疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
学校に着くと、始業式の日ということもあり、校門付近は生徒で溢れていた。
久しぶりに会った友人同士が声をかけ合い、新しいクラスの話題で盛り上がっている。
俺はその喧騒の中を、一人で歩く。
誰かに声をかけられることもなく、誰かに声をかけることもない。
去年と同じクラスの人間が何人かいるが、特に親しい相手はいない。
階段を上がって、二年B組の教室へ向かう。
教室に入ると、すでに何人かの生徒が席についていた。
知っている顔もあれば、知らない顔もある。
俺は自分の席を確認して座る。
鞄を机の横にかけて、ぼんやりと窓の外を眺める。
桜はもう散り始めていて、校庭に花びらが舞っていた。
教室が徐々に騒がしくなっていく。
クラスメイトたちが、春休みの出来事を話している。
旅行に行った話。部活の話。バイトの話。
俺には関係のない話題ばかりだ。
窓の外を見つめながら、時間が過ぎるのを待つ。
チャイムが鳴って、担任の長谷川先生が入ってくる。
ホームルームが始まり、長谷川先生が新学期の注意事項を話す。
俺は聞いているようで聞いていない。
ただ、時間が過ぎていくのを感じているだけ。
ホームルームが終わり、始業式のために体育館へ移動する。
生徒たちがぞろぞろと廊下を歩き、階段を降りていく。
俺もその流れに乗って無言で歩く。
体育館に入ると、学年ごとに整列する。
二年生は中央のブロック。俺は端のほうに立った。
校長先生の話が始まる。
相変わらず長い。内容も、毎年同じようなことばかりだ。
周りの生徒たちも、飽きた顔をしている。
時々、あくびをする者もいる。
俺も同じように、ただ立っているだけ。
やがて始業式が終わった。
教室に戻る途中、廊下で去年のクラスメイトとすれ違った。
「おう、月見里。おはよう」
月見里が、きょとんとした顔でこちらを見た。
「おおん、田中君? おはよ」
彼女の返事も、どこか戸惑っている。
そういえば、俺と月見里は挨拶を交わすような間柄じゃない。
なのに、なぜか自然に声をかけてしまった。
「あ、ああ。じゃあな」
「う、うん。またね」
ぎこちなく別れて、俺は歩き続ける。
何だ、今の。なんで月見里に声をかけたんだ。
まるで、親しい友達みたいに。
そんなことあるわけないのに。
違和感が、また強くなる。
教室に戻ると、ホームルームが始まるまでまだ時間があった。
席に座って、窓の外を眺める。
新入生たちが、校庭を歩いている。
一年生か。去年の今頃は、俺もあんな感じだったのか。
よく覚えていない。
特に印象に残る出来事もなかった気がする。
ただ、何となく過ごしていた。
今年も同じように過ごすのだろう。
そう思いながら、帰りの準備をしていると、クラスメイトの竜胆から声をかけられた。
「おはよー、田中君。ちょっちいい?」
振り返ると、竜胆の後ろには見知らぬ女子生徒が立っていた。
一年生だろうか。制服のリボンの色が、一年生のものだ。
「別にいいけど、その子は?」
「田中奏太先輩に用があるってさー」
「悪いな。わざわざ繋いでもらって」
「いーよ、私と田中君の仲じゃーん……話したことないけど」
適当にそんなことを言って竜胆は去っていった。
「あいつも相変わらずだな……相変わらず?」
どうしてそんなことを思ったのだろうか。
別に竜胆とだって仲がいいわけでもないのに。
「はじめまして。一年A組の神野塚伊代です」
その名前を聞いた瞬間、頭の中で何かが弾けた。