疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
自分と幼馴染の名前を付けたモンスター同士でポコポコとタマゴを産ませていた。
中学時代の出来事とはいえ、どうしてそのような奇行に走ってしまったのか。
「お兄ちゃん。去年あたりにこれ見つけたらワンチャン兄妹の縁を切ってたよ。マジで」
なんだ。今は切らないでいてくれるのか。愛夏は優しな。
「もうね。キショキショの実の能力者だよ。なんなら覚醒してる」
「それ周りもキショくなってるぞ」
たぶん、キショキショの実は超人系だろうし。
そんなIQの低い会話をしていると、愛夏が部屋を物色し始めた。
「まだなんか出てくるんじゃない?」
「やめろ、発掘作業か」
抗議も虚しく、机の下からノートの束を掘り出してくる。
「中学のノートっぽいけど、どれどれ……」
「別に普通の授業用のノートだろ」
表紙を見れば「中2 英語」と書かれている。
ぱらぱらとめくった瞬間、愛夏の動きが止まった。
「なにこれ」
「だから、授業ノートだろ」
「いや、ノートの端っこ見て。単語の横に書いてあるでしょ」
「あー……」
覗き込むと、確かに板書の横にびっしりと必殺技名が書かれていた。
『爆裂槍ハゼル』
『神滅の聖剣ゴッドフォース』
「……ネーミングセンスないなー」
問題の余白にびっしりと、武器の名前が殴り書きされていた。
さらにページをめくると、地図のような落書きが出てくる。
イギリスの地図のコピーに、俺が勝手に線を引いて王国と帝国を描き直してある。
さらに〝魔族領〟とか〝千年洞窟〟とか、書き込みが増えていた。
「よくもまあ、器用に板書と並行して考えられたもんだ」
興味本位で近づいてきた愛夏がノートをのぞき込み、次の瞬間、目を見開いた。
「ちょっ、なにこれ!? 英文の横に名前入りのキャラ設定って……!」
「まあ、そういう時期があったんだろう」
「開き直ってる!?」
「いや、冷静に見て読者目線では自己投影が強すぎる。完全に失敗だな」
俺は真顔で批評を続ける。
愛夏はさらにページをめくり、固まった。
「ヒロインの名前〝スノウ〟……これ絶対、由紀ちゃんじゃん」
「下手に捻ってる感の方にまだ照れがあるな。今見たいに直球の方がいいのに」
「……お兄ちゃん、普通に引くんだけど。恥ずかしいとかじゃなくて分析してるし」
愛夏は心底ゾワゾワした表情で、ノートを閉じて突き返してきた。
「見れば見るほど甘いな。構成力はあるけど、ネーミングセンスとリアリティが致命的に欠けてる」
「普通、自分の授業ノートにこんな書かないからね!?」
愛夏は両手を広げて呆れ果てている。
羞恥心は湧かなかった。
ただただ、過去の自分の未熟さを作家として冷静に切り捨てるだけだ。
「過去の自分に説教してやりたい気分だ」
「たぶん、過去のお兄ちゃんにそれやったら消し炭になるよ」
俺もそう思う。