新米Vtuberの神社運営生活@デスゲーム〜のんびり配信生活をするつもりが、なぜかNPCの皆さんに信仰されていました ~   作:梯子田カハシ

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第13話 配信:新しい仲間達のお披露目

 

「あわわわわ……」

 

「なほちゃん、大丈夫?」

 

「うん、だいじょばないかも」

 

「がんばって。それじゃ、あとで合流」

 

「ああ、こいちゃん……待って……」

 

草原の丘でふわふわと浮かんだカメラが私とこいちゃんを映し出す。

私とこいちゃんの視界の端には今も視聴者さんからのコメントが流れ続けていて、2人の同接視聴者数を合わせると30万人以上が私達の配信を見ていることが分かった。……ちょっと多すぎて想像できない。

 

そんなことを考えているとスタスタとスイ君と赤兎君を連れてこいちゃんが離れて行ってしまう。

 

 

【だいじょばないwwww】

 

【稲穂ちゃん目がグルってるww】

 

【逆に鯉ちゃんは落ち着いてんな】

 

【稲穂ちゃーん!!戻ってきてー!!】

 

【ダメだ、放心状態になっている……】

 

 

……さ、30万人が私たちの配信を見ている? ど、どうしよう……とりあえずの生存報告だけのつもりの配信だったから展開とか何にも考えてないし……でも、せっかく沢山の人が見てくれてるんだから、なんとか爪痕は残したいし……えっと、え~っと……

 

 

「……(無言でほっぺたを叩く)」

 

「…………はっ!! 」

 

「ようやく戻ったか、ご主人」

 

「あ、ありがと、イロハ。少し落ち着いたよ……」

 

「それでご主人、コメント欄は俺様の話題で持ちきりだぞ」

 

「へ?」

 

 

ほっぺたペチペチのおかげで何とか配信に意識を戻した私に、イロハが悪戯っぽい笑顔を向けてくる。さすがはキツネなだけあってイロハはそう言う表情が良く似合う……って、コメント欄?

 

 

【ん?】

 

【……え?】

 

【え、キツネがほっぺを叩いて?】

 

【あ、稲穂ちゃんが戻ってきた】

 

【なにこれ、かわいい】

 

【これってマフラー兼ぬいぐるみのシロキツネだよね】

 

【かわいい……の前になんで衣装のキツネが動いてんだ?】

 

【シロキツネくん、喋ってる!!】

 

【そう言えばイロハって名前だったね、その子】

 

【そのこ男の子だったんだ!! それに一人称が俺様って、かわいい】

 

【てかイロハくんもコメ欄見れてんの?】

 

 

……ホントだ。コメント欄がイロハ一色になってる。でも確かにイロハってかわいいし、視聴者さん達の気持ちも分かる……ってコメントで気付いたけど、確かにイロハってコメント欄見れてるの?

 

 

「イロハってコメント見れるんだ?」

 

「そりゃご主人、これまでの配信だって見れてたんだから、見れるにきまってるさ。まあ、今までは動けなかったし喋れなかったけど、このゲームの中なら好き放題できるぜ。変なコメント書いたヤツは呪うからな~」

 

 

そう言ってイロハはカメラに向かってシャーっと威嚇をする。

かわいさが先行してあんまり威嚇になってない気がするけど、イロハが宇迦様の遣いと知っている私としてはイロハの「呪う」っていうワードは結構恐かったりする。まあ、まだYourtuberやVtuberが出始めだった昔と違って現代は過去数々の開示請求の事例があるおかげでアンチコメントなんて滅多に見ないけどね。

 

 

【かわいい】

 

【イロハきゅん、めっちゃ癒される……】

 

【俺、イロハきゅん切り抜き動画を作る】

 

【かわいい】

 

【毎日見に来るわ】

 

【俺も】

 

【私も】

 

 

うんうん、分かる。かわいいよね、イロハ。

 

コメント欄を見ながら満足げに頷いていると、少し遠くに控えているアッシュくんと目が合う。俺の番はまだかとソワソワしているアッシュくんがちょっぴり可笑しくって口角が上がってしまう。……うん、今みんなに紹介してあげるからね。

 

 

「みんな、イロハのことが好きになったって」

 

「俺様は神の遣いだからな、当然だぜ。お前ら、ちゃんとご主人も好きになれよ」

 

「あはは、そう言われるとなんだか照れくさいね」

 

「調子戻ったな、ご主人」

 

「うん。ありがと、イロハ」

 

 

イロハはニヤっと口角を上げる。もう、カッコつけちゃって。

……でも、確かにイロハのおかげで少し落ち着くことができた。さあ、今度は私が新しい仲間、アッシュくんを視聴者のみんなに紹介してあげなくちゃ!!

 

 

「そ、それじゃ、今度は新しいお友達を紹介します!!」

 

「……なんか転校生を紹介するみたいな言い方だな、ご主人」

 

「う、うるさいよ、イロハ」

 

「へいへい」

 

「むう~、もう撫でてあげないんだから。はい、アッシュくん、どうぞ」

 

《……うむ。この球体の前に来ればいいんだな》

 

「こちら、新しく仲間になってくれたアッシュくんです」

 

《この球体の先に視聴者、とやらがいるんだな。なんとも不思議だ》

 

「よろしくって言ってるぜ。な、ご主人?」

 

《言ってはいないが……まあ別に良いが》

 

「あはは、そうだね。よろしくって言ってます!!」

 

 

満更でもないように鼻を鳴らしたアッシュくんはフワフワと浮いている球体カメラに鼻先を当てて遊んでいる。いつの間にかイロハも私からアッシュくんに乗り移ってアッシュくん頭の上に掴まってカメラを覗き込む。そんな2匹への視聴者さんの反応は……言うまでもなく歓喜の渦だ。やっぱり動物って癒されるよね。

 

 

【新しいお友達って、小学校以来振りに聞いたかもww】

 

【それなww】

 

【いなほちゃん、相変わらず慌ててんね】

 

【まあ久々の配信だし多少はね】

 

【ん?】

 

【え?】

 

【マジか!!】

 

【も、もふもふだ……!!】

 

【か、かわよかっこいい】

 

【デカもふオオカミ、だとっ!?】

 

【かわいい】

 

【モフモフしたい……モフモフしたい!!】

 

【うはwwめっちゃ画面グワングワンしとるww】

 

【完全にカメラで遊んでるww】

 

【やば、めっちゃかわいい】

 

【イロハくんもカメラをタシタシぶっててかわいい】

 

【あかん、気付いたらチャンネル登録してたわ】

 

【まだしてなかったんか定期】

 

【遠くで慌ててるいなほちゃんもカワイイなww】

 

 

……ひとまず好評で良かった、のかな?

 

完全に2匹のオモチャと化したカメラを眺めながら私は一息つく。チラッとこいちゃんの方を見ると、あっちも一段落ついたみたいで私の方に歩いてくる。カメラはまだあるから配信中ではあるよね?……せっかく時間もあるし、このまま2人と4匹でピクニックでもしようかな。

 

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