疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
机の引き出しを片っ端から開け、クローゼットを漁り、本棚を崩し、ベッドの下まで覗き込む。
「中学時代の痕跡っていってもなぁ」
埃っぽい匂いとともにいくつもの遺物が出てくる。
黄ばんだ部活の案内プリント、修学旅行のしおり、卒業証書。
「せめて卒業アルバムくらいは出てきてくれよ……」
日記でもつけていれば痕跡も辿れただろうに、中学時代の俺はどこまでも痕跡を残さない人間だったようだ。
「待てよ、日記……レポート!」
俺は何世代も前のゲーム機を引っ張り出す。
カセットにはそのまま俺が好きなゲームが挿入されていた。
「おお……懐かしい」
電源を入れると、懐かしい起動音が流れた。
そのままソフトを起動する。
画面には〝モンスターテイルズ〟のロゴが表示された。
モンスターテイルズ、縮めてモンテ。
モンスターを育成して戦わせる、俺が中学のときにどハマりしていたRPGだ。
あまりの懐かしさに手が震える。心臓の鼓動が早まる。
つい、そこからしばらく目的も忘れてモンテをプレイしてしまった。
「この頃はまだガチで対戦やってなかった頃だな」
モンテを始めたのは小学生のときだったが、そこまで熱中してプレイしていたというわけではない。
当時ガチ勢だったのは、キクりんとヨシノリくらいで俺はいわゆるエンジョイ勢というやつだった。
「ボックス汚いな……」
モンスターを預けるボックスを見てみれば、ぐちゃぐちゃにモンスターが詰め込まれており、モンスターの親名は、カナタ以外だと大体ヨシノリかキクりんになっていた。
シューヤと平井はちょっと遊んですぐ飽きてたもんな。
「おっ、育て屋だ」
モンテには育て屋システムというものがあり、モンスターを預けてレベルを上げることができる。
その他にも、雄と雌でタマゴを産んでモンスターを増やすことができるのだ。
ちなみに、後者の機能のほうが重宝されたこともあり、この時代から未来の作品ではレベルアップ機能が廃止されていたりする。
「何預けてたんだろうな……うわっ」
気になって育て屋婆さんに話しかけたところ。預けていた預けていた二匹のモンスターのニックネームが表示される。
そこにいたのは、〝そうた♂〟〝ゆき♀〟の二匹。
「スゥッ――――…………マジか」
背中を冷や汗が流れる。
わざわざ同じモンスターの雌雄に自分たちの名前を付けてタマゴ産ませるって……過去の自分の行いに一端を見て鳥肌が立った。
[そうたとゆきは元気じゃぞ! 2匹の仲はとってもよいようじゃ!]
「やかましいわ!」
何が〝仲はとってもよいようじゃ!〟だよ。むしろ、疎遠になってただろうが。
「…………これは見なかったことにしよう」
ゲーム機をそっと閉じ、布団の下に押し込もうとしたとき、ドアが開く音がした。
「なにやってんの?」
ドアの隙間からひょっこり顔を出した愛夏がいた。
「くぁwせdrftgyふじこlp;@:!?」
俺は反射的にゲーム機を放り投げてしまった。
「今〝これは見なかったことにしよう〟って、言ってたよね?」
ジトッとした目で俺を見た後、愛夏はするりと部屋に入り、ベッドに着地したゲーム機を開いた。
「どれどれ~?」
起動画面を覗き込んだ瞬間――
「うわぁ、これは……えっ、お兄ちゃん……」
愛夏は心底ドン引きした顔で口に手を当てた。
「……俺も今発見してドン引きしていたところだ」
「何で他人事なの。実行犯じゃん」
「犯罪者みたいに言うな」
俺自身もキツいと思っていたが、やっぱり妹的にもキツかったらしい、
「なんていうか、カナタとヨシノリじゃなくて本名なところがキショポイント高いよね……」
愛夏は本気でゾワゾワしている様子で、両腕をさすりながら後ずさった。
「一体、中学時代の俺は何を思ってこんな気持ち悪いことをしていたのだろうか……」
「答え合わせは済んでると思うんだけど……」
愛夏は呆れ顔で吐き捨てる。
俺は布団の上に倒れ込み、深いため息と供に天井を見上げた。