疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
キクりんから来ているとは聞いていたが、実際に会ってみると懐かしい気持ちがこみ上げてくる。
小学校のとき、いつも遊んでいた悪ガキ五人組。
愛夏もたまに混ざって遊んでいたこいつらとの思い出は、一周目の俺にとってもまさに青春の日々だったと言えるだろう。
懐かしい再会の余韻に浸っていたそのとき、不意に肩を叩かれた。
「ちょっとカナタ借りるわ」
声の主は平井だった。軽い調子だが、目は妙に真剣で、俺を強引に廊下の端へと連れ出す。
「なんだよ、急に」
「いやね、確認しときたくてさ。お前、ヨシノリと付き合ってんの?」
単刀直入すぎる問いに思わずむせそうになる。
「そんなわけないだろ。俺とヨシノリは変わらず幼馴染だ」
「いやいや、あの空気見たら誰でも勘違いするわ。お前ら、隣に立つのが自然すぎんだよ」
「だからって、そういう関係じゃない」
そう言い切ったつもりだったのに、平井はじっと俺の顔を見て、ふっと口角を上げた。
「ふーん。じゃあ、アミちゃんと喜屋武は?」
「え?」
「あの二人はカナタが来た途端、王子様が助けに来てくれたみたいな顔してたぞ」
平井の口調は冗談めいているようでいて、どこか鋭さがあった。
「二人とも大切な友達だ」
俺が即答すると、平井は少しだけ眉をひそめた。
「……お前さぁ」
やれやれと首を振り、彼は神妙な顔で言った。
「いつか刺されるぞ」
「は?」
「ちなみに、俺はマジで刺されかけた。中学のときな」
「誰彼構わず可愛い子に粉かけるお前と一緒にするな」
反射的にそう返していた。
平井は苦笑し、肩をすくめる。
「ま、カナタの人生だから深くは突っ込まんよ。だけど、いつまでも小学生のときのままとはいかんだろ。俺たち、もう年頃の男女だぜ?」
平井へ言い返したかったが、言葉が喉につかえて出てこなかった。
廊下にしばし沈黙が落ちる。
窓の外からは文化祭の喧騒が響き、焼きそばの匂いが漂ってくる。
「……真面目な話はここまでにしとくか」
先に口を開いたのは平井だった。急に肩を組まれて、俺は思わずたじろぐ。
「可愛い子いたら紹介してくれよー。顔が良ければ最悪中身はクソでもいいから」
「お前な……」
「お、何話してんだ?」
呆れて返すと、ちょうど合流してきたシューヤがやってきた。
「いや、カナタに将来の相談してただけだって」
「そりゃ頼りになるな!」
とぼける平井に、シューヤはゲラゲラ笑いながらと肩を叩いた。
「今度会ったらBBQでも行こうぜ!」
「絶対可愛い子紹介してくれよなー!」
二人は軽く手を振って、人混みの中へ消えていった。
残された俺は、ただ廊下に立ち尽くす。
彼らの足音が遠ざかっていくのを聞きながら、胸の奥にざらついた違和感が残っていた。