新米Vtuberの神社運営生活@デスゲーム〜のんびり配信生活をするつもりが、なぜかNPCの皆さんに信仰されていました ~   作:梯子田カハシ

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第25話 先輩達との遭遇と違和感

 

御神木との会話を終えた私達は里長の館を出て仲通りを下っていた。

目指す先はエルフの里の出口と魔樹の森の入口を繋ぐシンノ川を渡る橋。

 

 

「まずは魔樹を見に行こうか」

 

「分かった。絶対にみんな助ける」

 

「そうだね、こいちゃん」

 

 

魔樹の森は動き回る木々のせいで遭難する旅人が多いってフィエリテさんが言っていたけど、巨大化スイの飛行能力を持っている私達にとっては魔樹の様子を確認しに行く程度ならそこまで難しくはない、と思う。

 

そう言えば、エルフの里に入ってからアッシュと赤兎馬と一緒に歩いたり騎乗していても特にパニックになるようなことはなかった。というか、よくよく見ると里の至る所で大きなフクロウを見かける。シルさんに聞いてみたら「お主らと一緒にいるってことは眷属なんじゃろ? ならば怖がることなかろう」って言ってたから、案外エルフの里ではよくある事なのかもしれない。

 

だから、騎乗している私達を見て他のエルフと明らかに違う反応をした集団にすぐに気づいた。

 

 

「ねえ、こいちゃん? あの人達って……」

 

「……あ、せんぱいだ」

 

「やっぱりそうだよね」

 

 

私達の視線の先には見覚えのある天使1体を連れた6人のエルフ達。

間違いない。私とこいちゃんのMIDIAXの先輩である34期生の先輩方だ。

 

アッシュと赤兎馬から降りて、私とこいちゃんは先輩達に近づく。

 

 

「あの、こんにちは。ニア先輩」

 

「こんにちは……って、やっぱり貴方達、ウチの新人よね?」

 

「はい。稲取いなほと水滸鯉、先月デビューしたばかりの69期です」

 

「そうよね……加入1ヶ月でこんなことになるなんて、貴方達も災難だったわね」

 

「そうですね。でもこうなってしまってはお互い様ですね」

 

「気遣ってくれてありがとう。……それで、そのモンスターは、急に襲ってきたりしないわよね?」

 

「はい。この子達は私とこいちゃんの眷属なので大丈夫ですよ。かわいいですよね」

 

 

私は「怖くないですよ~」と伝わるようにアッシュのモフモフな毛並みを撫でて見せる。

それを見たニア先輩達は……笑顔が引きつっていた。アッシュの可愛さが伝わらなかった。ショックです。

 

それにしても、先輩達と一緒にいる天使、なんか張り付いた笑顔をしていて気持ち悪い。

 

 

「あ、あはは……それで貴方達はこの里に何をしに来たの?」

 

「なんというか、成り行きで辿り着いたというか、そんな感じです。先輩達は……?」

 

「私達は最初のリスポーン地点がこの里だったのよ。それで、今はクエストをこなしてるところ」

 

「クエスト、ですか?」

 

「ええ。魔樹の討伐とこの里からの脱出ね」

 

「魔樹の討伐……それってこの里の御神木と関係が合ったりしますか?」

 

「御神木……のことは分からないけれど、この橋の先に魔樹が支配する森があって、魔樹を討伐すると報酬で船が手に入るらしいのよ。私達はその船でシンノ川を下って王都へ向かう予定……まあ、まだ魔樹を見たことも無いんだけどね」

 

「そ、そうでしたか……」

 

 

なんだか御神木の発言と先輩達の話がイマイチ噛み合っていない。

 

そもそも魔樹が世界樹の枝なんだとしたら討伐してしまうのは多分だけどマズい、と思う。それに、ニア先輩の口ぶりからするとこの里の御神木が弱ってることも知らないみたい。それなのに、なぜか魔樹の討伐報酬はやけに具体的に知ってるし、そもそもシンノ川の先に王都がある事は私達も知らない情報だった。

 

そんなことを考えながら顔を上げると宙を浮遊する天使と目が合う……今、睨まれてた?

 

 

「そ、それじゃ、私達は少しこの里を歩いてみるようにします。先輩達もお気をつけて」

 

「え? ええ、そうね。それじゃ、私達は魔樹の森に向かうことにするわ」

 

「そ、そう言えば、エルフ巫女のフィエリテさんと話したのって憶えてますか?」

 

「フィエリテがどのNPCのことか分からないけれど……服装が他と違うNPCと会話はしたわよ? 確か魔樹の森のことを教えてくれたのがそのNPCだったはずよ。……それにしても、最新ゲームを謳ってた割にはNPCとか、作り込みが甘いわよね、このゲーム」

 

「……そうですか?」

 

「最新ゲームあんまりやってないとそう感じるのかも。それじゃ、貴方達も気を付けてね」

 

「ありがとうございます。先輩方もお気をつけて」

 

 

軽く手を振ってニア先輩を始め34期生の先輩方が橋を渡っていく。

なんというか、途中全然話が合わなかった。それにあの天使、なんか怖かった。

 

 

「こいちゃん、ありがと」

 

「うん。大丈夫」

 

 

ニア先輩との会話中、こいちゃんは私の後ろでバレないように臨戦態勢に入っていた。

 

それくらいには先輩方と一緒にいた天使は怖かったし、先輩方も少しだけ殺気立っているような雰囲気だった。けど、その割にはニア先輩は聞けば状況を話してくれたし……とにかく全体的にアンバランスな印象を受けた、そんな感覚。それはこいちゃんも感じていたみたい。

 

 

「そう言えば、あのガイド天使、1体しかいなかったね」

 

「たしかに、せんぱいも天使を殺した?」

 

「う~ん、どうだろ。でも、あの天使に対して皆さん敵意とかなさそうだったし」

 

「そもそも、アイツちょっとデカかった」

 

「言われてみれば、最初に私が倒しちゃったやつより大きかったかも?」

 

「合体、とかかも」

 

「そうかもね……って、こいちゃん、そんな嫌そうな顔しないの……ふふっ」

 

 

こいちゃんはキライな天使たちの合体を想像したのか渋い顔を浮かべている。

 

そんな親友の表情が可笑しくて私も笑ってしまう。それを見て今度は不満げな表情を浮かべるこいちゃんが可愛くて笑いが止まらなくなってしまう。……あ、こいちゃん拗ねちゃった。

 

 

「あはは……ごめんね、こいちゃん」

 

「むう。」

 

「それじゃ、私達も魔樹の森に行こっか」

 

「……わかった。なほちゃん、今度笑ったら、ほっぺつねる」

 

「許して~」

 

 

緊張感が解けた私達はそんないつも通りの軽口を交わしながらじゃれる。

さあ、先輩達が辿り着いちゃう前に魔樹の様子を見に行きましょうっ!!

 

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