてよ」
そんな何処か自分自身の躊躇いに落胆する様な声がオルバの耳に入った。
続く‥?
という事でアンケートの結果、天に任せるが多かったので悩みに悩んだ末に、オルバを生存及び救済する事にしました。
アンケートに御協力くださった皆様、本当にありがとうございます!
次回の話は何時更新するかは未定ですが、なるべく早く更新できるように頑張ります。
それとコメントの方もお待ちしてります。
本作のメインヒロインは誰が良いですか?
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アルファ
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ベータ
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ガンマ
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デルタ
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イプシロン
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ゼータ
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イータ