疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第232話 漫研の様子

 こうして怒涛のプログラムを終え、慶明高校文化祭一日目は幕を下ろした。

 体育館でのミスター&ミスコンテスト閉幕の余韻が残るなか、俺たちのクラスは教室へ戻って片づけに追われていた。

 

「机はもう少し奥に寄せて! 明日はまた朝から配置やり直すから!」

 

 ナイトが手際よく指示を出し、クラスメイトたちが協力して机や椅子を片付けていく。

 さすがに段取りが早い。

 執事服から制服姿に戻った彼は、汗を拭いながらも最後まで真剣な表情だった。

 俺とヨシノリも、空いたトレーや紙コップをまとめて段ボールに詰め込む。

 

「ふぅー……やっと終わったね」

「一日中コスプレして接客とか、想像以上にきつかったな……」

「でも楽しかったでしょ?」

 

 ヨシノリが笑うと、俺は思わず肩をすくめる。

 楽しくなかったわけじゃない。けど、今日一日で色々なことがありすぎて、正直まだ頭が追いついていなかった。

 後片付けと明日の確認を終えて教室は解散モードに。

 それぞれが友達同士で帰る準備をし、部活動の手伝いに向かう者もいた。

 俺とヨシノリは顔を見合わせた。

 

「……漫研、ちょっと顔出してく?」

「そうだな、先輩たちに任せっきりになっちゃったしな」

 

 荷物をまとめた俺たちは、暗くなり始めた廊下を並んで歩いた。

 季節が十一月に入ったからか、日が落ちるのが早い。

 夕焼けに照らされた窓ガラスの向こうでは、屋台の撤収作業をする上級生の姿が見える。

 

 一日目が終わったんだな、としみじみ実感した。

 それから漫研の部室の扉を開けた瞬間、コピー機の唸る音と、紙の匂いが鼻をついた。

 

「あ、カナぴ、ゆきぽよ」

 

 顔を出したのは、まさかのミスコン衣装のままのトト先だった。

 清楚なワンピースにピンクのリップ。いつもの地味な印象とはまるで違い、部屋の蛍光灯の下でも十分に華やかだ。

 

「トト先、その格好のまま……?」

「クラス戻ったら女子に揉みくちゃにされた……だから逃げてきた」

 

 頬を赤く染めて肩をすくめる姿は、なかなかに見慣れない姿だ。

 コミケのときも思ったが、この人も大概ギャップの塊だよな。優勝できなかったのはアミが強すぎたからだろう。

 

「それより、すごいことになってる」

 

 トト先が指差した先では、先輩たちが慌ただしくコピー機を回していた。

 机の上には積み重ねられた部誌〝ギター少女アフロディーテ〟のコピー本。

 

「え……こんなに?」

「売り切れ。昼すぎには完売して、ずっと増刷してる。今も生徒から予約入ってるくらい」

 

 トト先が得意げに笑う。

 

「ほら、カナぴと私、ケイコのネームバリュー。あとミスコン効果。完璧な販促戦略だった」

「やっぱケイコ先輩ってバケモノですね」

 

 まさかコピー本がここまで人気になるなんて。印刷所に頼まなくて本当に良かった。

 あれだったら納品数が追いつかない。というか、そもそもの納期が間に合わなかった。

 

「手伝いますよ」

 

 ヨシノリが袖をまくり、コピー機に近づこうとする。

 だが、先輩の一人が慌てて止めに入った。

 

「いやいや、君たちは今日はもう帰りなさい! 明日も本番があるでしょ。こっちはなんとかするから」

「でも――」

「大丈夫。むしろ早く休んで明日に備えて」

「わかりました……それではお言葉に甘えさせていただきます」

 

 先輩たちの強い口調に、ヨシノリも頷くしかなかった。

 部室をあとにするときも、コピー機の音が響き続ける。

 

 部誌のページが吐き出されるたびに、文化祭の熱気がまだ続いている気がした。

 

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