疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
シューヤと平井の背中が人混みに消えていった頃、俺は教室に戻った。
相変わらず客入りは上々で、ナイトは相変わらず完璧にお嬢様を相手していたし、アミと喜屋武はさっきの騒動なんてなかったかのように笑顔で接客をこなしていた。
そして教室の隅で、ゴワスが女子生徒とスマホを突き合わせている光景を見つけてしまった。
「……へぇ」
思わず声が漏れる。あの筋肉執事、ちゃっかり他校の女子と連絡先交換してやがる。
女子の方は他校の制服を着ていて、楽しそうに笑っていた。
ゴワスは慣れてないのか困ったように頭を掻いていたが、どこか満更でもなさそうだった。
その後女子が去り、ゴワスがふぅっと息を吐いたところで俺は声をかけた。
「筋肉執事は需要があったようだな」
「うるせぇな……あっちから声かけられたんだよ」
照れ隠しなのか、ぶっきらぼうに言い返す。
「にしても、ちっこい子だったな。身長150cmもないんじゃないか?」
「だから何かと、おかしなおっさんとかに目を付けられたりするんだとさ」
「あー、ぶつかりおじさん的な?」
「いや、それは知らんが」
そうか。この時代だとまだそんなにメジャーじゃなかったか、ぶつかりおじさん。
確か2018年頃だっけか?
「で、実際どうなんだ? あの子のこと気になっているのか?」
メモ帳を取り出しながら俺はゴワスへと詰め寄る。
目算身長差40cmの身長差カップルだ。絵になるし、ここは是非とも小説の糧にしたいところである。
「お前なぁ……」
ゴワスは眉をひそめ、俺のメモ帳を指先で押し下げた。
「なんでもネタにすんな。ああいうのはただの社交辞令だ」
「ふーん、そうかぁ?」
「そうだ」
俺に対して、ゴワスは苛立ったように低く吐き捨てる。
「……それより、お前だよ」
「俺?」
「由紀のこと、ちゃんと考えてんのか」
不意に本題を突きつけられ、息が詰まる。
ゴワスの鋭い目が俺を射抜いていた。
「お前、前に言ってただろ。〝隣は譲らない〟って」
「…………」
「そんなこと言っといて、曖昧にするのは違うだろ。はっきりさせてくれ」
真剣な口調に、俺は返す言葉を失う。
胸の奥でざわついていた違和感が、再びかき立てられた気がした。
そのとき、教室の外からアナウンスが響いてきた。
『まもなく、体育館にてミスコンテストを開始いたします。出場者の皆様は舞台袖へお集まりください』
場の空気が一気に色めき立つ。
教室にいた生徒たちも「もうそんな時間か」とざわめき、出場者の女子たちは慌ただしく準備を整え始めた。
「おい、出番だぞ」
ゴワスが俺の肩を叩いた。
「ちゃんとしろ、カナタ。俺は筋肉バカだが、ダチを心配するくらいのことはできる」
「……ああ、そうだな」
俺はゴワスに肩を叩かれたまま、ゆっくりと息を吐いた。