新米Vtuberの神社運営生活@デスゲーム〜のんびり配信生活をするつもりが、なぜかNPCの皆さんに信仰されていました ~   作:梯子田カハシ

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第10話 想定外のレベルアップ

 

「こいちゃ〜ん、朝だよ〜」

 

「やだ。なほちゃんもねる」

 

「こいちゃん?私に抱きついて毛布に引きずり込もうとするのやめてね。ほら、起きるよ〜!!」

 

 

健気にしがみついてくるこいちゃんを尻目に私はこいちゃんの毛布を引っ剥がして横に放り投げた。身体をブルっと震わせたこいちゃんが暖を求めて私に抱きついて上目遣いに視線を向けてくる。……相変わらずカワイイ顔してる、この子。

 

 

「うう…なほちゃん、さむい」

 

「そんな顔してもダメ。はい、起きましょう」

 

「なほちゃんの鬼〜」

 

「はいはい、顔洗ってきな〜。ほら、イロハとスイ君も起きて、朝だよ!!」

 

「……ご主人、おはよう」

 

「いなほ殿、おはようございます……」

 

 

白狐とミニドラの2匹も眠そうだね。……え、もしかして私が早起きすぎた?いやいや、もうすぐ8時だし早くはないよね?

 

 

「あれ、そういえばアッシュくんは?2人と一緒に寝てたよね?」

 

「俺は見てないぞ、ご主人」

 

「私も分かりませぬな」

 

「そう……もしかしたら早起きしてどこかに行ってるのかな」

 

 

少しイヤな考えが頭をよぎって、私は慌ててプレイヤーメニューの画面を起動させる。大丈夫だよね、仲間から消えてたりしないよね……そう思いながら画面を開いた私の目に飛び込んできたのは、まったく身に覚えのないバトルログだった。

 

 

――――――――――――――――――

@2:23

アッシュ〈Lv7〉

〘ツノウサギ〈Lv4〉撃破 経験値10獲得〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パッシブスキル〘親交〙による経験値ボーナス発生 アッシュ獲得経験値×3.0 獲得経験値+20〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パーティー経験値ボーナス発生 経験値15獲得〙

 

@2:25

アッシュ〈Lv7〉

〘ツノウサギ〈Lv4〉撃破 経験値12獲得〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パッシブスキル〘親交〙による経験値ボーナス発生 アッシュ獲得経験値×3.0 獲得経験値+24〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パーティー経験値ボーナス発生 経験値18獲得〙

 

@2:32

アッシュ〈Lv7〉

〘スノウスピア〈Lv7〉撃破 経験値24獲得〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パッシブスキル〘親交〙による経験値ボーナス発生 アッシュ獲得経験値×3.0 獲得経験値+48〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パーティー経験値ボーナス発生 経験値36獲得〙

 

アッシュ〈Lv8:New〉

〘経験値到達:レベルアップ達成〈Lv8〉に進化〙

 

――――――――――――――――――

 

 

私とこいちゃんが完全に寝てた深夜の2時半くらいから始まったアッシュくんの草原蹂躙の記録がバトルログとしてひたすらに続いてく。

 

気になるのは私の職種スキル〘親交〙のボーナスでアッシュくんの獲得経験値が毎回3倍になってること。慌てて職種スキルの詳細を確認すると……あっ、はい、しっかり書いてありました。

 

 

――――――――――――――――――

 

〘親交《しんこう》〙

NPC・モンスターを仲間にすることが可能

⇒NPCまたはモンスターの同意を持ってこれを仲間とすることができる。仲間となったキャラクターは自動的にパーティー登録される。

 

仲間のNPC・モンスターに経験値ボーナスを付与

⇒自身の仲間となったキャラクターが経験値を獲得した際に加護が発動し、獲得経験値に対して1.0~3.0倍の経験値ボーナスが付与される。ボーナスの倍率上限は自身のレベルにより上昇し、経験値獲得のたびにDEX値を基準にランダムに決定される。

 

――――――――――――――――――

 

 

つまるところ、私が眠っている間に起きていたのは、①アッシュくんがモンスターを倒す、②その時に獲得した経験値がスキル〘親交〙の効果で3倍に、③仲間になったアッシュくんはパーティーメンバー扱いだから寝てるだけの私にも増幅した経験値のおこぼれが入ってくる、④アッシュくんは経験値効率が良くなってレベルアップ、さらに経験値を稼ぐ、という超絶好循環だった。……いや、私はただ寝てただけなんだけどね?

 

 

「それで結局、アッシュくんはどうしてるの?」

 

 

私は表示されたバトルログの続きをスクロールする。ひたすらにアッシュくんの蹂躙の記録を追いかけていく。

 

 

――――――――――――――――――

@4:48

アッシュ〈Lv9〉

〘グリーンバックス〈Lv8〉撃破 経験値26獲得〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パッシブスキル〘親交〙による経験値ボーナス発生 アッシュ獲得経験値×3.0 獲得経験値+52〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パーティー経験値ボーナス発生 経験値39獲得〙

 

@4:51

アッシュ〈Lv9〉

〘ストーンボア〈Lv9〉撃破 経験値30獲得〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パッシブスキル〘親交〙による経験値ボーナス発生 アッシュ獲得経験値×3.0 獲得経験値+60〙

 

稲取いなほ〈Lv1〉

〘パーティー経験値ボーナス発生 経験値45獲得〙

 

稲取いなほ〈Lv2:New〉

〘経験値到達:レベルアップ達成〈Lv2〉に進化〙

 

@4:55

アッシュ〈Lv9〉

〘ロックボア〈Lv11〉撃破 経験値34獲得〙

 

稲取いなほ〈Lv2〉

〘パッシブスキル〘親交〙による経験値ボーナス発生 アッシュ獲得経験値×3.2 獲得経験値+75〙

 

稲取いなほ〈Lv2〉

〘パーティー経験値ボーナス発生 経験値55獲得〙

 

アッシュ〈Lv10:New〉

〘経験値到達:レベルアップ達成〈Lv10〉に進化〙

 

アッシュ〈Lv10〉

規定レベル到達によりシルヴァーウルフに成長

 

――――――――――――――――――

 

 

ん?ちょっと待って?

スクロールして見落としそうになったけど、ちゃっかり私のレベルもあがってない?あと、アッシュくんが知らないうちに成長もしてるんですけど……

 

 

「てことは、今の私って……」

 

 

私が自分のステータスを確認すると……そこには「レベル:4」という文字が表示されてる。

 

 

「や、やったあ!!」

 

「なほちゃん、どーしたの?」

 

「わっ、こいちゃん!?」

 

「なほちゃん、また1人で盛り上がってる」

 

「ご、ごめんね、こいちゃん。実は……」

 

 

レベルアップが嬉しすぎて思わず声が出てしまうと、顔を洗って戻ってきたこいちゃんが不思議そうに私の顔を覗き込んでくる。……うっ、かわいい。

 

こいちゃんに事情を説明して、私達は一番最新のバトルログを確認する。

 

 

――――――――――――――――――

@8:16

アッシュ〈Lv18〉

〘スカーフェイス〈Lv20〉撃破 経験値52獲得〙

 

稲取いなほ〈Lv4〉

〘パッシブスキル〘親交〙による経験値ボーナス発生 アッシュ獲得経験値×3.8 獲得経験値+146〙

 

稲取いなほ〈Lv4〉

〘パーティー経験値ボーナス発生 経験値99獲得〙

 

稲取いなほ〈Lv4〉

〘エリアボス撃破報酬:エリア「草原の丘」所有権獲得〙

〘所有権を獲得したエリアにはホームの設置が可能です〙

 

――――――――――――――――――

 

 

……なにこれ。私の知らない所で色々起きすぎてませんか?

 

とにかく今はアッシュくんと合流した方がいいよね。最後の戦闘記録もついさっきだったみたいだし、夜中からずっと戦っているアッシュくんが心配でもあるし。

 

 

「なほちゃんすごい。一国一城のあるじ」

 

「あはは、全然なにが起きてるか分かってないんだけどね……」

 

「わたしも早く戦いたい。ね、スイ」

 

「そうですな、鯉殿。僕の腕も戦闘を求めて鳴っておりますぞ」

 

「スイ、龍だから腕ない」

 

「鯉殿、これは比喩表現ですぞ」

 

「なほちゃん、いこう」

 

「そうだね、こいちゃん」

 

「こ、鯉殿? 僕のジョークを無視しないでいただきたい!!」

 

 

私達は宿屋を飛び出してマサキ村の門に向かう。

 

門の近くには待ってましたとばかりに赤兎君が走ってくる私達を見ている。さっそく赤兎君に飛び乗ったこいちゃんに手を引かれて私も赤兎君に跨ると、私達は草原の丘へと駆けていくのだった。

 

 

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