疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第253話 たらりーん、鼻から牛乳~♪

 テーブルに並んだハンバーグを前に、俺と愛夏は向かい合って座っていた。

 愛夏の飲み物は今日も牛乳だった。残念ながらいくら飲んでも見た目が成長することはないんだよな。

 

「「いただきます」」

 

 箸を手に取りながら、ふと今日のことを思い出す。

 ゴワスの曇った顔。ヨシノリの苦笑い。

 将来の話題は、どうしても頭に引っかかっていた。

 

「そういえば、愛夏」

「ん?」

 

 目の前でハンバーグを切り分けていた愛夏が、首をかしげる。

 俺はフォークを置いて、少しだけ探るような声で口を開いた。

 

「お前、ナイトと付き合ってんの?」

「ゴフッ!? げほっ、けほっ……!」

 

 すごい勢いで愛夏が牛乳を吹いた。

 牛乳が喉に入ったまま気管に逆流したらしく、テーブルの上で必死に胸を押さえて咳き込む。

 

 その光景を見て、昔給食で牛乳飲んでるときに笑わせる遊び流行ったことを思い出す。

 たらりーん、鼻から牛乳~♪ とヨシノリがウッキウキで笑っていたのは、懐かしい思い出だ。

 

 ちなみに、その後先生にガチで叱られて、主犯のヨシノリは余った牛乳争奪戦である〝牛乳じゃんけん〟への参加ができなくなり、学年全体でも牛乳を飲んでいるときに笑わせるのは禁止になった。

 あのとき、余ったゼリーの争奪戦で勝ったのに、牛乳ぶちまけられたんだよなぁ……。

 

「けほっ……いきなり、何?」

 

 顔を真っ赤にして咳き込みながら、愛夏は俺を睨みつけてくる。

 

「いや、夏休み以来仲良いだろ? 気になってさ」

「仲が良いのは事実だけど……付き合ってるわけじゃないから!」

「ふーん、そっか」

 

 俺の反応に、愛夏は不満げに頬をふくらませる。

 小柄な顔がぷくっと丸くなる様子は、まるで小動物の威嚇のようだった。

 

「まったく……そういうこと気にするなら、自分の将来のこと考えなよ」

「俺の将来? 作家やって、大学行って、兼業する予定だけど」

「そっちじゃない。由紀ちゃんのこと」

 

 その名前を出された瞬間、心臓がひときわ強く脈打った。

 文化祭でアミの告白を断った光景が脳裏に蘇る。

 愛夏は箸を置き、真剣な目でこちらを見てきた。

 

「お兄ちゃん、そういうの先延ばしにしてると後悔するよ。由紀ちゃんも大概だけど、ちゃんと考えなよ」

 

 その言葉に、胸の奥でなにかが軋んだ。

 俺は思わず、文化祭で経験したガチホラー案件である占いのことを思い出す。

 

『呪縛を解くことは叶わんが、中学生のときを振り返れば薄まることもあるかもしれんな』

 

 あの不気味な声が再び蘇ってきて、背筋が冷たくなる。

 だけど、聞き流してはいけない。何故か、強くそう思った。

 

「せっかくだし、振り返ってみるか」

 

 食事を終えたあと、俺は部屋から中学時代の痕跡を発掘することにした。

 こちとら幼稚園や小学生の頃のことは思い出せるのに、中学時代になるとさっぱり思い出せないのだ。

 部屋をひっくり返せば手掛かりくらいは出てくるだろう。

 

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