疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
期末試験が終わり、大学見学も終わった。
冬休みに入ったこともあり、ヨシノリは俺の部屋でゴロゴロしていた。
いや、冬休みじゃなくてもゴロゴロしてたわ。
外はすっかり冬の冷たい空気で、街ではちらほらとクリスマスの飾りが目に入るようになった。
そんなクリスマスに向けた空気の中、俺たちはエアコンの効いた部屋の中でぬくぬくとしていた。
「ふぁ~……最高だわ」
ヨシノリは毛布にくるまって俺のベッドを独占し、満足げにため息を漏らしている。
おい、やめろ。匂いが残ったら眠れなくなるだろうが。
「もうちょっと遠慮しろよ。男の部屋だぞ」
「だって、カナタんちのベッドが一番落ち着くんだもん」
「自分の部屋じゃないのかよ」
俺は机に向かってノートやプリントをまとめながら、呆れたように言った。
原稿作業は前倒しで片づけてあるから、今は完全に年末に向けた掃除モードだ。
俺は片づけが苦手だから放置していると、秒で部屋がとっ散らかるからな。
定期的にヨシノリが掃除してくれるおかげで何とかなっているが、ずっとヨシノリ任せにするわけにもいかない。
手の空いたときほど、優先度の低いタスクをやれ。リリさんの教えだ。
「カナタは今年のクリスマス、どうすんの?」
ヨシノリは毛布から顔だけ出して、真剣な面持ちでこちらを見てきた。
「ポニテ馴染の発売日だから書店を回るつもりではある」
「一人で? クリスマスに?」
「クリスマスっていうか、俺にとってはデビュー作の発売日だからなぁ」
なんならクリスマスの存在自体すっかり忘れていたくらいである。
「で、でもさ! せっかくのクリスマスだし、イルミネーションとか、ほら、カップルっぽいこととか取材するチャンスだよ!」
「一理ある」
クリスマスといえば、ラブコメではヒロインとの仲が進展する一大イベントを入れ込みやすい時期だ。
クリスマスに街を歩くのも、小説に糧になるだろう。
「じゃあ、あたしと回らない?」
「いいのか?」
交友関係の広いヨシノリにだって予定はあるだろうから、甘えすぎるのもどうかと思っていたんだが。
「あたしはカナタと一緒にいたい」
その瞬間、時間が一拍止まった気がした。
冬の空気の中、エアコンの音だけがやけに耳に残る。
「お、おう。じゃあ、クリスマスは一緒に回るか」
口にしたあと、自分の声が少し掠れているのに気づく。
なんだろう。今のはものすごくぐっときたぞ。
ふむ、その台詞いただきだ。
そんなやり取りをしていると、ドアがノックもなしに開いた。
「お兄ちゃん、あたしランニング行ってくるからご飯はチンして食べてね」
顔を出したのはジャージに着替えた愛夏だった。
外はすっかり冬だというのに、こいつもよく走れるな。
愛夏は用件だけ伝えると、部屋の中をちらりと見て眉をひそめる。
「また由紀ちゃんがお兄ちゃんのベッドで転がってる……」
「あたしにとってはここが第二の実家だからね」
「ならさっさと本当に実家にしちゃってよね」
愛夏はため息をつき、すぐに踵を返していった。
クリスマスはヨシノリと二人か。一体、どうなることやら……。