疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
取りとめのない会話を続けながら地元の道を歩いていると、近所の公園から騒がしい声が聞こえてきた。
「こんな時間に誰だよ騒がしいな」
この公園は俺たちが小学生の頃、放課後のたまり場だった場所だ。
辺りはすっかり暗くなっていたこともあり、既に小学生たちは帰宅している時間だ。
こんなバカ騒ぎをする奴が近所にいただろうか。
「カナタ、あれ」
「ん?」
ヨシノリが指差した先に、数人の人影があった。
街灯に照らされ、見覚えのある背格好が浮かび上がる。
「あれって……」
この暗さでも目立つ長身の男。隣には金髪の男と、涼しげな目元をしたイケメン。
間違いない。小学校時代に毎日のようにつるんでいた幼馴染たち。キクりん、シューヤ、平井の三人だ。
「お前ら、文化祭ぶりだな」
「うおっ、カナタじゃん!」
三人の中でも、シューヤが我一番にと嬉しそうに駆け寄ってくる。
「お前ら、こんな時間に何やってんだよ」
「久々に駅で一緒になったから〝ひより〟に寄って駄菓子食いながら駄弁ってたんだよ」
「変わらないなぁ」
小学校のときから放課後のルーティーンがまるで変わっていない。
「そっちは部活帰りか?」
「そんなとこだな」
俺が答えると、三人は一斉に立ち上がった。街灯の下に並んだ姿は、どれも小学校のときより大人びて見えた。
「しかし、お前ら同じ高校で毎日一緒に帰ってるとか、羨ましすぎるわ。青春かよ」
平井がため息をつく。
「毎日ってわけでもないぞ。ヨシノリは女バスの練習もあるからな」
「ヨシノリってバスケ部だったのか」
「まあね。中学のときもずっとやってたし。キクりんもその身長だしバスケ部?」
ヨシノリはキクりんを見上げながら尋ねる。
「俺は帰宅部で助っ人枠だ。練習なんてしなくてもフィジカルで大体はなんとかなるからな」
「こいつ、ムキになった先輩が突っかかってきて病院送りにしたんだよ」
「人聞きが悪い。俺は向こうがタックルしてきたからカウンターを用意してただけだっての」
なんとも治安の悪い話である。
「シューヤと平井も部活やってないのか?」
「部活なんてやってたら放課後遊べねぇだろ」
「女子と会う時間の確保も大変だし」
なんともこいつららしい理由だった。
「そうだ、カナタ! 可愛い子紹介してくれよ!」
「親しい人はお前に紹介したくない」
泣かされるとわかっていて大切な友人を紹介できるものか。
「心の痛まないクズ女とかでもいいからさぁ!」
「……最低」
ヨシノリは必死に懇願する平井に冷ややかな視線を送っていた。
「学校で見つけりゃいいだろ」
「あっはっは! 無理無理! 平井、この前彼女の名前呼び間違えて振られたばっかだからよ!」
「浮気クズ野郎って話題になってたな」
「浮気はしてねぇよ! 元カノと間違えただけだっての!」
「……最っ低」
ヨシノリの視線が氷点下まで下がった。
「つっても、女子で連絡先交換してて心が痛まないのなんて――あ」
「どうしたの、カナタ――あ」
俺もヨシノリも脳裏に同じ人物が思い浮かんだ。
見た目はいいが、中身はクズで平井に紹介しても心の痛まない人物。
このどうしようもない条件に当てはまる女子が一人だけいた。
「ブロックされてるとは思うけど、ダメ元で連絡してみるか?」
「あたしが連絡してみる」
ヨシノリがスマホを取り出し、指を滑らせる。呼び出し音が数度鳴ったあと、通話が繋がった。
『何よ、ドスケベ肉団子』
不機嫌そうな声が夜の公園に響く。夏休み以来に聞いたが、やはり予想通りだった。
大瀬姫乃。
ナイトの幼馴染であり、彼を苦しめてきた元凶。ナイトに近づく女子を片っ端から排除するため、取り巻きを使っていじめを繰り返していた、性格の終わっている女だった。