疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第265話 流星のゴワス

 まさかのクズカップル誕生に一部が盛り上がる最中。

 キクりんが難しい表情で尋ねてきた。

 

「そういえば、カナタもヨシノリも慶明だったよな?」

「そうだけど、どうした。彼女の先輩のことでも聞きたいのか?」

「いや、そうじゃなくて同中で慶明に行った奴がいたの思い出したから知ってるかなと思ってな」

 

 キクりんはクラスの中でも飛び抜けて勉強ができたが、特に受験はしていなかったはずだ。

 俺たちとは違う中学に行ったところまでは覚えているが、その後の動向はよく知らなかった。

 

「なんて名前の奴だ?」

「斎藤隆盛って名前で、俺の次くらいに身長が高かったな」

「えっ、お前ゴワスと同中だったのかよ」

 

 予想外の繋がりが出てきて驚いてしまった。

 

「ゴワス? ……ああ、りゅうせいって隆盛って漢字だもんな」

「さすが、キクりん。理解が早いな。同じクラスの友達だ。夏休みは一緒に旅行したりするくらいには仲良いぞ」

「意外だな。あいつとカナタじゃ相性最悪で喧嘩になったりすると思ったが」

 

 お前はエスパーかよ。実際、揉めに揉めたわ。

 

「雨降って地固まるってやつだ。今じゃ信頼できる友達だよ」

 

 周りをうっすらと見下していた俺にとってゴワスは、写し鏡のような存在でもあり、自分を振り返るきっかけをくれた友達だ。

 夏コミのときでも助けてもらったし、恩人である元上司のリリさんの弟でもあった。

 こうやって考えると、俺の人生においてゴワスはかなりの重要人物だったようだ。

 

「でも、なんで今更ゴワスのこと気にしてるんだ?」

 

 仮に同中だったとしても、わざわざ気になっているのなら文化祭のときに様子でも見ていけば良かったのに。

 

「最近、オンラインゲームの上位帯でよく〝流星のゴワス〟ってプレイヤーとマッチするんだよ。その名前を見て、隆盛のこと思い出してな」

 

 絶対、それゴワス本人だろ。

 

「あいつオンラインゲームやるんだな」

「〝流星のゴワス〟が本人かは知らないが、隆盛は昔からゲーマーだったぞ。ただ俺が対戦ゲームでボコボコにしてからあんまり自慢しなくなったけど」

 

 それは運がないというか……。

 キクりんは基本的にどのゲームやらせてもうまいから、自分がうまいと思っている奴は大体キクりんに挑んで痛い目を見る。

 小学校のときのヨシノリがまさにそれだった。

 

「ちょっと待て、ゴワスって昔からゲームやってたんだよな?」

「ああ、バスケ部と両立して結構な腕前だったな」

「キクりんはバスケ部の助っ人枠だったんだよな?」

「ああ、そうだな」

「で、キクりんは成績も良かったのか」

「三位以内からは落ちたことがないぞ。ノー勉だったけど」

 

 これはもしかすると、ゴワスにとってキクりんはコンプレックスの象徴だったのではないだろうか。

 自分が自慢できるもの全てで負けた上に、勉強など他分野も完璧。

 これで嫉妬しないのは無理という話だろう。

 

「ちなみに、キクりんから見てゴワスをどう思ってたんだ?」

「どうって……最近まで忘れてたよ。思い出したらちょっと気になったくらいだな」

 

 見事なまでにアウトオブザ眼中だった。

 それであいつはゲームとかオタクっぽいものを好きそうな連中を毛嫌いするようになっていたのか。

 

「世間って狭いな……」

 

 俺には何の責任もないが、これも友達のためだ。

 幼馴染が無自覚に植え付けてしまった劣等感を振り払うための手伝いならいくらでもしよう。

 

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