疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第283話 嫉妬のカナタ

 ゴワス関連の問題が片付いたところで、午後はフリーにキャンパス内を回る時間がやってきた。

 特に見たいものがなければ解散してもよく、半数以上の班はそのまま遊びに行ってしまうようだった。

 

「午後はどこか回りたいところある?」

 

 リリさんが聞くと、アミが真っ先に手を挙げた。

 

「サークル棟が気になります!」

「お、いいね。高校の部活とはまた違うから、見ておくと参考になると思うよ」

 

 リリさんが頷き、俺たちは構内マップを見ながら歩き始めた。

 冬の午後の光がガラス張りの廊下に差し込み、白い床を反射してきらきらと輝いている。

 周囲では大学生たちが思い思いに談笑している姿が目立った。

 

「大学生って、なんか自由だよね」

 

 ヨシノリがぽつりと呟く。

 

「授業も服装も時間も全部自己責任。自由な分、自己管理できない奴はドロップアウトしていくぞ」

「またそうやって捻くれたこと言って……」

「事実を言ってるだけだ」

「でも、わんはこういう雰囲気好きさー。やりたいことを自分で決められるのって、すごくいいことだと思う」

 

 喜屋武が笑顔で言い、アミも頷いた。

 

「大学生になったらできることも増えて楽しそうです!」

 

 そんな会話をしながら、エスカレーターを乗り継いで外の中庭へ出る。

 そこから少し歩けば、低層の建物が見えてきた。

 廊下から漏れるギターの音、掲示板に貼られたライブのポスター。

 どう見ても飲みサーのポスターや、文芸部のポスターもあった。

 

 まさに、大学の青春という言葉が形になった場所だ。

 そんな中、ふと俺は気になっていたことを口にした。

 

「そういえばさ、ヨシノリ。さっきリリさんが話してた麻緒さんって人。あの人、知り合いなのか?」

 

 歩きながらなんとなく聞いたつもりだったのだが、ヨシノリの足がぴたりと止まる。

 

「ん? ああ、うん。知り合いっていうか……まあ、うん」

「なんだよ、その曖昧な返し」

 

 そんなに俺には言いたくない関係ってことか? もやもやするなぁ……。

 

「何怒ってるの?」

 

 不思議そうな顔でヨシノリは俺の顔を覗き込んでくる。

 オレンジ色のアイシャドウが冬の日差しに反射して眩しい。まっすぐな瞳を見ていると、そのまま吸い込まれそうになる。

 

 そのとき、冬の風が吹き抜け、彼女のポニーテールがふわりと揺れた。

 俺の胸の奥に、なんとも形容しがたいざらついた感情が沸いてくる。

 

「あっ、もしかして嫉妬でもした?」

 

 ヨシノリはニヤニヤと笑いながらそんなことを言ってきた。

 

「かもな」

「そんなわけないか――って、え?」

 

 俺の言葉が予想外だったのか、ヨシノリは目を瞬かせる。

 

「世間一般では、こういうの嫉妬って言うんだろうな。また小説の糧になった」

「ああ、うん……よかったね」

 

 リアクションに困ったのか、ヨシノリは目を泳がせてマフラーに顔を埋める。

 それから顔を赤くして、手をバタバタさせはじめた。

 

「いやいや、違うし! 別にやましい関係とかじゃないってば」

「そうなのか?」

 

 それにしてはやけに親し気だった気がする。

 

「あのね。あの人ならカナタも一度会ってるから」

「後藤のお兄さんだろ? 会ったことなんて――あ」

 

 そこで俺は思い違いをしていたことに気がついた。

 ヨシノリと仲が良いコスプレ関係者で俺が会ったことのある人なんて一人しかいないじゃないか。

 

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