疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第274話 プロゲーマー〝流星のゴワス〟

 しばし沈黙した後、ゴワスが恐る恐ると言った様子で尋ねてくる。

 

「ちょっと待て、まずなんで俺のアカウント名知ってるんだよ」

「ああ、幼馴染でゲーム好きな奴がよくマッチするって言ってて、名前からゴワスだろうと思ってな」

 

 キクりんは本人かわからないと言っていたが、流星のゴワスなんて名前付ける奴はそうそういないだろう。

 

「幼馴染?」

「菊池凛太郎。お前、あいつと中学のとき同級生だったんだろ」

「凛太郎と幼馴染だったのかよ……なんつーか、類友だな」

 

 ゴワスは深いため息をつくと、コーラを一気に呷る。

 

「まあ、いいや。カナタの言うとおり〝流星のゴワス〟は俺だよ」

「どれどれ……へぇ、モンテ世界123位ってすごいじゃないか」

「調べんなよ、大した成績でもないっての」

 

 モンスターテイルズ。通称モンテ。

 おそらく世界でトップクラスに有名なRPGで、小学校の頃はよくみんなで集まってバトル大会を開いたものだ。

 

「三桁代か……十分すごいが二桁は行きたいところだな」

「だよなぁ。これじゃあ、少し強い素人だ」

 

 この時代でのモンテのレート対戦人口は十万人程度だったかと思う。

 ちなみに、キクりんはレート1800越えのバケモノだったため、世界全体で見ても二桁に入っている。

 

「いや、あの、二人とも? 感覚おかしくないかい。僕からすれば四桁だって雲の上の存在なんだけど」

 

 頷きあっている俺とゴワスに、ナイトが軽く引いていた。

 

「なあ、カナタ。もし本気でプロゲーマーを目指すなら俺は何から始めればいいんだ? ただゲームやってるだけじゃダメなんだろ」

 

 その問いに、俺もナイトも表情を引き締める。

 

「まずは、どのゲームジャンルで行くかを決めることだな」

「クラファイやモンテとかか?」

 

 クラファイとは、超乱闘クラッシュファイターズという対戦アクションゲームの通称だ。これに関しては現在でも、プロの部門を設けている会社があったはずだ。

 未来ではオンライン化の追い風もあるので、期待はできるところである。

 

「具体的なのだとそうなるな。ジャンル的にいえば、FPS、LOL、格闘ゲーム、カードゲーム、その他諸々のジャンルから一番自分が輝けるものを探すんだ。できれば、後々衰退しなさそうなのがいいとは思うけどな」

 

 それにモンテはゲームの知名度こそあるが、プロでやっていくのは難しいだろう。対戦実況をメインとしたサブコンテンツも行っていくという形ならU-Tuberという形ではやっていけるだろうけど。

 

 プロゲーマーが所属している大きい会社で、分野的にあるのはやっぱりクラファイだが、感染症による巣ごもり需要も追い風になって配信界隈で盛り上がっていたのでいえばFPSも捨てがたい。

 

「おすすめはクラファイか流行っているFPSだけど、とりあえずジャンルごとにゲームはまとめておくからそこから考えて選んでみてくれ」

「悪いな。それで、ジャンルを選んだらどうするんだ?」

「次は記録を残すことだな」

 

 俺はポテトをつまみながら言った。

 

「配信されているタイプの大会に出るでもいいし、日々のプレイをまとめるでもいい。自分が〝どんなプレイヤーなのか〟を外に示さなきゃ、誰も知らないままだ」

「配信ってやつか?」

「そうだ。動画サイトや配信サービスはこれからどんどん伸びてアングラじゃなくなる。実力を見せる場としては最適だ」

 

 未来のことまでは言えないが、少なくとも時代の流れがそうなることはわかっている。

 

「そこで、さっき言った〝物語〟を見せるんだよ」

 

 俺は身を乗り出した。

 

「ただ上手いだけじゃなくて、どう努力してるか、何を考えてるか、そういう背景が伝わると人は応援したくなる。勝ったときも負けたときも、それが物語になるんだ」

 

 ゴワスは真剣に聞き入っている。

 その顔は、ただゲームを楽しむときの無邪気さとは違った。

 

「……なるほどな」

 

 深く頷き、ゴワスはチキンに手を伸ばした。

 

「なんか、ちょっと見えてきた気がする」

「お、やる気出た?」

 

 ナイトが微笑むと、ゴワスは照れ臭そうに鼻の頭を掻いた。

 

「まだ夢物語だと思ってるけど、やってみたい」

 

 その声には、もう迷いはなかった。

 

「よし、決まりだな」

 

 俺はグラスを持ち上げ、軽く掲げる。

 

「プロゲーマー〝流星のゴワス〟、ここからが始まりだ」

 

 ナイトも笑いながらプラスチックのグラスを合わせ、三人の間で小さな乾杯の音が鳴った。

 

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