ウマ娘の発育と、トレーナーについて   作:hk33

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キタサン・ダイヤ
北風と太陽


 

 

 

 

「行くよー!キタちゃん!」

 

「オッケー!ダイヤちゃん!」

 

「『せーの!』」

 

 キタサンブラックとサトノダイヤモンド。

 共に俺の担当ウマ娘であり、苦楽を共にした戦友と呼べる存在。

 

 そんな二人が今行っているのは、互いの身体測定の結果比べ。

 身長・体重・スリーサイズなどを比べて優劣を決める遊びだ。

 

 毎度のごとくトレーナー室で行うのでもう慣れてはいるが、トレーナー相手とはいえあけっぴろげ過ぎやしないだろうか。

 メガネを直しながら、誰に向けるわけでもなくため息を一つ吐き、二人の方を見やる。

 

 どうやら今回の勝負も引き分けで終わったらしい。

 二人はソファに並んで座り、互いの結果を見ながら談笑していた。

 

 この三年間、欠かさず行われてきたこの勝負。

 幾度となく引き分けてきたこの勝負は、いつからかお決まりの流れが出来上がってしまっていた。

 それは──

 

「トレーナーさん、私とキタちゃんどちらの胸の方が大きいと思います?」

 

 デスクの前に立ち堂々とした態度で胸を張るダイヤと対照的に、恥ずかしそうに頬を染め少しうつむき気味のキタサン。

 

 そう、お決まりの流れとはこれ。

 クイズと言うか、セクハラと言うべきか。

 ダイヤがやり始めたそれは、正直キタサンも俺も未だについていけていない。

 

「……ダイヤじゃないんですか」

 

「ピンポーン!正解です!流石トレーナーさん!」

 

 嬉しそうにピョンと跳ねたダイヤ。

 ……目の毒だ。

 

「ではでは、お尻が大きいのはどちらだと思いますか?」

 

 今にも爆発しそうなキタサンには申し訳ないが、俺も外すわけにはいかない。

 ……なにをされるかわからないからな。

 

「……キタサン」

 

「ピンポンピンポーン!またまた正解です!」

 

 本当に嬉しそうにするダイヤと、とても恥ずかしそうなキタサン。

 下ネタと言うほどでもないのだが、この手の話題は彼女にはまだ早いのだろう。

 可哀想だし、別の話題に──

 

「トレーナーさん!トレーナーさんはどちらの方が好きなんですか?」

 

「……どちらとは?」

 

「胸かお尻かです!」

 

「ダイヤちゃん!?」

 

 ……困った。今までに無い展開だ。

 いつもなら俺が別の話題を振って終了するのだが……。

 デスクに身を乗り出し、爛々とした目をこちらに向けるダイヤを見る限り、そう簡単に逃がしてはくれないだろう。

 

「特別どちらが好きというのはありません。強いて言うなら愛する女性の全てと答えておきます」

 

「ではでは、私とキタちゃんの全てが好きということですか!」

 

「ダイヤちゃん!?」

 

 …………なぜだ。

 確かに押しの強い娘ではあるが、ここまで踏み込んでくるのは初めてだ。

 終始驚いているキタサンを見る限り、二人で計画して何かをやっているわけでは無さそうだし……。

 

「確かに俺は二人に愛を抱いていますが、色恋的な感情では無いです」

 

「そうですか……」

 

「ダイヤちゃん……」

 

 ウマ耳が垂れ、俯いてしまう二人。

 二人がなんとなく俺に好意を向けているのは把握している。だからこそハッキリと否定しなければならないのだ。

 たとえ、今までのように親しい仲でいられなくなったとしても。

 

「なぜですか!こんなに可愛くて、胸もお尻も大きいのに!」

 

「ダイヤちゃん!?」

 

 ………………?????? 

 今の流れは多少なりともショックを受ける流れでは? 

 

「あの、ダイヤ?なぜ今日はそんなに──」

 

「──私、知ってしまったんです。在学中に教師と生徒が結ばれるのは難しいということを。ですから──」

 

 握りこぶしを掲げ、ダイヤは宣誓する。

 

「そのジンクスを──」

 

「それはジンクスではありません」

 

「むー!」

 

 ダイヤは頬を膨らませ、こちらを睨み付けてくる。

 そんな顔をしても可愛いだけだぞ。

 

「あはは……ダイヤちゃん、流石にそれはジンクスとは言えないよ」

 

「でもでも!キタちゃんはいいの!?トレーナーさんと一緒になろうって──」

 

「良いんだよ、ダイヤちゃん。トレーナーさんから見たらまだまだ子供なんだよ」

 

 困ったような顔をして笑うキタサン。

 お辞儀している耳が、彼女の感情を教えてくれる。

 

 眼鏡を直し、ため息を吐く。

 ……甘い。

 

「俺は、そこまで器用な人間ではないので」

 

 椅子から立ち上がり、二人の頭を撫でる。

 

「ですから安心してください。貴女たち以外のことを考えていられる余裕なんかありませんから」

 

 少し気恥ずかしくなって、二人の頭をわしゃわしゃと撫でてしまう。

 ボサボサになった二人は、顔を見合せて笑顔を見せてくれた。

 

 これで一件落着か……。

 

「嬉しいね!キタちゃん!」

 

「そうだね!ダイヤちゃん!」

 

「それじゃあ、キタちゃん!計画通りに行こう!」

 

「う、うん!ちょっと恥ずかしいけど……」

 

 計画?と疑問に思った次の瞬間、俺はキタサンにおんぶされていた。

 ……は? 

 

「キタサン?なにをやって──」

 

「えい!」

 

 ズシンと衝撃。

 柔らかな感触が背中を襲う。

 どうやら、ダイヤが飛び乗ってきたらしい。

 

 ……は??

 

「二人とも?なにをやって──」

 

「それじゃあキタちゃん!On y va!」

 

「オー!」

 

「いやちょっ」

 

 そうして、二人にサンドイッチされた俺は全ての抵抗を諦め、二人に胸と尻をまさぐられながら、どことも知れぬ場所へ連れていかれるのだった──

 

 

 





 ということで、キタサン(太陽)とダイヤ(北風)のお話でした。
 押してダメなら引いた後にもう一度押せ!
 トレーナーがどうなったのかは、神のみぞ知る──

 前回もお気に入り・評価・ここすき・感想をありがとうございました。とても嬉しいです。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。

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