新米Vtuberの神社運営生活@デスゲーム〜のんびり配信生活をするつもりが、なぜかNPCの皆さんに信仰されていました ~   作:梯子田カハシ

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第26話 漆黒の魔樹との対面

 

「ご主人、さっきのヤツら何者なんだ?」

 

「あの人達は私とこいちゃんの事務所、う~ん……同じグループ?の先輩だよ」

 

「……その割にはよそよそしかったぞ?」

 

「同じ事務所って言っても、34期生の先輩方とは直接会ったことはないし、そもそも私達ってデビューしてから1ヶ月しか経ってないから殆どの先輩達と交流があった訳でもないんだよね。ホント、一方的に知ってるって感じ」

 

「なるほどな~……面倒くさいんだな」

 

「まあ、MidiAXも歴史が長い事務所だからね。引退した方々を含めると先輩が1,500超えるし」

 

「乗る船がデカいことは良いことだと思うぞ、ご主人」

 

「そうかな? そうだと良いな」

 

「ああ、大丈夫だよ……それじゃ、そろそろやるか、ご主人っ!!」

 

「そうだね、イロハ……スキル発動【神降】」

 

 

肩に乗ったイロハと軽く言葉を交わしてスキルを発動する。

先輩方が魔樹の森に入って10分くらい経ったし、そろそろ良いかな。

 

 

「こいちゃん、行こっか?」

 

「うん。スイ、準備できてる?」

 

「鯉殿っ!!(わたくし)めは何時でも準備万端ですぞっ!!」

 

「スイ、うるさい。……それじゃ、なほちゃん」

 

「あはは……」

 

 

相変わらずなこいちゃんとスイの会話を聞きながら、私はゆっくりとスイが巨大化するイメージを膨らませて……魔力を送り込むと……その場でミニドラがどんどん大きくなっていく。私とこいちゃん、アッシュと赤兎馬までも乗れるくらいに大きくなったスイに私達が乗ると、そのままフワッとした浮遊感に包まれる。

 

徐々に視界が高くなっていって、周囲にいるエルフ達の驚きの声が聞こえてくる。

 

 

「取り敢えず魔樹の様子を見に行きたいんだけど……先輩達には気付かれない方が良いよね?」

 

「そうだね、なほちゃん……スイ?」

 

「鯉殿、合点承知ですぞっ!!」

 

 

私達の意図を察してくれたのか、高度を上げたスイは迂回するルートで遠くに見える魔樹へと向かっていく。……改めて、イロハもスイもそうだけど、私達は本当に良い相棒に恵まれている、そんな思いを噛みしめながら私は徐々に近づく魔樹を眺めていた。

 

 

▼ △ ▼

 

 

「いよいよだね、こいちゃん」

 

「うん……魔樹、おっきい」

 

「そうだね……ホントにおっきいね」

 

 

私達がスイの背中に乗って魔樹に近づくと、より一層その大きさが際立つ。

 

魔樹、その姿は同じ世界樹の枝の先別れとは言ってもエルフの里にある御神木とは全く違う見た目をしている。太陽の光をほとんど跳ね返さない黒々とした幹が太く、高く伸びたそれは、どこまでも一直線に天に切先を突き付けるような杉の姿をしていた。

 

こちらの世界樹の枝も葉が枯れ落ちてなお、威風堂々とした雰囲気を湛えている。

 

 

「そ、それじゃ、行ってみようか」

 

「分かった。スイ……降りて」

 

「承りましたぞ」

 

 

こいちゃんの指示を受けてスイがゆっくりと魔樹の足元に降り立つ。

 

真下から見上げた魔樹は幹から広がる真っ黒な枝たちで漆黒に染まって空を見上げることを阻んでいる。横幅だけで10メートルはありそうな幹を眺めると、根元の近くに人が入れそうなサイズの窪みがあるのが分かる。私とこいちゃんは視線を交わして頷き合うと、ゆっくりとその窪みへと近付く。

 

 

「これって……剣?」

 

「うん。真っ黒エクスカリバー」

 

「とりあえず抜けるか試してみよっか?」

 

「なほちゃん先にやっていいよ」

 

「そう? ありがとう……それじゃ、失礼しま~す」

 

 

幹の麓にある窪みには1本の漆黒の剣が地面から顔を出した根っこに突き立てられていた。その姿はこいちゃんが例えたようにまさに「真っ黒エクスカリバー」といったような雰囲気で、重厚感のある太い直剣が、まるで誰かがそこに来るのを待っていたかのように鎮座している。……これって、レアアイテムだったりするのかな?

 

私はゆっくりと直剣の柄に手を掛けて…………どこか冷たい感覚が掌を通して身体の中に流れ込んでくる。

 

 

〘接触成功:漆黒の魔樹《世界樹の枝》〙

 

 

「……へ?」

 

「……なほちゃん?」

 

「えっ~と……とりあえず、こいちゃんも触ってみて?」

 

「分かった」

 

 

どこかで見たようなメッセージが視界に表示される。そして、御神木の時と同じようにこいちゃんにお願いして直剣を触ってもらった刹那、何かが凍るような音がして不思議な感覚が全身を包む。……完全にデジャヴです。

 

一瞬の浮遊感、そして何かを通り抜けるような感触がして……何も聞こえなくなる。

 

 

《エルフ以外の者がここに辿り着くとは……驚いたな》

 

 

頭の中に低い声が響き渡る。

やっぱりこのパターンですよね……今回は予想できました。

 

 

「はじめまして、魔樹様、ですよね?」

 

《いかにも。我こそが世界樹の枝にしてこの森を統べる存在だ。お前達、名は何と申す》

 

「はい、私が稲取いなほと申します」

 

「……水滸鯉」

 

《いなほと鯉だな。先に我に触れたのは……いなほだったか?》

 

「そう。なほちゃんが先」

 

《そうか、そうか。ならば喜ぶがよい。我が能力、お主に授けよう》

 

「………………えっ!?」

 

「おー、なほちゃん凄い」

 

「いやっ、こいちゃん反応薄っ!! ……って、どういうことですか!?」

 

《どういうことも、なにもない。そのままだ》

 

「いやいや。そのままって、いきなりそんなこと言われても信じられないです。……それに私達、ただエルフの里の御神木に言われて調査にきただけなので」

 

《……む。御神木と言うと、我の片割れに会ったのか?》

 

「はい、そうです」

 

《ならば……少し説明しないといけないな。まずは我々についてだが……》

 

 

説明があるなら初めからそうして欲しかったですっ!!

……とは叫べずに私とこいちゃんは語り始めた魔樹の話に耳を傾けるのだった。

 

 

 

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