疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第143話 お祭りの熱気

 会場内を歩き始めると、再びあの独特な熱気が肌を刺すようにまとわりついてきた。

 すれ違う人々は皆、額に汗を浮かべながらも、目を輝かせていた。

 手にはおそらくシャッターサークルや壁サークルの紙袋、タオルやうちわ、凍らせたペットボトル。

 そこかしこに戦利品を手にした者たちの満足げな表情があり、誰もがこの暑ささえもお祭の一部として受け入れているようだった。

 

 壁に貼られた巨大なポスターが視界を圧迫し、どのブースも活気に満ちている。

 コスプレエリアではカメラのシャッター音がひっきりなしに鳴り、カラフルな衣装の参加者たちがポーズを決める姿があちこちにあった。

 

 その中を、女騎士姿のヨシノリと並んで歩くというのは、かなり目立つ行為だったらしい。

 

「……見られてるね」

 

 隣を歩くヨシノリは、まだ女騎士アイシャのコスプレ姿のままだ。

 軽くウェーブのかかったウィッグに、中世ヨーロッパ風のドレス。

 昼の熱気と疲労の入り混じる会場内でも、その存在感はひときわ目を引く。

 

「美人の女騎士が歩いてたら、そりゃ目立つわな」

 

 ホール内には巨大な垂れ幕やポスターが天井近くまで張り出されていて、目に飛び込むたびに思わず立ち止まりそうになる。

 

 どのスペースにも並ぶのは、作り手の熱量が込められた作品たち。

 汗を拭いながら声を張り、笑顔で新刊を渡すサークルの人々。

 

 その全てが〝好き〟と〝努力〟の結晶だった。

 

「喉渇いた……あっ、ちょっとこっち見て!」

 

 ヨシノリに引っ張られ、休憩ブース脇にある自販機まで移動する。

 冷えたスポーツドリンクを買おうとすると、そのラベルには、俺が昔から好きだったイラストレーターの描き下ろしイラストがあった。

 そういえば、コミケでは毎年コミケ限定の飲み物が販売されるんだったっけか。

 

「これ……まかセロリ先生のイラストだ!」

「伊藤先輩とどっちが有名?」

「まあ、現時点ではまかセロリ先生だな」

 

 答えながら、少しだけ苦笑してしまう。

 あんまり格付けはしたくないが、未来ではほぼ同格くらいの知名度になっているはずだ。

 

 どっちも超大手Vtuber事務所所属のVtuberの〝お写真を撮った〟イラストレーターだからな。

 他に有名な人でいえば、未来での大人気Vであるこんばん山月で有名な獅子島レオや土佐つばさの担当イラストレーターのけもみ先生とかだろうか。

 

「期間限定らしいよ。一本いっとく?」

「こんなん即買いだろ」

 

 その一言に即座に買い、自販機前で開封と同時にスマホで撮影する。

 この小さなボトル一つすら、ここでしか手に入らない体験だった。

 

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