ポ ス ト ア ホ カ リ プ ス 作:乾パン
自前の自転車ではーしりだすー!!行く先もわからぬまま〜!暗い夜の帷の中で〜!はい、探索してたら夜になりました。つか尾◯豊結構難しい。
つか、マジでどうなってるんだ?近くの小学校や中学校、市民館みたいな避難場所になりそうなところは大抵見て回ったけどマジで何処にも誰も居ない。
居るのは玄関先に居た黒い死人だか何だかよく分からない化物だけ……頑張って逃げたけど。
道を歩く人影も人っ子一人居ない、コンビニ店員は居ないし、いつもラッパ吹いて歩いてる不審者も居ない……いや、この状況で居た方が怖いけど。
公衆電話も使ってみたけど、友達のケータイ番号なんて覚えてねぇ!文明の利器に頼りすぎた結果がこれか……無念。
「マァジでどっしよっかなぁ。」
現在は公衆電話のある人気のない市民館で一人うなだれてます。いやぁ、この市民館すごいよ、窓ガラス全部割れてる、何処の輩が襲ってきたのかね?ハハハァッ!
本格的に不味いなぁ。てっきり避難所に人が集まってると思ってたから割と軽装で出てきたけど……予想以上の長旅になりそうだ。
かといって荷物を取りに戻ったらまたあの死人モドキとエンカウントだろ?嫌だよそんなの。
八方塞がりかぁ……どうしよっかなぁ、このままこの辺で隠れられる場所見つけて籠もるのが一番いい気もするけど、食料も水もねぇしなぁ……
「マイケル、どうしたらいいと思う?」
マイケル、答えてよ!答えてよマイケル!……駄目だ、笛付きシューズの音しか出さねぇ。俺ぁ赤ちゃんか!
だけど、少し気になることもあった。コンビニや購買をのぞいてみると、裏の備蓄も含めて商品が根こそぎなくなってる。
火事場泥棒にしてはやることが大胆すぎるし、アレだけの量を一気に運び出したとも考えづらい……つまり、どっか近くに暮らしてる人が居て、少しずつあの品物を運び出してきた人達がいるってことじゃないか!?
あれっ?俺頭よくね?さっきまでマイケルマイケル言ってたのに!?なんか急に冴えてきた!
まぁ、兎に角。そう遠く無い所に人は居ると思うんだ……問題は何処に居るのかだけど……ショッピングモールがベターだとは思うんだが、さっきこの町数少ないショッピングモールに会ってみたんだが、人っ子ひとり居なかった。
隠れてる可能性もあるけど、思いっきりマイケルを鳴らして助けを求めてもでてこなかったから、仮に人が居たとしても多分新手の化物扱いだと思う、悲しい。
「まぁ、日も暮れてるし考えるのは明日にするか……乾パン美味えなやっぱ。」
いや、冗談抜きで乾パンが美味い。腹持ちいいし、乾パン生み出した人は天才だな、中身は結構詰まってる。
飯の問題はなんとかなりそうたけど、問題は飲水だな……長く見積もっても2日分しかねぇ。
飲料水も根こそぎ取られてたし、いよいよやべぇな……最悪近くの川の水でも濾過して飲むか……あぁでも道具用意しねぇと……
「……っし!任せた!明日の俺!」
取り敢えず後の事は明日の俺に任せて俺はもう寝ちまおう!そうしよう!おやすみマイケル……
……ZZZZZZ……
―――
もはや何も辺りを照らすことのない真夜中……窓ガラスの割れた市民館、既に誰も立ち寄るはずのないその場所に、一つの人影と、その人影に近づく異形の影があった。
人影はエントランスで、どんな心臓をしているのかすっかり安心しきってすやすやと寝ている。
だが、その安眠にくぎを差すように3Mはあろう異形の巨漢は、丸太のような棍棒になった己の腕を引きずり、建物の中へ入っていく。
ガリガリと棍棒が引きずる音が吹き抜けのエントランスに響いても、その人影は犬っころのぬいぐるみを後生大事に抱きしめるだけだ。
その傍から見たら間抜けにも見える姿の青年に、異形は大きく棍棒を振り被る……そして、そのでたらめな筋力の下に、その青年に鉄槌を浴びせんと振り下ろした。
「―――!?」
「繧ャ繝ォ繧ャ繝ォ!!!」
だが、異形の巨漢が鉄槌を振り下ろすよりも早く、
それは、一言で表すなら異形の犬…ろ犬と呼ぶには可愛げも肉も無い姿だが、四足に尻尾、鋭く尖った牙、そそり立つ2つの耳、そして主君を守ろうと巨大な敵に立ち向かう姿は間違いなく犬――いや、猟犬の特徴だ。
だが、それは我々の知るイヌではないことも一目見れば分かる。
4足と入っても、実際にはその尻尾がまるで人の手のように見え、事実上の5足。
鋭く尖った牙には返しがつき、隙間からは犬というよりもカエルに近しい舌が見える。
耳は耳の形をしているが、一目見れば角にしか見えない。
イヌのようで犬ではない、ほんの少し犬なその猟犬は、その異形の首元に食らいつくと骨を軋ませる音を鳴らしながら噛み砕いていく。
異形の巨漢には既に口はない、爛れた黒い肉に塞がれているからだ。故に叫び声は上げないが、苦悶と苦痛を感じているのは悶えるその姿で分かる。
猟犬は、その異形の首元の肉をえぐり取ると咀嚼しながら腹ごなしと言わんばかりに噛み砕いて飲み込む。
伸びる細長い舌をぺろりと這わせて、目の前に立つ肉塊に狙いを定める。
一方、異形の巨漢の方は悲惨だ。首元を抉られた、本来であれば、もうそう長くはないだろう。息もしづらくなってくるはずだ……だが、異形にはそんなのは関係ない、それを考える思考の余裕すら無い。
異形の巨漢が、異形の化け物がもつ思考は一つだけ……自分以外の生きている全てを襲い、殺す。
それだけだ、たとえその過程で己の命が消えようとも、目の前に自分以外の生きているナニカが居るならば、襲って殺す。それだけだ。
実に哀れだが、もはやこの化け物はそう
化け物は、その棍棒を再度こんな事が起きているにも関わらずぐぅぐぅと寝息を立てているバカな青年へと振り下ろそうとするが、猟犬はそんな化け物を噛みつき、引っ掻き、全力で止める。
「繧ャ繝ォ繧ャ繝ォ!!繧ャ繝ォ繧ャ繝ォ!!」
「――――!!!」
何度もかみつかれ、皮膚を抉られ、そこで漸くその異形は自らを阻む猟犬を真っ先に潰すべき敵として見定めた。
異形は、巨体に似合って力自慢なのか片腕で猟犬を振り払い、その猟犬を潰そうとその鉄槌を振り下ろした。
振り落とされ地面を転がる猟犬、振り下ろされる棍棒、もはやこのまま潰されるのを待つだけ……そう思いきや、次の瞬間その猟犬は驚くべき変化を遂げた。
先程まで4足で縦横無尽に這い回っていた癖して、次の瞬間
ボキボキと嫌な音を鳴らしながら身体を変形させ、まるで怪獣の様な体型へと変化する。
猟犬は、身体の一部を欠けさせながらも、真正面から棍棒を受け止め、振り下ろした一瞬の化け物の硬直をついて、化け物へと飛びかかり今度はその頭へと大顎を開き……次の瞬間、噛み取ったのだ。
地面着地した猟犬は、口に化け物の頭を持っていた。そして、猟犬はボキボキと音を鳴らして、先ほどの肉片とおんなじように噛み潰し、咀嚼し、飲み込んでしまう。
一方化け物の方は……首が取れたせいかその場に力なく倒れ、ピクピクと身体を痙攣させていた。
そんな化け物に、猟犬はそっと近づき……その身体を相応の時間を掛けて貪った。
噛み砕き、咀嚼し、飲み込み、噛み砕き、咀嚼し、飲み込み、ひたすらに食らい続けた。
やがて猟犬は異形を食い終えると、そっと青年の身体の中へと、まるで犬小屋に入るように戻っていく……それからも、猟犬は主の身体の中ずっとその目を光らせていたと言う。
翌朝――。
「……なんか妙に腹一杯だなぁ。」
青年は、夜中に起きたことなどまるで知らぬまま自身の身体に起きた謎の満腹感に小首を傾げるのだ。
「……まぁ、いっか。少し遠出するし、早めに出発すっかぁ!」
青年はぬいぐるみを片手にもって自身の異変や自身に何が起こってあるかなんて気にもとめず、自転車へとまたがり、もう誰も居ないはずの町を走る……既に終末を過ぎ去った世界、ポストアポカリプスの世界を…………何も知らぬまま。
「チャ〜リ〜マイフレ〜ンド〜♪……うおっ!?飛び出し!?」
道角から飛び出してきた人を避けて、チャリごとコケる青年……対して、飛び出してきた少女は、そんな青年をみて、この世の物とは思えない反応を示す。
「っ!?こんな所に……人っ……?」
「……」
「あ、貴方!?見ない顔だけど、なんでこんな所に!?
「…………」
「あのっ!聞いてるの!?」
「………………」
「ちょっ!?無視しないでよぉ!」
「……………………」
「……えっ、気絶してる!?」
どうやら、自転車でコケて頭を打った時の打ち所が気絶してしまった様だ……少女は大慌てで青年の介抱を急ぐのだった。
みんなも急な飛び出しには気をつけよう!!