新米Vtuberの神社運営生活@デスゲーム〜のんびり配信生活をするつもりが、なぜかNPCの皆さんに信仰されていました ~   作:梯子田カハシ

33 / 33
第32話 混乱、そして疑念

 

「何を話してたって……聞こえてましたよね?」

 

「せんぱい、隣にいたけど聞こえなかった?」

 

 

私とこいちゃんはニア先輩の質問の意図が掴めず、顔を見合わせて首を傾げる。それを見たニア先輩は、少し緊張したような表情を浮かべている。

 

 

「ええ。確かに私達は貴方達のすぐ隣に居たわ。でも、貴方達の声しか聞こえなかったし、それに、あのエルフはずっと無表情で、貴方が言ったみたいに慌てている素振りなんてなかったのよ」

 

 

「それは流石に……え、本当ですか?」

 

「ええ、本当よ。コメントが来てない?」

 

「えっと……」

 

 

ニア先輩に促された私は視界の端のコメント欄に視線を集中させる。

さっきから物凄いスピードでコメントが流れていたのは感じてたけど、改めて見ると勢いが凄い。まさにコメントを読むので精一杯、って感じ。

 

 

【ええええ、マジでどーなってるん?】

 

【まったく同じ構図なのに全然ちゃうんやがwww】

 

【あのエルフ、里に居た巫女だよね?】

 

【そう】

 

【めっちゃ話すやんwww】

 

【てか稲穂ちゃんも鯉ちゃんもフランクに話すなwww】

 

【エルエレ側だとめっちゃ無愛想なのにいなこい側だとめっちゃ笑顔に見える】

 

【知り合い?】

 

【わからん。でも仲良さそう】

 

【エルエレ側で聞いてると基本いなこいの声しか聞こえん】

 

【どーなってるんこれ?】

 

【いや、こっちが教えて欲しいわwww】

 

 

これは……やっぱり先輩達と私達で見え方が違うってこと?

 

コメントを見る感じだと、ニア先輩達以外の先輩方の配信でもNPCは表情が乏しくて、必要最低限の会話しかしないみたい。……ということは、むしろ私とこいちゃんがレアケースってこと、なのかな?

 

 

「これは……なんででしょう?」

 

「不思議ね……2人は最初からNPCと話せたのかしら?」

 

「はい。最初にリスポーンした時から普通に話せましたね」

 

「そうなのね……」

 

 

ニア先輩は考え込むように俯く。

 

その間に他のエルフ・エレメンツの先輩方とも話してみたけど、他の4人もニア先輩と変わらずNPCはずっと表情が薄かったみたいだった。何か理由があるとするなら、原因を解明できた方が良いと思う。私達と先輩方のスタート時点からの違いって、何かあったっけ……

 

私も頭を捻りながらコメント欄に目を向ける。

 

 

【最初からってことは、この2人が特殊なんか?】

 

【本人たちの感じ故意じゃなさそうやし、スキルとかでもない?】

 

【それな。スキルかなって思った】

 

【そう。でもスキルだったらステータスに書いてるだろうから本人達が知らんわけない】

 

【エルエレといなこいの違いを見比べてみるとか?】

 

【たしかにそれはあり】

 

【つっても、いなこいは最初の4日くらい配信してなかったし……】

 

【そう言えばそうやったな。解析班は無意味か】

 

【まあ。本人達の記憶を辿れば理由分かんだろ】

 

【最初のNPC接触のタイミングとかは憶えてんだろ】

 

【いや、マジで大事やん】

 

 

……考えてみれば、私が最初にNPCと接触したのはヤスケ君とヤヨイちゃんを助けた時。

 

その前だと、1期生の宗近さんと神楽耶さんと会った時で、その前は……イロハと話してた。イロハが最初に喋りかけてくれたのは……私がガイドの天使を間違って倒しちゃった時だったよね。

 

 

「……あっ!」

 

「なにか分かった、いなほさん?」

 

「あの、先輩方ってAIガイドの天使って1体しかいないですけど、最初は1人1体いましたか?」

 

「ええ、そうね。ガイド天使なら私達が合流できたタイミングで合体して1体になったの」

 

「そうなんですね……こいちゃん、嫌そうな顔しない」

 

「キモい……」

 

 

こいちゃんが露骨に嫌そうな表情を浮かべて、思わず笑ってしまう。

 

それでも、こいちゃんの直感、特に人を見る目は、昔からかなり鋭いところがあった。それに、これまでの経緯を思い返してみると、確かに確信に近づいていっている感覚がある。つまり……私達と先輩方の違い、フィエリテさんの発言、さっき配信に映りたがらなかった天使の態度、そして、こいちゃんの勘。ただ、確証がない。

 

 

【てか、普通にいなこいの2人が怪しくね?】

 

【なんで?】

 

【だって、MIDIAX側もデスゲーム始める1か月前に素人の新人入れるか?】

 

【う~ん……言われてみれば、そうなのかあ?】

 

【もし運営側だったら普通に許せないんだけど】

 

【まあ、まだそうと決まった訳ではないし】

 

【いや、正直な話、普通に犯罪者やろ】

 

【そうだとして、いなこいの2人がそうかは分からんやろ】

 

【いなこい懐疑ニキ急に出てきたな】

 

【でも状況的にありえなくはない、のか?】

 

【話飛躍しすぎやろ】

 

 

……視聴者さんも考えてくれてるけど、なんが話が変な方向に進んでいる。

 

私達が運営側?そんなわけないじゃん!!と言いたいんだけど、確かに今回の事件が発生する1か月前に加入した新人が初手からかなり有利になりそうなバグを持ってたら疑いたくなる気持ちもわかる。

 

 

「みなさん。憶測だけで話を進めないように」

 

「そうだぞ。後輩への誹謗中傷は俺達が許さない。MIDIAXはずっとそうだろ?」

 

 

先輩達のコメント欄も雲行きが怪しくなってたのか、ニア先輩が視聴者さんに釘を刺してくれる。それに同調するようにイグ先輩がカメラを覗き込んで、他の先輩方も頷いてくれる。

 

 

「あの……ありがとうございます」

 

「いいんだ。そもそも君らが運営だったら俺らにNPCと話すところなんて見せないだろ?」

 

「そう……なんですかね? でも、嬉しいです」

 

「おうっ!! ……なあ、この後輩ちゃんたち素直でかわいいんだけど。最近は生意気な新人が多かったからメッチャ新鮮な気分だわ」

 

「イグ、そんなこと言ってっと前みたいに炎上すんぞ。炎担当だけに」

 

「うるせー!! 思ったこと言って何が悪いんだ!!」

 

 

先輩達のヘルプもあって何とか私達に向いた言葉が収まってきた。

それでも、無実を証明しないと疑念はぬぐえないと思う。何かいい手は……

 

 

「……なほちゃん」

 

「ん? こいちゃん、どうしたの?」

 

「フィーがアイツが擬態してるって言ってた」

 

「? うん、確かに言ってたね」

 

「なほちゃんパワーで擬態を解除できる? スイをおっきくする感じで」

 

「それは……やってみよっか?」

 

「うん。化けの皮が剝がす」

 

 

そう言って天使を見つめるこいちゃんの視線を追って私も天使を見ると睨むような、恨めし気な視線が突き刺さって……やっぱり、ちょっと怖い。けど、物は試し。やってみるしかないよね。

 

 

「イロハ……【神降】」

 

「了解だ」

 

 

私は全身を包むスキル発動の感覚とともに真っ直ぐと天使を見据えた。

さあ、白黒着くか、やってみようじゃないっ!!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

妖狐の私、人間の社会で稼ぐためVtuberとして百合営業をしていたら相方の化け狸がガチだった件(作者:パッタリ)(オリジナル現代/日常)

 信仰が薄れ、妖怪も自力で稼がねば生きられない現代社会。妖狐のシズクは生き残るため、化け狸のコノハと組んでVtuberとなり、百合営業で日銭を稼いでいた。▼ しかし、画面の向こうで可愛らしく甘える相方の感情は、営業などではなくガチだった。▼ 防犯設備を妖術で容易く突破し、数百年の執念がこもった極上の手料理で胃袋ごと支配しにくる化け狸。▼ これは、平穏な生活を…


総合評価:906/評価:8.62/完結:30話/更新日時:2026年06月21日(日) 12:15 小説情報

死んでも復活して永劫の時を生きる摩耗しかけた女魔王様と死にかけていたところを拾われたTS転生者が互いに互いの脳を焼いた話(作者:団結せよ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 死んでも復活し続けて摩耗している感じの永劫を生きるちょっと抜けてる魔王系お姉さんが、異世界転生して口減らしのために売られてアホみたいに過酷な労働環境から命からがら逃げだしたTS転生者を気まぐれに拾った結果、割と取り返しのつかないレベルで依存しあう関係になっただけの話。


総合評価:1593/評価:8.67/連載:4話/更新日時:2026年05月26日(火) 12:12 小説情報

デッッッッカ……グラマトンのTS少女によるブルーアーカイブ(作者:冴月冴月)(原作:ブルーアーカイブ)

 デッッッッカ!(身長が)▼ しっっっっろ!(肌が)▼ うっっっっす!(身体が)▼ なデカグラボディに転生した奴の話。


総合評価:1296/評価:8.41/短編:5話/更新日時:2026年04月25日(土) 17:10 小説情報

添い寝してもらわないと眠れない女の子in百合猛獣だらけの女子寮 〜案の定美味しく食べられてしまうと思いきや、女たらしの才能に目覚めてしまいます!?〜(作者:鐘楼)(オリジナル現代/恋愛)

毎日姉に添い寝をしてもらっている少女、花平希沙音は高校一年の夏、ついに「一人で眠れるようになりなさい」と姉の家を追い出されてしまう。▼一人で眠れる気がしなかった希沙音は、なんとか添い寝を頼めないかと転居先の女子寮で出会った親切な少女、伊咲深白にお願いをする。▼しかし、深白は何人もの少女を手篭めにしてきた悪女だった。▼案の定、希沙音も深白に美味しく頂かれるのか…


総合評価:2457/評価:8.89/連載:29話/更新日時:2026年07月10日(金) 12:05 小説情報

《少しお休みします》TSしたからバ美肉ということにして配信をしてみた(作者:大崎 狂花)(オリジナル現代/コメディ)

色々事情があり、少しお休みしようと思います。申し訳ありません▼TSして女の子になったおじさんが、バ美肉と称して配信をするという話です。どうなるかわかりませんが、試しに始めてみます。▼


総合評価:1973/評価:7.88/連載:26話/更新日時:2026年05月13日(水) 23:13 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>