疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
ヨシノリのコスイベ参加は俺にとっても刺激になった。
前からヨシノリはやりたいことが現実的ではないと悩んでいたようだが、吹っ切れたようで何よりだ。
そうなってくると、心配になってくるのはゴワスのほうだ。
ナイトが任せろと言ってくれたから様子見に回っていたが、どうやら進展があったらしい。
放課後。ナイトから誘われて俺とゴワスは秋葉原のゲームセンターに来ていた。
そういえば、ここって十年後くらいには名前が変わるんだよな。確か感染症が原因でゲームセンターの運営が赤字になって別会社に売却されたんだっけか。
「いやー、やっぱゲーセンの音って落ち着くよなぁ!」
入店するなり、ゴワスは楽しそうに笑った。
派手な電子音、格闘ゲームのボタン連打、プリクラから漏れるキャッキャした声。
雑多でうるさいはずなのに、確かに独特の居心地がある
「まあ、わくわく感はあるけど、どうにも落ち着かないんだよな」
一周目でもゲームセンターによったのは、喫煙所を探して彷徨った結果辿り着いたくらいだった。
俺がヤニ吸えるようになる頃には、都内で吸えるところ激減しているんだよなぁ。
紙巻勢に人権はないのか。ないよね、うん。普通に臭いし、煙いし、しょうがないね。
「何言ってんだ。この雑多な感じがいいんだろうが」
「まあ、それはわからないでもないけど」
ナイトは苦笑していたが、ゴワスの目はキラキラしている。
それから俺たちは格ゲーの台に並んで座った。
「お、空いてる。カナタ、勝負な!」
俺が操作に慣れるより先にフルコンボを叩き込まれ、一瞬で敗北。
あまりにも早い敗北。俺じゃなくても見逃さないね。
「ふははっ! 俺つえー!」
「……わざとじゃなく普通に負けたんだが」
背後で見ていたナイトが、堪えきれずに吹き出した。
「ゴワスの集中力はすごいよね。横で見ていても圧倒されるよ」
「だろー?」
ゴワスは得意げに胸を張る。
その後もしばらく遊んで、気づけば夕方。俺たちはゲーセンを出て、近くのファミレスに入った。
飲み物を持ってきて一息ついたところで、ナイトが切り出す。
「……ゴワス。この前話してくれたこと、カナタにも言ってみたらどうだい?」
「えっ」
ゴワスはストローをいじりながら口ごもる。だがナイトが真っ直ぐ見つめるものだから、しばらくして観念したように肩をすくめた。
「別に、そんな相談するようなことじゃ……」
ゴワスはごにょごにょと口ごもるが、ナイトは淡々と追い込む。
「僕はいいと思ったよ。だからカナタにも聞いてもらったほうがいい」
俺はドリンクを置いて、正面からゴワスを見る。
「お前にしては歯切れ悪いな」
「……実はな」
ゴワスはしばし逡巡したあと、観念したように口を開いた。
「その、さ。俺、将来どうしたいかって話。考えても答え出なかったんだけど……ひとつだけ、ずっと頭から離れないことがあんだ」
「頭から離れないこと?」
「……ゲームだよ。やっぱり俺、ゲームに関わる仕事がしたいんだ」
ゴワスはそう言って俯く。
「別にプログラマーとか詳しいわけでもねぇし、デザインだってできねぇ。気づいたら毎日ゲームやっててさ。大会の動画とか見て、憧れちまう。……でも〝ただ好きなだけ〟じゃ、夢って呼べねぇだろ」
俺は少し考えてから、口を開いた。
「なあ、ゴワス。ゲーム関係の仕事って言っても色々あるけど、例えば〝プロゲーマー〟って道もあるんじゃないか?」
「プロ、ゲーマー?」
俺の言葉に、ゴワスは困惑したようにポテトを口から零した。