ウマ娘の発育と、トレーナーについて   作:hk33

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(カレンチャンのセリフを少し修正しました)


襲来

 

 

 

 ついに来た夏合宿。

 二人に体操服を着てもらうため、買い物と言う名のルビー&スカーレットによる水着ファッションショーを死ぬ気の思いで乗り越えた俺は、実に清々しい気持ちで真っ青な空を見上げていた。

 

 ここまで来るのに長かった。

 家に帰るたび、ひたすらに水着グラビアを眺め続ける日々。

 もはや俺は、ちょっとやそっとのおっぱいで動揺することは無いだろう。

 

「ちょっとアンタ、サングラス禁止にしたわよね?」

 

「夏の日差しから目を守るには、サングラスが重要なんだぞスカーレット」

 

 この完璧な理論武装には、流石のスカーレットも唸るしかないようだ。

 俺は、この日のために新調した赤いサングラスを自慢げに掲げる。

 修行の日々を乗り越えた俺に隙はない。

 

「トレーナーさんの仰る通りですよ、スカーレットさん」

 

 声のする方に目を向ければ、俺とお揃いのサングラスを身につけたルビーがこちらへと歩いてくる。

 大人数での合宿には初参加なので少し心配していたが、耳の動きや声色からしてリラックス出来ているようで安心だ。

 

「ルビー先輩もサングラス──っていうかお揃い!?」

 

 どういうことかと、問い詰めるように見つめてくるスカーレット。

 俺にもどういうことか分からないんだが……? 

 

「ルビー?そのサングラスは?」

 

「私自ら用意したのです。海での合宿となると、日を避けられる場所も限られると思いましたので」

 

 さらっと何でもないように言うルビー。

 言い分は正しいけど、新しく買った物でたまたまデザインが被ることなんかあるか? 

 首をかしげていると、ルビーが懐からなにかを取り出した。

 

「こちら、スカーレットさんの物です」

 

「え!?良いんですか!?」

 

「はい」

 

 ルビーから受け取ったサングラス──これまた同じデザイン──を、嬉しそうに身につけるスカーレット。

 見事に、全く同じサングラスをかけた仲良し三人組の出来上がりだ。

 

 まあ、二人が楽しそうならそれで良いか。

 

「それじゃあ仲良し三人組って感じになったところで、早速で悪いけどここからあそこまで少し走ってきてもらおうかな」

 

「オッケー。行きましょうルビー先輩!」

 

「はい──それでは行って参ります」

 

「行ってらっしゃい。飲み物用意して待ってるから」

 

 スカーレットを先頭に駆けていく二人を見送る。

 二人が帰ってきたときのための用意と言ってもすでにほとんどが終わっており、やることはあまりない。

 パラソルの下に避難して、今回の合宿のスケジュールを今一度確認する。

 

 今日は一日目だし軽いトレーニングで終わらせて、明日は──

 

「お兄ちゃん♪」

 

 語尾に音符でも付きそうな軽快な声が聞こえると同時に、ヒンヤリとした感触が頬に触れた。

 

「つめたっ!」

 

「あははっ!ビックリした~?」

 

「ビックリしたよ……」

 

 キンキンに冷えたペットボトルを手に、こちらに笑顔を向けてくるカレンチャン。

 彼女とはこの学園で会う前に二度出会っており、一度目は俺がまだトレーナーじゃなかったころで、二度目はトレーナーになってから訪問した先の小学校だ。

 当時聞いたカレンチャンの夢からして、わざわざトレセン学園に入学するとは思っておらず、この学校で二度目の再会をした時はとても驚いたのを覚えている。

 

「となり座ってもい~い?」

 

「良いけど……トレーニングはいいのか?」

 

「大丈夫!一日目は自由だから♪トレーナーがついてたら違うと思うけどね?」

 

 体育座りをして、チラリとこちらを覗き見てくるカレン。

 再会したときに彼女からもトレーナーになってほしいと言われたのだが、既にスカーレットとの契約を結んだ後だったので断らせてもらったのだ。

 ルビーとスカーレットがどんな反応をするか分からなかったし……。

 

「ごめんな、複数人指導は初めてだからさ」

 

「カレンは分かってるから大丈夫だよっ。でも~、あんまり待たされちゃうと他の人のところに行っちゃうかも?」

 

「それなら先輩のとこがオススメだぞ。カレンも小学生のとき会ってるだろ?」

 

「ムッ、お兄ちゃんその返答カワイくな~い」

 

 バシバシとしっぽで叩かれる。

 地味に痛い。

 

「──夏合宿が終わったら迎えに行くよ。あと少し待っていてくれ」

 

「しょうがないな~、待っててあげる」

 

 満足そうに微笑むカレン。

 ああ、二人にも説明しなければ……。

 

「戻ったわよ──ってカレン!また来たの!?」

 

「カレンさん──」

 

 カレンと共に立ち上がり、空けたスペースに二人を座らせる。ドリンクを渡せば、あっと言う間に飲んでしまった。

 

「二人ともお疲れ」

 

「スカーレットちゃん!ルビー先輩!お帰りなさい☆」

 

「……ただいま。随分距離が近かったように見えたんだけど……?」

 

「そうかな~?あれくらい普通じゃない?ねっ、お兄ちゃん?」

 

 普通か? 

 ……いや、しっぽが触れる距離は近いだろ。

 

「近すぎたと思う」

 

「え~!?」

 

「ほら!近いじゃない!」

 

「ん~……じゃあ、このチームではあれくらいの距離感を普通にしない?」

 

 なにを言っているんだ? 

 

「あの?カレンチャン?」

 

「どうです?ルビー先輩」

 

 ルビーは相変わらずお揃いのサングラスをかけていて表情は窺えないが、しっぽは揺れており何だか興奮しているように見える。

 

「そうですね」

 

「やったあ!」

 

「ルビー!?」

 

「チームを組んで数ヵ月、私はチームにおいて最も大切なものは信頼関係を結ぶことだと学ぶことが出来ました。勿論、既に私達の関係は素晴らしいものであると自負しておりますが、さらに深めることも可能でしょう。ですので──」

 

 スッと、スカーレットとの間に空間を作るルビー。

 そこに座れということだろうか。

 無言で見つめてくる三人に、こちらも無言で抵抗の意思を見せる。

 

 動けば、ヤられる……! 

 

「も~、焦らさないであげてよお兄ちゃんっ」

 

「焦らすなって言ったって──」

 

「つべこべ言ってないで座んなさい!」

 

 背中をカレンに押され、腕をスカーレットに引かれ、体が前に倒される。

 ウマ娘一人相手でもどうしようもないのだ、二人相手ではなす術もない。

 

 ルビーとスカーレットの間にすっぽりと挟まれた俺は抵抗を諦め、大人しく体育座りをすることにした。

 

 この時季にウマ娘と密着してるとなかなか暑いな……。

 

「最初っから大人しく座ってれば良いのよ」

 

 ふんっと鼻を鳴らすスカーレット。耳はピコピコとこちらを向き、しっぽが俺の腹にバシバシと当たっている。

 

 地味に痛いんだって。

 

「カレンが座るところなくなっちゃったな~」

 

 指を頬に当て、わざとらしく考える素振りをするカレン。

 笑みを隠しきれていない様子から、多分ろくなことを考えていないだろう。

 

「そうだ!カレンはここに座っちゃお~♪」

 

 笑顔でこちらにしゃがみこんでくるカレン。

 体育座りをしている俺の膝にお腹を乗せ、胸と顔が迫ってくる。

 ルビーとスカーレットとは違い、水着にジャージという格好。必然的にその襟元からは谷間ががががが──

 

「ストップ!ストップ!ちょっとカレン!?」

 

「あははっ!ちょっとからかいすぎちゃった?ゴメンね☆」

 

「ちょっ!?待ちなさい!」

 

 ペロッと舌を出して謝罪をし、海へと走っていくカレン。

 それを猛スピードで追いかけに行くスカーレットを止めることも出来ない。

 体育座りを解き足を伸ばしてパラソルを見つめる。完全に放心状態だ。

 

 俺の修行は、まだまだ足りなかったらしい。

 

「あの、トレーナーさん。私も──よろしいでしょうか」

 

 よろしい?何が? 

 ルビーもカレンを追いかけたかったのだろうか。

 

「良いけど、ほどほどにな?」

 

「はい──」

 

 立ち上がったルビーは、そのままカレンを追いかけるのではなく、俺の足の間に座りこちらに体重を預けてきた。

 むふーっと鼻息が聞こえる。

 

「ルビー?」

 

「申し訳ありません、トレーナーさん。少々休息をいただきます」

 

「あ、はい」

 

 荒ぶるしっぽを感じながら、海ではしゃぐスカーレットとカレンを見やる。

 

 ──みんな楽しそうだし、まあいっか

 

 人生諦めが肝心なこともある。

 それを学べた夏合宿一日目だった。

 

 

 

 






 カワイイ襲来。
 ということで、カレンチャン登場回です。
 ここのカレンチャンはトレーナーになっている状態のお兄ちゃんと出会っているので、編入ではなく普通にトレセン学園に入学してきています。
 お兄ちゃんに狙いを定めて来ているわけですね。
 カワイイカレンチャン!


 たくさんの感想・お気に入り・評価などなどありがとうございます。
 これからも貧弱な発想力が途切れないよう励んでいきたいと思います。

 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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