新米Vtuberの神社運営生活@デスゲーム〜のんびり配信生活をするつもりが、なぜかNPCの皆さんに信仰されていました ~   作:梯子田カハシ

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第31話 見えかたの違いとフィエリテ乱入

 

「え、アッシュの見え方が違うって、本当に?」

 

「分かんないけど、鯉のコメントにも同じようなの来てた」

 

「画質とかの問題じゃなかったら、バグってこと?」

 

「みんな、教えて」

 

私達(エルエレ)の視聴者さんもお願い。確認してくれるかしら?」

 

 

こいちゃんに続いてニア先輩も視聴者さんに呼びかけてくれる。

 

でも、進化したタイミングを除いて初めて会った時からアッシュの姿は変わっていない。進化してシルヴァーウルフになった時も基本的には顔や表情には変化はなかった。……これは、配信を見ている視聴者さんしか確認しようがない。とにかく、実際どうなのかを聞いてみないと納得できない。

 

 

【いま二窓しとるけど、全然違う】

 

【まって、アッシュめっちゃ怖いんやけど】

 

【それな。超リアルな狼が睨んでる&牙を見せて唸ってるみたいな顔してる】

 

【そりゃエルエレも怖がるわけだわww】

 

【まじか。この狼こんな感じなん? かわいいやん】

 

【てか、昨日の配信でアッシュ知ってたから、違和感が凄かったわww】

 

【分かる。なんかこいちゃんの赤兎馬も威圧感あるし】

 

【これってバグなん?】

 

【それはそう。プレーヤーによって見え方が違うって、そのまま世界が違って見えてる訳やし】

 

【そう考えると、それだけで不公平になり得る現象だもんな】

 

【エルエレの方だとイロハきゅんが何かかわいくないっ!!】

 

【マジで何が原因なんやろ】

 

【それな。運営への報告案件だろ、これ】

 

 

……コメントを見るかぎりだと、本当にアッシュの姿が違って見えているみたい。

ちらほらイロハや赤兎馬も見た目が少し違って見えているというコメントも来ている。

 

原因は分からないけど、これってやっぱりバグだよね。

 

 

「これ、もしかして先輩方と私達の間でも見え方が違ったりするんでしょうか?」

 

「それは……どうなのかしら。いなほちゃんはなんでそう思ったの?」

 

「さっきから先輩方がアッシュを怖がってたのが印象的だったんです。私から見るとアッシュって大きなワンコっていうか、どちらかと言うとかわいいイメージなので……」

 

「……そうだったのね。これは、視聴者さんに確認して貰わないと確認できないわね」

 

「そうですね。少し引きで撮影してみて比べてみますか?」

 

「ええ、そうしましょう。」

 

 

私達は浮遊カメラを固定させて、少し離れた場所で並んでみる。

 

左側から先輩達5人、私(withイロハ)とこいちゃん、アッシュと赤兎馬の並びでカメラの画格に収まる。何故か天使はカメラ側に浮遊して私達を眺めている。それを見たこいちゃんがニア先輩の肩を叩く。

 

 

「せんぱい。アイツも映して」

 

「こいちゃん、アイツって……天使のこと? なんで?」

 

「なんかカメラから逃げたみたいだった」

 

「そう? それなら……貴方、来てみて?」

 

 

ニア先輩に呼びかけられた天使は、少し嫌そうな表情を一瞬浮かべてこちらに飛んでくる。画格の一番左側に天使が入って、全部で11人(匹)が画面上に並んで、それと同時にコメントも増える。

 

 

【こうやって見比べると全然違うなあ】

 

【なんか間違い探しっぽいなww】

 

【こいちゃん、なんか睨んでる?】

 

【こいちゃんって異常に天使嫌ってるよねww】

 

【それな。自分の天使倒したって言ってたし】

 

【お、噂をすれば天使登場や】

 

【……なんかデカない? 天使ちゃん】

 

【それな。あと微妙にモヤがかかってる?】

 

【マジで間違い探しレベルやんww】

 

【うん。でも確かに違うわ】

 

 

……アッシュの見え方が違うのはそうだけど、やっぱり天使も少し見え方が違うんだね。それに、カメラに映りたがらなかったってことは、もしかして最初から自分の見え方が違うことを分かっていた……?

 

そんなことを考えながら視界の端のコメントを見ていると、急に日差しが遮られて影が生まれる。上空を見上げてみれば、巨大ミミズクのハロルド君に乗ったフィエリテさんが私達に手を振っていた。

 

 

「いなほさあ~ん!! こいさあ~ん!!」

 

「えっ!? フィエリテさんっ!?」

 

「フィーが飛んできた」

 

 

バサバサッという羽音とともに私達の前に着陸したハロルド君から降りたフィエリテさんが駆け寄ってくる。かなり息も上がっているし、なんだかすんごく慌てているみたいだ。ギュッと私とこいちゃんの手を掴んだフィエリテさんが上目遣いで私達を見つめる。

 

 

「いなほさん、こいさん!! やっと見つけました!!」

 

「フィエリテさん? そんなに慌ててどうしたんですか?」

 

「フィー、慌てすぎ」

 

「それは慌てますよ!! 魔樹が消滅したんですよ!? それに御神木が……」

 

「フィー、安心する。魔樹パワーはなほちゃんがゲットした」

 

「魔樹パワー? こいさんは何を……?」

 

「それは一旦置いて置いて大丈夫。それで、御神木がどうしかしたんですか?」

 

「あ、そうでした。御神木が少し復活したんです!! 御神託では一時的、とのことでしたが……」

 

 

そう言って心配そうな表情を浮かべるフィエリテさんの手を私はギュッと握り返す。

 

 

「フィエリテさん、わざわざ教えに来てくれて、ありがとう。私達でも少し解決方法が分かってきたところだったから、参考になりました。もう少ししたら里に戻りますね」

 

「分かりました。魔樹が消えたと思ったら、その場所にお2人が居たからビックリしました」

 

「あはは。ごめんね、フィエリテさん」

 

「もう、分かればいいんです。それでは私は里に戻りますね」

 

「うん。それじゃあ、またあとで」

 

「フィー、ばいばい」

 

「はい。それでは……あと、すいません。分かってるかもですけど、あの生き物、擬態してますからお気を付けて。それでは!!」

 

 

私達から離れる刹那、フィエリテさんは小声でそう伝えてくれる。

 

そのまま何事もなかったかのようにフィエリテさんは一歩後ろに下がってハロルド君の背中に乗る。私とこいちゃんが手を振ると、フィエリテさんは軽く頷いて、そのままハロルド君と一緒にエルフの里へ飛び去っていく。

 

 

急にフィエリテさんが来るからビックリした。

それよりも、今って……コレボ配信中だったっ!!

 

 

「あ、あの……すいません。配信の流れが……」

 

 

とりあえず謝らなきゃと思って私は先輩達の方に振り返って頭を下げる。

……反応がないから顔を上げてみると、先輩方は呆然とした表情で私達を見つめている。

 

 

「え~っと、あの、どうかされましたか?」

 

「言いたいことは色々あるのだけど……貴方達、彼女と何を話していたの?」

 

 

不思議そうな表情を浮かべたニア先輩がそう言って近づいてくる。

何を話していたも何も、聞こえる距離にいたと思うんだけど……それよりも、なんか視界の端のコメントが物凄い勢いで流れて行っているのが何となく分かって、ちょっと怖い。あれ、私なんかしちゃいました?

 

 

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