疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第261話 冬コミの準備

 年末には冬コミが近づいてきたこともあり、最近は漫研でもコミケ関連の作業が増えてきていた。

 放課後の漫研の部室には、新刊の原稿用紙が所狭しと並べられている。

 インクの匂いと紙のざらつきが、文化祭のとき以上に「戦場」の空気を感じさせた。

 K&Kラジオも好評で、俺のフォロワー数も二万人を超えた。

 肩書こそプロ作家になったものの、まだ商業作品は販売前。それでこの盛り上がり方は、ケイコ先輩のプロデュース力あってのものだろう。

 

「そういえば、ケイコ先輩。親御さんとはその後どうなんですか?」

「うーん、お父さんは大喜びって感じで、お母さんは好きにしなさいって感じかな。まあ、お母さんもあんなことがあったから口出しし辛いだけだと思うけど」

 

 苦笑しながらも、ケイコ先輩は手は止めずに原稿を進めている。

 ケイコ先輩ってマルチタスク平気なタイプなんだよなぁ……集中すると周りが見えなくなる俺とは大違いだ。

 

「創作活動に影響なさそうで良かったです」

「地獄でダンスに誘われちゃったからね。影響なんてあっても潰してくるよ」

 

 楽し気に笑うと、ケイコ先輩は

 

「それにしても、夏コミに文化祭。あれだけ盛り上がったから冬コミも勢いに乗れるね」

 

 ケイコ先輩がそう言うと、トト先が原稿をめくりながら笑う。

 

「くっころ飯の続き、ペン入れあと半分ってとこ。今回の本も、最高のデキに仕上げる」

「頼もしいね。私も負けてらんないよ」

 

 ケイコ先輩はタブレットを片手に、さらさらと線を引いていた。

 彼女が担当する新作は、完全新規のオリジナル作品。

 俺が原作を担当し、ケイコ先輩が作画を担当してくれていた。

 

 これは来年から始まる連載に向けての宣伝も兼ねている。

 ケイコ先輩の武器である獣人。それをふんだんに生かした内容となっている。

 なんなら、世界観的には〝カミラの聖剣〟と繋がっている裏設定付だ。これに関しては担当編集の根本さんからも許可はもらっている。

 

「ケイコ先輩の絵で動く獣人、やっぱり迫力ありますよ」

「おだてても原稿しか出ないよ?」

 

 にやりと笑って画面に向き直る。その横顔は、やっぱりプロそのものだった。

 そんなとき、部室の扉が勢いよく開いた。

 

「よっすー、お疲れ様です!」

 

 ジャージ姿のヨシノリが顔を出す。ポニーテールを揺らしながら、両手にはコンビニ袋。中身はどうやら差し入れらしい。

 

「ヨシノリ、お前女バスは?」

「大丈夫、大丈夫! 今日は自主練だけだし、サクッとやってきた!」

「それ、サボりって言わないのか」

「いやいや、終わらせてから来てるから! 差し入れ持ってきたんだから文句言わないの!」

 

 袋を開けると、中には肉まんや唐揚げがぎっしり詰まっていた。

 インクと紙の匂いに混じって、部室は一気に食欲を刺激する香りに包まれる。

 

「む、肉まん」

 

 トト先が無言で手を伸ばし、ひと口かぶりついた。

 

「うまうま……ゆきぽよ、ぐっじょぶ」

「どういたしまして」

 

 もそもそと肉まんを頬張るトト先を見て笑顔を浮かべると、ヨシノリは胸を張って宣言する。

 

「今回のコミケでもコスプレ、やるのか?」

 

 俺の問いかけに、ヨシノリはウィンクしながら答える。

 

「もち! 今回は自作だよん」

「いつの間に裁縫スキルを」

「ふふん、あたしだって日々進化してるんだから」

 

 こうして、今回の冬コミの準備も順調に進んでいく。

 夏コミ、文化祭、そして冬コミ。

 

 気づけば俺たちの創作活動は、もう立ち止まることが許されないほど加速していた。

 

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