疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第24話 放課後の運動部による青春

 今日はキリのいいところまで書き上げたので、少し早いが部活は切り上げさせてもらった。

 せっかくだから運動部組の様子でも見に行こうと思ってグラウンドに出る。

 グラウンドに足を踏み入れると、熱気と土埃が入り混じった独特の空気が肌にまとわりつく。

 

「声出してこ!」

「ディフェンスしっかり!」

 

 威勢のいい掛け声が飛び交い、軽快なボールタッチの音が響く。

 俺はサッカー部の練習風景を眺めながら、自然とナイトの姿を探す。

 すると、グラウンドの中央で颯爽と駆ける彼の姿が目に入った。

 

「ナイスパス!」

 

 パスを受け取ると、華麗なステップでディフェンダーをかわし、ゴール前までボールを運ぶ。

 

「クリア!」

 

 そのまま軽く蹴り上げたボールはカーブを描いてゴールへと吸い込まれてネットを揺らす。

 

「ナイシュー!」

「さすがナイト!」

 

 周囲から歓声が上がり、部員たちがハイタッチを交わしながら喜ぶなか、ナイトは汗を拭いながらこちらへと駆け寄ってきた。

 

「あれ、カナタじゃないか。漫研での執筆活動は終わったのかい?」

「キリのいいところまで書いたからな」

「なるほど。余った時間で運動部の青春観察ってところかな」

「そんなところだ」

 

 ナイトは爽やかに笑いながら肩をすくめる。

 

「といっても、うちのサッカー部はスポーツ漫画みたいにガチでやっているとは言えないけどね。強豪校ほどの厳しさはないし、楽しみながらやるのが方針なんだ」

「それはそれで青春っぽくていいだろ」

 

 実際、ナイトたちも楽しそうに練習しているし、部員同士の距離感もいい感じに見受けられる。

 

「遠目で見てても楽しそうだったしな」

「部員みんながサッカーを楽しめる空気を大事にしているみたいだからね」

 

 ナイトはグラウンドを見渡しながら言う。

 確かに、全力で走り回る部員たちの表情には、勝ち負けだけではない純粋な楽しさが滲んでいた。

 

「おい、ナイト! 駄弁ってないで戻ってこい!」

「そろそろ戻らないと。それじゃあ、またなカナタ」

「おう、頑張れよ」

 

 ナイトへ別れを告げ、俺は体育館の方へと向かった。

 

 体育館の中は、バスケットボールが床を跳ねる乾いた音と、シューズが擦れる音が響いていた。

 

「もっと動いて! ディフェンス甘い!」

 

 体育館ではバスケ部が練習中だった。

 男子と女子でコートを半々に分け、それぞれ別のメニューをこなしている。

 女子バスケ部の部員が動き回る中に、ヨシノリの姿を見つけた。

 彼女は素早くボールを受け取ると、ドリブルで相手を翻弄しながらゴールへと進む。

 一瞬の動作でディフェンスの隙を突き、切れ味のあるクロスオーバーで相手を置き去りにした。

 そのままスピードを緩めず、ゴール下へと踏み込み、跳躍。

 指先の感覚だけでボールの軌道を操るかのような、しなやかな動きでリングにボールを流し込んだ。

 綺麗な弧を描いたシュートは、ボードに軽く当たってから音もなく吸い込まれる。

 

 かっこいい。素直にそう思った。

 動きからして中学三年間真面目に部活に取り組んでいたのだろう。

 中学時代、ほとんど関わりがなかったせいでわからないが、当時もこうして一生懸命練習していたのかもしれない。

 そう思うと、少しだけ寂しさがこみ上げた。 

 

「お疲れー!」

 

 練習が終わると、ヨシノリは汗を拭って一息ついていた。

 

「おっす、お疲れさん」

 

 そんなヨシノリに話しかけてきた奴がいた。

 

「よっすー、斎藤もお疲れ」

 

 話しかけた相手は、同じクラスの斎藤隆盛(さいとうりゅうせい)だった。

 身長は一八五センチを超え。肩幅が広く、腕の筋肉も目立つ。

 顔つきも精悍で、硬派なスポーツマンという印象を受ける。

 読み方こそカッコいいが、どう見ても名前が西郷隆盛っぽかったので、俺はゴワスと呼んでいる。

 気がつけばクラスにまで浸透してしまい、いまではすっかり定着してしまった。

 

 ゴワスはリラックスした様子でヨシノリと会話している。

 ヨシノリのほうも、笑顔を浮かべながら何かを話していた。

 俺はその様子を、なんとなく眺めていた。

 すると、ふとヨシノリがこちらに気がついた。

 

「カナタ!」

 

 そう叫ぶと、彼女はゴワスとの会話を途中で切り上げ、満面の笑みを浮かべて俺のほうへ駆け寄ってきた。

 

「よっすー、何してんの。運動部に転向する気にでもなった?」

「ただの見学だ。俺がバスケなんかやったら三秒で足がもつれて終わる」

「バスケならたまにあたしとやってるでしょうが」

 

 タオルで額の汗を拭きながら、ヨシノリは俺の顔を覗き込む。

 

「てか、どうだった? あたしのプレー」

「かっこよかったぞ。全部の動作が流れるような動作でめちゃくちゃ綺麗だった」

「ふふん、あたしもなかなかやるでしょ」

 

 満更でもないのか、嬉しそうに笑った。

 

「仲良さそうだなお前ら」

 

 すると、いつの間にか近くに来ていたゴワスが仏頂面で話しかけてきた。

 

「おう、部活お疲れさん、ゴワス。ごめんな、会話遮っちゃったか?」

「別に、気にするな」

 

 ゴワスは肩をすくめると、再びボールを手に取ってコートへと視線を向けた。

 

「俺はもうちょっと居残りでシュート練習していくからな」

「そっか。じゃあ頑張ってね」

 

 ヨシノリが軽く手を振ると、ゴワスは無言でリングへと歩いていった。

 

「あたしはもう上がるとこだけど、どうする?」

「なら、一緒に帰るか」

「そうね。着替えてくるからちょっと待ってて」

 

 そう告げると、ヨシノリは女子更衣室へと向かった。

 

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