疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
後日、文化祭実行委員会がある教室へ向かうと、不敵な笑みを浮かべた岡先輩が仁王立ちして俺を待っていた。
「待ってたよ、田中君」
「例の話は?」
「もちオッケー! いやぁ、女神ちゃんがミスコンに出てくれるとなれば、ステージの使用時間をちょこっと融通利かせるくらいわけないからね」
岡先輩は人の悪い笑みを浮かべたまま、腕を組んでうんうんと頷いた。
「それで、わざわざここに足を運んだってことは追加オプションがほしい感じ?」
「察しが良くて助かります」
「お主も悪よのぅ」
クツクツと笑い声を零すと、岡先輩は腕を解いて椅子に座り直した。
「それで、条件は?」
俺は多田野に勝つため、そして何よりもアミたちのバンドによるステージが最高に盛り上がるための仕込みについて岡先輩に詳細を話した。
「なるほどねぇ……」
話を聞いた岡先輩は一瞬思案するように口元を覆うと、ニヤリと口角を吊り上げた。
そして楽しげに声を上げて笑う。
「いいね。そういうの大好きだよ! 盛り上がるなら大歓迎!」
「ありがとうございます。じゃあ、これで――」
言いながら踵を返そうとした時だった。
ガシリと肩を掴まれる感触。振り向くと、すぐ近くに岡先輩の顔があった。
「いやぁ、頑張ってね」
その目はギラギラと輝いており、どこか獲物を見つけた肉食獣を思わせる。
「……はい?」
意味が分からず首を傾げるが、次の言葉で理解した。
「ミスターコンテストって知ってるよね?」
それはミスコンとならぶ文化祭初日で盛り上がるイベントの一つだ。
毎年多くの生徒が参加し、優勝者はミスコン優勝者と並んで表彰される。
そこからカップルが生まれた例もあるらしい。……まあ、注目され過ぎて別れたりもするらしいが。
「まさか……俺に出ろっていうんですか」
「追加オプションは有料だよー!」
俺の問いかけに対し、満面の笑みで返してくる岡先輩。
文化祭を盛り上げたいのはわかる。
だけど、なんで俺なのか。
おそらく学年一のイケメンのナイトが出るし、学内の知名度の高い奴は何人もいるはず。
「なるほど、ネタ枠か」
「寝言は寝ていいな、高校生ラノベ作家君」
いやいや、見た目微妙な小説家が出たところで盛り上がりはしないだろう。
俺はミスターコンテストなんかに出るような顔じゃない。
とはいえ、それが条件だというのなら道化にだってなってやろう。
「まあ、ミスターコンテストの件はわかりました。それが条件なら出場します」
「うんうん、バッチリ盛り上げちゃってよ」
「しっかりネタ考えておきます」
「いや、コント大会のエントリーを頼んだつもりはないんだけど……」
そんなわけで俺はミスターコンテストに出場することになった。
どうしてこうなった?