新米Vtuberの神社運営生活@デスゲーム〜のんびり配信生活をするつもりが、なぜかNPCの皆さんに信仰されていました ~   作:梯子田カハシ

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第29話 34期生 エルフ・エレメンツ

 

突然の先輩からのコラボ打診にビックリしている私の袖をこいちゃんが引っ張る。

そうだよね。まずは一回、冷静になってこいちゃんと相談してみよう。

 

 

「あの、ちょっとだけ同期と相談していいですか?」

 

「ええ、構わないわ。むしろ突然こんな相談してごめんなさい」

 

「いえいえ、先輩のお誘いですから。少しだけお待ちください……」

 

 

私はニア先輩に頭を下げてこいちゃんと少し離れた場所に移動する。

 

アッシュはまだ先輩達を警戒しているみたいで、姿勢を低くしたまま注意深く先輩達と天使の様子を伺っている。私もチラッと先輩達の方を見ると、やっぱり天使がこっちに視線を向けているのに気付く。……なんというか、気味が悪い。

 

 

「それで……こいちゃん、聞こえてた?」

 

「うん。鯉はどっちでも良い。なほちゃん、どうしたい?」

 

「うーん、ちょっと不安な部分はあるけど……もし「大穴」を攻略をするんなら先輩方も協力してくれたら嬉しいなって思うし、それに先輩とコラボできるなんて登録者さんを増やすチャンスだし……」

 

「そしたら……?」

 

「やってみたい、かな」

 

「うん。それじゃ、やってみよう」

 

 

私とこいちゃんは視線を交わして頷き合う。こうなったら、やってみるしかない。

それに、もし何かあればアッシュと赤兎馬で逃げちゃえばいいや。

 

そんなことを考えながら、私達はニア先輩達のところに戻る。

 

 

「いま配信を中断してるから安心してね。それで……どうだったかしら?」

 

「コラボ、ぜひお願いしますっ!!」

 

 

私が覚悟を決めてそう告げると、ニア先輩は少し驚いたような表情を浮かべる。

だけど、すぐに優しい笑顔に戻って私とこいちゃんの手を握る。

 

 

「ありがとう!! ほんと急に誘っちゃってごめんね」

 

「いえいえ。こちらこそ誘って頂いて、ありがとうございます」

 

「それじゃ、配信再開する前に自己紹介をしちゃいましょう」

 

「自己紹介、ですか?」

 

「ええ。貴女たちとはこれまであまり関わってこれなかったし」

 

「あ、そうですよね。それじゃあ、よろしくお願いします!!」

 

 

私達はお互いに向かい合う形で立つ。

 

私とこいちゃんの傍らにはアッシュと赤兎馬も並んで、先輩達も横一列に整列する。思わず背筋が伸びちゃうシチュエーションだけど、ふと横を見てみると、こいちゃんはあんまり緊張していないみたい。こういう時はこいちゃんの芯の太さというか、強心臓が羨ましくなったりする。

 

さあ、先輩達にしっかり自己紹介をしよう。

 

 

「改めて、先月デビューしました。MIDIAX69期 稲取いなほ、見ての通り巫女です。えっと……この子がイロハ、この子がアッシュって言います。よろしくお願いします」

 

「水滸鯉。なほちゃんの同期で親友。この子が赤兎馬。あと、一応、今は武器だけど昇鯉偃月刀《しょうりえんげつとう》も眷属。先輩達、よろしく」

 

 

自己紹介をした私達は2人で頭を下げる。

顔を上げると先輩方もパチパチと拍手をしてくれていた。

 

 

「2人ともありがとう。もう知ってるかもしれないけれど、私達の自己紹介もしちゃいましょうか。まずは私から。MIDIAX34期生「エルフ・エレメンツ」リーダーのニアよ。そして……」

 

「ほい。俺がエルフ・エレメンツ炎担当のイグだ。しくよろ~。そんで…」

 

「はい、私がエルフ・エレメンツ水担当のアクアよ。よろしくね」

 

「そして、私がアクアちゃんの双子の姉、エルフ・エレメンツ風担当のアリアよ。アクアちゃんと間違えやすいから気を付けてね~。そして……」

 

「最後は俺だな。エルフ・エレメンツ副リーダーのテラだ」

 

 

先輩方もニア先輩を皮切りに自己紹介をしてくれる。

 

MIDIAX34期生、通称「エルフ・エレメンツ」。MIDIAX創設メンバーだったエルフがモチーフの1期生の引退を機にデビューを果たしたエルフ、そして5大要素をモチーフにした5人組メンバー。30番台のデビュー組では唯一メンバーの引退がない期でもある。……要するに、私達にとっては大先輩。

 

 

「まあ、俺達5人でちょうど冒険者パーティーっぽい役回りが揃ってる感じだな。いなほちゃん、鯉ちゃん、ここで会ったのも何かの縁だし、仲良くコラボ配信を出来たらと思う。よろしくな」

 

 

そう言ってガッチリとした身体つきをした副リーダーのテラさんがニカッと笑う。

 

よく見ると、先輩方それぞれが違う武器を持っている。私やこいちゃんの事例を考えれば、先輩方もそれぞれの要素に合わせた能力、武器を持ってるんだと思う。

 

 

「やっぱり皆さん、武器が違うんですね」

 

「ああ、そうだな。炎担当のイグが火炎剣を装備した魔法剣士、水担当のアクアが水魔法メインの魔法使い、風担当のアリアが風魔法バフの入った弓使い、そんで俺が土魔法が使えるタンク職って感じだ。リーダーのニアは……まあ、見てからのお楽しみってことで。改めて、結構バランスが良いパーティーだと思うぜ」

 

「そうですね。なんか、RPGゲームっぽいです」

 

「ぽいもなにも、ASTOはVRMMORPGだからな。まあ、コメントによれば君達もなかなかユニークにプレイしてるみたいだし、楽しみにしてるよ」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

「……ちなみになんだが」

 

「はい?」

 

「君の眷属、襲ってこないよな? めっちゃ怖いんだけど」

 

「はい。大丈夫ですけど。それに、かわいくないですか?」

 

「そうか。ならいいんだ」

 

 

それだけ言うとテラさんはそそくさと配信に戻る準備をしている先輩方の方に戻っていってしまう。アッシュ、そんなに怖いかな? 私からするとモフモフした大きめのシベリアンハスキーくらいの感覚なんだけどなあ。

 

そんなことを思いながらアッシュを撫でていると、ニア先輩が私達の元に向かってくる。

 

 

「それじゃ、そろそろ配信をはじめましょう」

 

「分かりました。私達も準備しますね」

 

「うん、お願いね。最初はそれぞれで、コラボの案内が終わったら合流しましょ」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

 

さあ、せっかくの先輩達との初めてのコラボ配信。気合を入れていこう。

私はこいちゃんと最初の流れを確認してからメニュー画面を開いて配信をスタートする。

 

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