疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
昼休み。ナイトが弁当を広げているところへ、購買で買ったパンを片手に俺は腰を下ろした。
「ナイト、ちょっといいか」
「ん、どうしたの?」
声を落として切り出す。
「姫乃のことなんだけどな」
箸の動きが止まり、ナイトの表情がわずかに硬くなる。
やっぱり名前を出すだけで反応するあたり、まだ完全には割り切れていないらしい。
「この前さ。偶然だけど、幼馴染の平井って奴と姫乃が知り合ってな。そのまま……まあ、くっついた」
「カナタの幼馴染みと?」
ナイトは不安そうな表情を浮かべる。
俺の友達が酷い目に遭うのではないかと心配してくれているのだろう。
「安心しろ。平井はクズだからお互い様ってやつだ」
「どういうことだい?」
「あいつ、この前も彼女の名前呼び間違えて振られたばっからしくてな。姫乃はイケメン彼氏作って周囲にマウントを取りたい、平井は可愛ければ性格がゴミでも問題ないってことでくっついたってわけ」
「うわぁ……」
ナイトが顔をしかめる。
「わかっていたけど、姫乃も相変わらずだね」
「だからこそだろ。クズ同士お似合いってやつだ」
俺の言葉にナイトは黙り込んだ。その数秒後には、ふっと小さく息を吐いた。
「……そうかい。姫乃がそっちに向いてるなら。少なくとも、僕や周りにちょっかいを出す余裕はなくなる」
「ま、俺が弱みを握ってるのもあるが、自然と執着心が消えるに越したことはないからな」
「そうだね。ありがたい報告だよ」
「結果的にお前にはプラスになったな」
「世の中、何が起こるかわからないものだね」
苦笑しながら弁当を口に運ぶナイトを見て、俺も少し肩の力を抜いた。
そこでふと思い出し、もうひとつ切り出す。
「そういえばナイト。ゴワスのことなんだけど」
「……やっぱり気づいてたか」
ナイトの目が伏せられる。
「うちのグループの中でも、明るくて場を回してくれるけど、最近はときどきふっと真顔になることが増えた。将来のこと……悩んでるのかも、って思ってたんだ」
「やっぱりか。俺もヨシノリからそれとなく聞いたんだ。どうも部活にも集中しきれてないらしい」
「……そうかい」
ナイトは箸を置き、少し遠くを見るような目をした。
「僕たち、いつも一緒にいるけど……ゴワスは不器用だから、余計に自分で抱え込んでるのかもしれない。できれば、頼ってほしいとは思うんだけどね」
「だよな。俺も何かできないか考え中だ」
チャイムが鳴って、昼休みの終わりを告げる。
ナイトは弁当を片付けながら、小さく微笑んだ。
「この件、僕に任せてくれないかな?」
「珍しいな。あんまり他人の事情には深入りしないタイプだったろ」
「他人の事情にはね」
そこでナイトは強い意志を宿した瞳で俺を真っ直ぐに見据えて言った。
「ゴワスは他人じゃない。大切な友達だよ」
「ははっ、それもそうだな」
ひとまず、ゴワスのことはナイトに任せるとしよう。