ウマ娘の発育と、トレーナーについて   作:hk33

9 / 19
膝の上にも

 

 

 

 

 久しぶりに一人で過ごす昼休み。

 いつもなら誰かしら弁当を持ってやって来るが、全員なにか予定でもあったのだろう。

 トレーナー室の中はしんとしていて、外ではしゃいでいるウマ娘たちの声がよく聞こえる。

 

 ──そうだ、昼寝をしよう。

 弁当を食べ終えて大した仕事も残っていないし、天気は快晴で暖かい。昼寝の条件として最高だ。

 

 思い立ったら即行動。

 ソファに座り、ブランケットを膝にかけ目を閉じる。

 楽しげな声をBGMに、窓から入ってくる風と日射しが眠気を誘う。

 

 ──気持ちが良いな……。

 

 

 

 

 

 声が聞こえる。

 聞きなれた声。

 聞きなれたセリフ。

 

「カレンチャンは宇宙一カワイイ。カレンチャンは宇宙一カワイイ。カレンチャンは宇宙一カワイイ。カレンチャンは宇宙一カワイイ。カレンチャンは宇宙一カワイイ。カレンチャンは宇宙一カワイイ。カレンチャンは宇宙一カワイイ。カレンチャンは宇宙一カワイイ。カレンチャンは宇宙一カワイイ。カレンチャンは宇宙一カワイイ──」

 

「うわーーーー!!!!」

 

 耳元でぼそぼそとひたすら繰り返される言葉に、思わず叫び声をあげる。

 どうやら膝枕の体勢になっていたようで、起き上がろうとするもカレンに押さえられて身動きがとれない。

 

「いきなり大きな声出さないでよお兄ちゃんっ」

 

 ビックリしちゃったと、片腕で両耳を押さえているカレン。

 驚いたのはこっちもだよ……。

 

「それはゴメンだけど……なにやってるの?」

 

「お兄ちゃんがお昼寝してたから~、せっかくだから膝枕してあげようと思って☆」

 

「それはありがとう……耳元で囁いてたのは?」

 

「カレンが夢に出てきたら嬉しいでしょ?」

 

 にっこりと笑って、当然であると言わんばかりの顔をしているカレン。

 

「そりゃ嬉しいけど、次からはやめてくれよ。ビックリするから」

 

「はーいっ」

 

 人差し指を顎に当て「次はどうしようかな~♪」なんて言っているカレンを止めることは俺には出来ないのだろう。

 そんな洗脳まがいなことしなくても俺は──

 

「俺は、カレンのこと宇宙一カワイイと思ってるよ」

 

 腕を伸ばして、カレンの頬を撫でる。

 普段からカワイイと伝えていたつもりだったけれど、こんなことをしていたのは不安に感じたからなのだろう。

 膝枕の状態で格好がつかないだろうけど……。

 

「お兄ちゃん……」

 

 カレンの顔がゆっくりと近づいてくる。気持ちが良いのか目をつぶって。

 撫でやすくて助かる。

 

「あと、もうすぐ昼休み終わるぞ」

 

 ピキッとカレンの方から音が聞こえた。

 耳が猛烈に絞られているのが見える。

 

「カレン?その……」

 

「なんでカレンが怒ってるのかお兄ちゃんは解らないだろうし、今言ってもしょうがないから許してあげる。ただねお兄ちゃん──」

 

 体が浮く。この体勢は……お姫様抱っこ。

 

「わかった?お兄ちゃん」

 

 カレンはソファに俺を降ろし、また放課後にと告げトレーナー室から出ていった。

 終始笑顔のカレンに圧倒された俺は一言も発せられず、ただ見送ることしか出来ない。

 

 ──全然わかんないよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからしばらく、ある日の昼休み。

 またもや一人の俺は、またもや昼寝をしようとしていた。

 前回の失敗は、恐らく膝枕されたことによるもの。となれば膝枕出来ない状態になれば……。

 

 ──そうだ、うつ伏せで寝よう。

 うつ伏せの人間を膝枕するのは流石に恥ずかしいだろう。

 自分の腕を枕にして横になる。

 

 ──おやすみ……。

 

 

 

 

 いい匂いがする。

 嗅ぎなれた、いつも隣にある匂い。

 それと、後頭部を撫でられているような──

 

「御早う御座いますトレーナーさん」

 

 この声はルビー? 

 ということは、もしやルビーに膝枕されてるのか? 

 この体勢は不味い。はやく起き上がらねば──

 

「御安心下さい。未だ時間に猶予はあります故」

 

 そういう問題じゃないんだが……。

 うつ伏せのせいで喋ることもままならない。

 呼吸をするたびに、ルビーの匂いを感じる。

 

「こうしていると、サフィーを撫でているようです」

 

 そうなのか。

 俺には決して起き上がらせないという意志を感じるんだが……。

 

「御存知ですかトレーナーさん。犬はお尻を撫でられることを好む傾向があるのです」

 

 いやいやいやいや。

 流石に触らないだろ……触らないよね? 

 

「トレーナーさんは如何ですか?」

 

 お尻に手が迫っている気配を感じる。

 全力で抵抗したいが、ルビーに怪我をさせるわけには……! 

 どうするかと逡巡していると、見計らったかのようにチャイムが鳴った。

 手の押さえが緩んだ今なら起き上がれる……! 

 

「──ルビー!ほらチャイムも鳴ったし急いで教室に戻らないと!」

 

「──ええ、そうですね」

 

 ソファから立ち上がり、ルビーを廊下まで見送る。

 なんだかルビーの視線がずっと下を見ていた気がしたが、きっと気のせいだろう。

 ──そう思いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、またしばらく経った日の昼休み。

 本日もまた一人。

 だが、俺はもう学んだのだ。

 ──もう昼寝はしない。

 

 スマホを手に取り、ウマスタやウマッターを眺め時間をつぶす。

 どうやらカレンは、ルビーと食事をしていたらしい。

 スカーレットは一緒じゃなかったのだろうか。写真を見る限りだと写っていない。

 

「ちょっと!なんで昼寝してないのよ!!」

 

「スカーレット!?」

 

 噂をすればなんとやら。

 いつのまにか背後にスカーレットが立っていた。腰に手を当て、ぷんぷんと怒っている。

 

「どうしたんだ?なにか嫌なことでも──」

 

「いいから来なさい!」

 

「ちょっ──スカーレット!?」

 

 俺の腕を引き、ズンズンとソファに向かって歩いていくスカーレット。

 座ったスカーレットに引っ張られ、なす術もなく膝枕の体勢へと移行した。

 

「どう?アタシの膝枕が一番でしょ!」

 

 後頭部に感じる、今までの誰よりもボリュームのある太もも。

 視界の大半を覆い、目と鼻の先に存在する巨大質量。

 

「デカ過ぎんだろ……」

 

「なんか言った?っていうかアンタの顔見えないわねこれ」

 

 ──意識が遠退いていく。

 相も変わらず押さえつけられている俺は全ての抵抗を諦め、この感覚に身を委ねる。

 

 

 ──おっぱい遮光カーテン……。

 

 

 







 カーテンではないじゃろ。
 ということで膝枕回です。
 最初の予定ではスカーレットの胸に驚いて床に転げ落ちる予定だったのですが、謎の単語を残して気絶してしまいました。不思議なものですね。


 前回もたくさんの感想・お気に入り・ここすきをありがとうございます。
 少し投稿の間隔も空いてしまって申し訳ないです。
 また次回は早めに投稿出来るように頑張ります。

 それでは今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

貴方がこの小説に求めるものは?

  • おっぱい
  • トレーナーの奇行
  • ウマ娘の奇行
  • トレ×ウマ
  • ラブコメ
  • コメディ
  • 突然の怪しい展開
  • 物語性
  • 貧乳こそステータスだ!
  • トレーナーの尻
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。