新米Vtuberの神社運営生活@デスゲーム〜のんびり配信生活をするつもりが、なぜかNPCの皆さんに信仰されていました ~   作:梯子田カハシ

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第14話 配信:ピクニックとおにぎり

 

晴れ渡った青空を反射する瑞々しい草原の丘をアッシュくんと赤兎馬が駆け抜ける。

それぞれの背に跨った私とこいちゃんを併走するように飛んでいるカメラがとらえている。

 

 

「ひゃああ~、やっぱ最高!!」

 

「テンション高めのなほちゃん、かわいい」

 

「ん~? こいちゃん、何か言った~?」

 

「……なんでもない」

 

 

頬を掠めていく爽やかな風が気持ちいい。

 

カメラがあるということは、もちろん配信中でコメントが視界の端で流れている。……みんな私たちがアッシュくんや赤兎君に乗ってるのが羨ましいみたい。そりゃこんなモフモフに乗れるなんて、最高だよね。そんなことを思いながら私はアッシュくんを撫でる。

 

 

【やば、めっちゃ羨ましい】

 

【超気持ち良さそうなんだが】

 

【他のゲームでも似たようなことできるけど、風まで感じれるんか】

 

【デスゲームってことさえ除けば最高のVRMMOなんよね、アストリア・オンラインって】

 

【実際ほとんど現実と感覚変わらないらしいからな】

 

【てことはアッシュくんもイロハきゅんのモフモフも体感できると?】

 

【……羨ましい】

 

【それにしても本当に気持ち良さそうやね】

 

【こいちゃん、ほんといなほちゃんのとこ好きよねwww】

 

【前に配信でも言ってたけど2人って学生時代からのリア友なんでしょ?】

 

【そーなん?】

 

【いなこい、やっぱてぇてぇんだわ】

 

【っぱ推すべきはいなこいよ!!】

 

【いなほちゃん完全に聞き逃してて草なんだがww】

 

【いなほちゃん、こういうところが主人公属性って言われる所以なんだろうなあ】

 

【こいちゃん、ちょっと拗ねててかわいい】

 

【とにもかくにも2人とも元気そうで良かった】

 

【それな】

 

【それはそう】

 

 

……チラッと同接人数を見ると、配信開始時よりも人数が増えている。確かに初見さんっぽいコメントもちらほらあって、もしかしたら現実(むこう)で拡散とかされているのかもしれない。

 

コメント欄から視線を前に戻して私は視線を目の前の景色に向ける。

 

 

「こいちゃん、このまま北の崖に向かう感じでいい?」

 

「……ん、問題ない」

 

「オッケー。それじゃ、アッシュくん、もう少しよろしくね?」

 

《うむ、承った》

 

 

アッシュくんが小さく頷いてさらに加速する。

それに付いていくように赤兎くんも加速して浮遊カメラを置き去りにする。

 

……ゲームの中とは言えカメラにも限界速度ってあるんだね。

 

 

▼ △ ▼

 

 

草原の丘の北側、目下に広がる森林を眺める。

遠くに見える山には雪が積もってる。昨日も来たけど、やっぱりいい景色だ。

 

 

「それでは最後に思いっきり息を吸いましょう」

 

「すう~~~~……」

 

「……息を吐きましょう」

 

「はあ~~~~~」

 

 

こいちゃんと2人でストレッチをして、最後に大きく深呼吸をする。

なぜか一緒にイロハも深呼吸してたり、アッシュくんが伸びをしてたりする。

 

 

【なんでこの子達はラジオ体操をしてるんだ……?】

 

【ストレッチするって言って何故ラジオ体操www】

 

【そもそもの話いなほちゃんはなんでラジオ体操全部覚えてんだよwww】

 

【そして一緒になって動いてるイロハくんが可愛すぎる】

 

【ラジオ体操とか小学校以来ぶりだわ】

 

【全く違う話だけど、なんだかんだラジオって廃れないよなあ】

 

【ラジオっていうかポッドキャストがメインだけどね】

 

【それにしても、この2人見てるとASTOが全く別ゲーに感じるわww】

 

【それな】

 

【それはそう】

 

【てかめっちゃ景色いいけど、この2人の初期位置どんだけ田舎なんだよ】

 

【それは思ってた】

 

 

相変わらずコメントは普段よりも多いけどさっきまでよりは落ち着いている。理由は明らかで私が始める前に視聴者さんも一緒にラジオ体操をしようと言ってたから。ちょうどラジオ体操が終わった瞬間からコメント増えたし。

 

運動不足はメタバースが進んだ現代日本の抱える問題のひとつ。適度な運動、大事です。

 

 

「はい。これでリフレッシュ完了です」

 

「高校の時みたいで懐かしかった。体育祭とか」

 

「そうだね~。体育の2人組とか大体こいちゃんと組んでたよね」

 

「うん。体育以外もほとんどなほちゃんと一緒だった」

 

「ふふっ、懐かしいね」

 

「うん」

 

「……軽い運動もしたし、お昼食べよっか?」

 

「たべる~」

 

 

私は立ち上がってイベントボックスから借りてきた大きめの布を取り出す。

布をピクニックシートみたいに広げて4箇所の端に石を置いて飛んでいかないように抑える。

 

気付けばイロハが布にちょこんと座っていてアッシュくんと赤兎くんも近くに座っている。

 

 

「なほちゃん、お腹すいた~」

 

「こいちゃんて大体いつもお腹空いてるよね……よく食べるし」

 

「そう?」

 

「そんなに運動するタイプでもないし……なのにスタイルは良いし……」

 

「なほちゃん?」

 

「……なんでもない。それじゃ、食べよっか」

 

 

今度はインベントリから蓋付きのバケットを取り出して布の上に置く。

蓋を開けるとこっそり配信を始める前に握ってきたおにぎりが並んでいて、それを見たこいちゃんに瞳がキラキラ輝く。……やっぱりこいちゃんに秘密で作っておいて正解だった。

 

 

「なほちゃん、これって……?」

 

「うん、おにぎり。来る前に作っておいたんだ」

 

「知らなかった」

 

「こいちゃんにバレないように作ったからね。サプライズだよ」

 

「なほちゃん……すき……」

 

「あはは、ありがとね。それでは、食べましょう」

 

「うん」

 

「手と手を合わせて……」

 

「いただきます!!」

 

 

元気よく声を出したこいちゃんが一直線でおにぎりにがっつく。

そう言えばイロハっておにぎり食べるのかな? あと、せっかくだし視聴者さんとお話しもしたいな。

 

……あ、ちなみにおにぎりの具はシャケ、おかか、昆布、梅干しの4種になってます。

 

 

【え?】

 

【ま?】

 

【おにぎりって……お米あるん?】

 

【マジか……他の配信だとみんなパンしか食ってないぞ】

 

【え、そうなん? 俺の見てる配信だと普通に和食あったよ? 確かにその人だけだけど】

 

【もしかしてスタート位置で食文化も違う感じか?】

 

【てことはASTOの世界って相当広いんだな】

 

【そもそも作り込みが凄いし、そう言うことなんだろうな】

 

【たしか解析厨が地図作ってたけど、分からない部分が多いって言ってたよな】

 

【普通のゲームならプレイヤーとして脚で稼げるけど、ASTOはそうはいかないから】

 

【てかおにぎり美味そう。めっちゃいい表情で食ってる】

 

【イロハくんも美味しそうに食べとる】

 

 

え、アストリア・オンラインってあんまりお米ってないの?

というかMidiAXの他の先輩たちの状況も知りたいし……色々と視聴者さんに聞いてみようかな。

 

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