ダンジョンに身勝手な英雄がいるのは間違っているだろうか   作:ありがとうはなまる

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3 未来の英雄が小人の子供をサポーターに選ぶのは間違っているのだろうか

 

 

 

 「ん…」

 

 

 思考が定まらない暗闇で意識が覚醒する。どうやらあの後気絶してしまったらしい

 目を開け、周囲を見渡す。物が散乱に散らばるボロボロの空き家、という印象の部屋だ。上を見上げるも俺が落下したであろう痕跡が見受けらないことから、誰かが俺をこの一室に運び込んでくれたのだろう

 俺は立ち上がり体を動かす。「身勝手の極意」で受けた体への負担も、落下による怪我もどうやら治ったようで、体はスムーズに動かすことが出来た。しかし、体中が埃だらけになっている

 

 

 「はっ……クシュゥ!」

 

 

 くしゃみをした。あれほど埃を被ったのだ、くしゃみの1つや2つ出るだろう、替えの服があれば着替えたいものだ

 

 そんな事を考えつつ、俺は構えを取り意識を集中させる

 そうすると、あの時のように体が輝き出し、体が軽くなったような感覚を受ける

 問題なく自分の意志で「身勝手の極意」を発動できる。偶発的に発動したものではなかったらしく、これで非常時の戦闘面はひとまず安心だ

 

 ガチャ

 

「……目が覚めましたか…」

 

 

 扉が開き、そちらに目をやると、そこには先ほど助けた茶髪*1の少女が立っているのを確認。俺は「身勝手の極意」を解除し、そちらに体を向ける

 

 

 「ありがとうお嬢ちゃん、俺をここに運んでくれたんだろ?感謝するよ」

 

 「礼なんて、リリの方こそあの悪人たちから助けていただきありがとうございます」

 

 「あーそのことについては謝るよ。あの時はそのまま君を放っておいたら危ないと思ったから無理やり連れてきてしまって、配慮が足りなかった。本当に済まない」ペコ

 

 「いえいえ謝罪なんて、リリのことを心配しての行動だったのでしょう…空中に飛んだ時は本当に死ぬかと思いましたが…

 

 「…?今なんて…?」

 

 「いえいえ、とにかくこの話はもうおしまいにして、次の話をいたしましょう」

 

 「次の話?」

 

 「はい……冒険者様、リリをパーティーに入れてはくれませんか?」

 

 「パーティー…」

 

 「はい、悪い話では無いはずです。あなたはダンジョンに出てくるモンスターを倒して、面倒な魔石の回収やアイテムなどの品の持ち運びは全てリリがやります。ダンジョンで出した利益の取り分は2、いや1割貰えればそれでいいです。どうですか悪い話ではないでしょう」

 

 「……」

 

 「ど、どうでしょうか」

 

 「…………」

 

 「……」ドキドキ

 

 「……えっと…あ~、まず自己紹介をしようか。俺の名前は………ソラ、エンドウ・ソラだ」

 

 「あっ! し、失礼しました。リリの名前はリリルカ、リリルカ・アーデです」

 

 「そっかリリルカだな、覚えた。それじゃあリリルカ、ちょっと質問したいことがあるんだけど良いか?それを聞いてからその返事は受けさせてもらうよ」

 

 「は、はい。リリが答えられるものなら何でもお応えいたします」

 

 「じゃあまず、ダンジョンってなんだ?」

 

 「……はい?

 

 

 それから俺はリリルカにダンジョンについて、そしてこの都市での常識的な知識を教えてもらった、通貨やら情勢やらを。話している最中のリリルカの顔はこいつマジかと言いたそうな顔をしていたが、それでも俺の質問にしっかりと答えてくれた

 

 

 「……なるほどな。ここはオラリオと言うダンジョンがある都市で、神に恩恵を刻まれた冒険者はダンジョンで魔石という金になる石ころと自分のステータスを上げるため潜ってる集団と。で、リリルカはそのダンジョンに潜る冒険者の補助をするサポーターをやってて、俺と契約して一緒にダンジョンに潜ってほしい。というわけだな」

 

 「はい、そうなります」

 

 「そうか…なら、最後の質問なんだがなんで俺なんだ?言っちゃ何だが俺はリリルカとさほど変わらん年のただのガキだ、そんな俺のサポーターになんでなりたいんだ?」

 

 「…ソラ様が闇派閥(イヴィルス)と戦っている姿を、隠れて見ていたのですが、闇派閥(イヴィルス)の攻撃を避け互角に戦うソラ様のお姿に感銘を受け、そして名前も知らないリリを助けてくれたソラ様ならリリを受け入れてくれると思ったからです」

 

 「……なるほどな、ありがとうな、説明してくれて、お陰で返事の答えが決まったよ」

 

 「……」

 

 

 俺は不安そうな顔をするリリルカに向かって手を伸ばす

 リリルカは善人だ、それは俺に怪訝な顔をしながらも説明を続けてくれたことで分かったことだ。普通の人間は常識すら知らない見知らぬ人間なんて怪しんですぐ見切りをつけて去るもんだ。なら、俺が断る理由はない

 例え、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 「こんな常識知らずの奴だが、これからよろしくお願いします。リリルカ」

 

 「は、はいよろしくお願いします!ソラ様」ギュ

 

 

 差し出した俺の手を、リリルカは両手で握り返してくれた。契約は成立だな

 

 

 「ところでここに落ちてきてから俺は何時間ぐらい寝てたんだ?」

 

 「えっと…ざっと丸一日ぐらいですかね」

 

 「そんなにか…これからすぐにダンジョンに向かうか?」

 

 

 改めて「身勝手の極意」の燃費の悪さに驚かされる。最初のゴタゴタで疲れていたのか、本気2回の反動なのかはさておき、体はしっかりと動かせるのでリリルカにダンジョンに行くか聞いてみる

 

 

 「いや、すいません。一度荷物を取りに帰りたいので、後ほどギルドで打ち合いましょう」

 

 「さっき教えてくれたダンジョンの入り口にあるギルドだな。場所が分からないから何か地図とかはないか?」

 

 「地図はありませんが…リリたちがいる場所がここで、こう行ってここで曲がってこの大通りを真っすぐ行けば着くはずです」

 

 

 リリルカは地面にしゃがみ込み、床に散らばる埃を用いて指で線を引き、簡易的な行き先を教えてくれた

 

 

 「なるほど……よし覚えた。じゃあまた後でなリリルカ、道中気をつけてろよ」

 

 「はい、ソラ様もお気をつけて」

 

 

 そうしてリリルカは自身の拠点にある荷物を取りに戻り、俺はギルドへと向かった

 

 リリルカがギルドに来るまで少し時間が掛かるだろうし、ゆっくり歩いて行こう。さっきの黒装束、リリルカの言う闇派閥(イヴィルス)っていうやばい奴らは基本大通りなどの人通りには姿を現さないらしいし、ゆっくりとオラリオを観光できる

 

 

 「あそこでああ行って曲がって大通りを真っすぐだったな」

 

 

 リリルカの書いた絵を頭の中で思い出しながら進んでいると、青い液体の入った瓶を入れた籠を持つ青髪の男に声をかけられた

 

 

 「そこの子供よ」

 

 「ん?俺のことか?」

 

 「あぁ其方(そなた)のことだよ。其方、ポーションはいかがかな」

 

 「…済まない、今手持ちがなくてな、売り込みならまた今度にしてくれ」

 

 「はは 違うよ、これは私の趣味みたいなものさ、これはサービスだよ」

 

 「趣味?変わった趣味だな……ん〜まぁ貰えるものは貰っておくよ」

 

 

 話は胡散臭いが悪いやつには見えない、それにこちらはさっき言ったように無一文、タダで貰えるならどんなものでも貰おう

 

 

 「あんたの名前は?」

 

 「ミアハ、ミアハファミリアの神をやっているものだよ」

 

 「ミアハ、ファミリア?」

 

 「おや?名のあるファミリアと自負していたのだが、主に回復薬(ポーション)を販売しているファミリアだよ」

 

 「そうか…金に余裕が出来たら訪れるよ。その時は改めてこの礼をさせてもらう」

 

 「そこまで気にすることはない、と言っても其方は気にするのだろうな。なら、その時は存分に回復薬(ポーション)を買いに来てくれ、歓迎するよ」

 

 

 少ない対話でこの神は善人、いや善神なことが分かった。もし、何か困ったことがあれば少し頼らせてもらおう。幸い、神直々にポーションを配っていたのだ、暇なのだろう

 俺は男神に一礼しその場を去った

 

 

 

 

 「…」

 

 「あ!ここにいましたかミアハ様!」

 

 

 ソラと入れ違うように犬耳の少女が現れ、ミアハを見るや大急ぎでミアハの元まで近づいた

 

 

 「あぁナァーザか、随分息が上がっているが大丈夫か?」

 

 「それはミアハ様が勝手に何処かに消えるからでしょう!近頃はより闇派閥(イヴィルス)が活発化しているのです、もう少し危機感を持った行動をしてください!」

 

 「ははは、迷惑をかけたようだね、済まない」

 

 「本当に分かっていますか?全く…」

 

 

 はぁーとため息を吐く犬耳の少女の頭を撫でるミアハ

 撫でられて嬉しいのか、尻尾を揺らす少女の年相応の反応に微笑みを向けるミアハ

 

 

 「さぁそろそろファミリアに帰ろうかナァーザ」

 

 「はいミアハ様」ニコ

 

 

 ミアハとナァーザと呼ばれた少女は手を繋ぎながら帰路に着くのだった

 

 

 

 

 「迷った」

 

 

 一方、ミアハと別れたソラは道に迷っていた

 

 あの青髪の神と話していたせいでギルドまでの道を忘れてしまった。こんなことならあの神を無視して進むべきだった。いや、そもそもリリルカの語彙力がなさ過ぎるのが問題だ

 何がここでこう行って曲がるだ、右行って左とかもう少し言いようがあったろうに

 

 どうする。リリルカと別れた廃墟に戻る…随分歩いてきたから帰り方もよく覚えていない、人に聞く…そもそも人がいない

 このまま宛もなく歩いていったら更に迷って危険、かと言ってこのまま棒立ちもいつ闇派閥に襲われるか分からん

 

 

 「ぼく、迷子?」

 

 

 俺がゴールのない思考の渦に潜っていると、後ろから声をかけられ、俺は咄嗟にその声の人物と距離を離し戦闘態勢を取る

 

 

 「わわわ…!?驚かせちゃった!?ごめんね、驚かせるつもりじゃなかったんだ」

 

 

 声の人物を見ると、腰に剣を差した青髪の女性が慌てて手を合わせこちらに謝罪を取っていた

 敵意はない、物腰も柔らかそうな性格と見た目だが、先日合った闇派閥の男たちよりも遥かに強いことを何となく感じ取った

 

 

 「あんた…何者(なにもん)だ」

 

 

 青髪の女性に問う。もし、この女性が闇派閥の人間、もしくはそれに近い危険人物なら俺は何ふり構わず全力で逃げる

 

 

 「私?私はアーディ・ヴァルマ、ガネーシャ・ファミリア所属の超絶美少女正義の戦士だよ!よろしくね!」ニコ

 

 

 どうやら頭が危険人物だったらしい…

 

 この時の俺は知らなかったが、神に恩恵を与えられた冒険者にはレベルの概念があり、アーディはレベル3と俺の2つ上の冒険者だった

 レベルが一つ違うだけで雲泥の差があり、あの時の俺の危惧はあながち間違いではなかった

 

 

 ─

 ──

 ───

 

 

 「ここがギルドだよソラ君」

 

 「わぁ!ありがとうアーディお姉ちゃん」ニコ

 

 

 なんやかんやあって俺はついにギルドに到着することが出来た

 

 経緯は少し省くが、アーディと合った俺はまず子供のフリをしてアーディとコンタクトを取ることにした。今の俺の体は子供なのだからこれが年上との正しいコミュニケーション方法だ

 気分が良いとは言えなかったが、これで確実にギルドへと行ける段取りが立てられた

 

 「僕のお家、ギルドっていう建物の近くにあるの、お姉ちゃんギルドって場所に連れてって?」オメメキラキラ

 と、ザックリこんな感じで幼い子供を演じて頼んだら何の迷いもなく笑顔で引き受けてくれた。その時は軽く罪悪感を覚えたが、作戦通りギルドへと連れて行ってくれた

 ただ、連れて行く最中ずっと手を握ってくるのはあまりして欲しくなかったが、敢えて感想を言うなら女の子の手だったという感想、それ以上は言わないし考えないし忘れる

 

 その道中で色んな話を聞き、アーディの名前もその時に知った。話の内容は殆どアルゴノウトという英雄が出る御伽噺(おとぎばなし)?ばかりだったが、話の節々で俺を元気付けようとする優しさが伺えた

 

 

 「あ!やっと来ましたねソラ様、お姿が見られなかったのでもしかして道に迷っているのではないかと心配して─「あっリリルカちゃんだー!」─えっ!?」

 

 「話を合わせてくれ、頼む!!!!!

 「え!?は、はい」

 

 「ん?この子は…?」

 

 「…この子はリリルカちゃんで、僕のお家のお隣さんなの!」

 

 「へぇーそうなんだ~仲が良いんだね」

 

 「うん!道案内ありがとうアーディお姉ちゃん、リリルカちゃんがいるから僕もう1人でお家に帰れるよ!」(早口)

 

 「そっか…それじゃあお姉ちゃんパトロールに戻るね、早くお家に帰るんだよ。さっきも言ったけど今はお外は凄く危ないから、パパとママとはくれぐれも離れないよう気を付けるんだよ、お姉ちゃんとの約束だよ?」

 

 「うん!約束するよ!アーディお姉ちゃんパトロール頑張ってねバイバーイ! ほらリリルカも…

 

 「ば、バイバーイ親切なお姉さん」

 

 「ふふ バイバーイ!」

 

 

 そうして笑顔で手を振る俺たちを見届け、アーディはパトロールへと戻っていった

 

 

 「ソラ様、今のは…」

 

 「聞くな、頼むから聞かないでくれ……」

 

 「わ、分かりました」

 

 

 俺の悲痛な声にこれ以上詮索しないでくれるリリルカ

 恥ずかしい、いい年した男がぶりっ子でお姉ちゃんって、それを知ってるやつに見られた、恥ずかしすぎるだろ!黒歴史だ、これは間違いなく俺の黒歴史になる!

 

 

 「…………穴があったら入りたい……そしてそのままくたばればいい」

 

 「き、気を落としすぎですよさ、ソラ様の可愛らしい所を見れてリリは好感が持てましたよ」

 

 「か、可愛らしい……!」

 

 「えぇ!?もっと落ち込んだ!ソラ様〜!」

 

 

 その後、意気消沈していた俺は、リリルカの必死な励ましによって三十分後復帰することが出来た。傷は未だ根深く残ってはいるが…

 

 

 「ギルドに来たはいいが、これからどうしたらいいんだ?このままダンジョンに潜ったらいいのか?」

 

 

 気持ちを強引に切り替えた俺は、リリルカにこれからの段取りを聞く。ギルドについてはあの廃墟でだいたい聞いたが、どうやってダンジョンに潜るかなどの細かい段取りは聞いていないのでこれから何をしたら良いか分からない

 

 

 「とりあえずソラ様にはダンジョンに潜るためにギルドで冒険者登録をしてもらいます」

 

 「なるほど…あの受付みたいな所で言えば登録出来るのか?」

 

 「はい、そうです」

 

 「おけ、ならさっさと登録済ませてくるからちょっとここで待っててくれ、すぐ戻る」

 

 「分かりました、お待ちしていますソラ様」

 

 

 俺はリリルカと別れて受付の方へと歩く

 話してて思うが、まだリリルカとは少し距離を感じるな。まぁ出会って間もないからしょうがないか、これから少しずつ距離を縮めていけば良いことだ

 

 受付に行く道すがら、顔だけを動かしギルド内を見る

 混み合わない時間だからか人の数は少なく、仲間と飲んでいるグループや掲示板のようなものの前にいる者などがいた

 その中には耳が尖っている美形の者や、背丈が俺と同じぐらいの髭を蓄えた小さなおじさん、猫耳なんかを生やした人ではない存在がちらほらいて、ここが異世界なのだと再確認させられた

 

 そうこうしている内に受付にたどり着き、俺は受付の前にいる眼鏡をかけた尖耳の受付嬢へと声を掛ける

 

 

 「すいません!」

 

 

 背が小さいので相手に気づいてもらえるよう少し大きめの声を出したことにより、俺の存在に気づいた受付嬢は視線をこちらに向ける

 

 

 「はい、どうなさいましたか?」

 

 「冒険者登録をしたいんだがやり方がよく分からないんだ、教えてくれるか」

 

 

 先程のアーディのように下から行くのではなく、ただの子供と舐められないよう要求を伝える

 俺の要求を聞いたエルフの女性は、少しこちらを見つめると1枚の紙を取り出し俺に話しかけてくる

 

 

 「……冒険者登録をする前にあなたにいくつか聞きたいことがあります、名前は?」

 

 「エンドウ・ソラだ」

 

 「ソラ君ね、まず初めにソラ君はここがどんな所かはご存知ですか?」

 

 「ああ、ダンジョンの入り口を管理してて、ダンジョンの中のドロップアイテムを換金してくれる窓口だろ?」

 

 「まぁ概ねその認識で合っています。では次に、ダンジョンの危険性はご存知ですか?」

 

 「ああ、知ってる」

 

 「それではどんな危険がありますか?」

 

 「…ダンジョンの中には魔物モンスターがいて、そいつらと命のやり取りをするから」

 

 「…しっかりと把握されているようですね。では、最後に…ソラ君はダンジョンの危険性を知った上でダンジョンに入り、危険極まりない魔物と命のやりとりをする冒険者になる覚悟はありますか?」

 

 「ある」

 

 「俺には生き残るための力と金がいる。冒険者以外の選択肢があるならそっちに行きたいが、あいにくこれ以外の道を俺は持ち合わせていない。だから俺は冒険者になる」

 

 「………そうですか。質疑応答ありがとうございます。では、冒険者登録の方に移らせていただきます」

 

 「登録に必要な情報をこちらの紙に記載してください。しかし、失礼かもしれませんがソラ君は字を書くのが不慣れかと思いますので、代わりに私が紙に記載しようと思うのですが、いかがでしょうか」

 

 「ああ、ぜひ頼む」

 

 

 それから俺はエルフの女性から名前、種族、年齢、所属ファミリアなどを聞かれ、俺は全て包み隠さず正直に答えた

 

 俺の種族は多分人間だろう(もしかしたら宇宙人かもしれないが)、所属ファミリアはよく分からなかったが、リリルカに聞いた話では神に恩恵を与えられた集団の名前だったはず

 なら、俺の所属しているファミリアの名前は多分ソーマファミリアだと思う。目が覚めて間もない俺を蹴り飛ばした男が、ある男の前まで俺を運び恩恵を刻んでくださいと頼んでいた。その男の名前がたしかソーマだった

 ソーマの名前を出しても怪しむ素振りがないので名前は合っていたのだろう、良かった

 

 受付嬢は自身で記載した紙を確認すると、席を立ち奥の方へ行ってしまったが、数秒もしないうちに戻ってきた

 

 

 「冒険者登録は完了です、お疲れ様でしたソラ君」

 

 「こちらこそありがとうございます」

 

 「これからダンジョンについての勉強会がありますので、その勉強会が終われば晴れてダンジョンに潜れます。早速あちらの部屋へと行きましょうか」

 

 

 勉強会やらを行う部屋を指す受付嬢は、武器に成るんじゃないかと思えるほどの分厚い本を手に持ち、もう片方の手で俺の手を握り、やや強引に引っ張る形で部屋へと連れられた

 

 勉強会はダンジョンの階層ごとに出てくるモンスターの特徴や攻撃方法、弱点や、ダンジョンでの注意事項やルールなどの情報を事細かに説明してくれた

 

 勉強会の内容は確かにダンジョンの中では非常に役に立つ情報だし、有意義だったが…めちゃくちゃしんどかった

 役に立つ情報なのは分かっているのだが、ただ話を聞いているだけなのがとてもしんどく正直眠かった。しかも、休憩時間無しのぶっ通し授業なのが拍車を掛けてしんどさを上げた

 

 受付嬢の勉強会が終わったのは登録を済ませてから3時間後のことで、笑顔の受付嬢に別れを告げ、俺は凝り固まった体を動かしリリルカを探す

 

 俺がダンジョンに潜る覚悟を本当に持っているか測る質問を登録をする前にするほどの善人(エルフ)なのは分かっているが、勉強会でのスパルタ具合で、俺はもうあの受付嬢のことが苦手になっちまった

 そういえば名前を聞くのを忘れてたな、まぁ今度あった時に聞くか、あまり会いたくはないが…

 

 外に出て太陽の位置を確認すると、どうやらもう外は昼頃になっているようで、先程よりもギルドにいる人が多くなっていた

 

 

 「悪い、登録に時間掛かっちまった。長い事待たせ済まない」

 

 「いえいえ、リリは大丈夫です。それより、登録が済んだのなら早速ダンジョンへと潜りましょう!ソラ様」

 

 「ああ、そうだな」

 

 

 俺は勉強会終わりに受付嬢から渡されたギルドからの支給品である短剣を持ち、前を歩くリリルカの後をついて行く

 この支給品は冒険者登録の際に、受付嬢から進められたギルドから支給される武器だ。質はそこまでらしいが、無償で貰えるらしいのでありがたく使わせてもらおうと頼んでおいた

 相手は人間ですらない化け物、手段は多いに越したことはない

 

 そうこうしているうちに、俺とリリルカはダンジョンの入り口へたどり着き足を止めるが、止まったのはほんの一瞬で、俺たちはダンジョンの中へと入っていった

 

 

 

 

  ────────────────────────

 

・年齢

 リリルカ 6歳

 ソラ 7歳

 

・ソラの由来 豆

 豌豆(えんどう)豆、空豆

 

 

 漢字で書こうとしたが、豌豆豆の豌豆だと苗字として微妙かなと思いカタカナにしました。

 

 

 

 

 

 

*1
栗色だが、主人公は気づいていない

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