疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
翌日の放課後、俺と伊代は漫研の部室に集まっていた。
ホワイトボードには、関係者リストが書かれている。ケイコ先輩がマーカーを持って、リストを見つめていた。
「次は誰に接触する?」
ケイコ先輩の問いに、俺はリストを眺める。
原玄斗、斎藤隆盛、菊池凛太郎、田中愛夏。
佐藤由紀、田中騎志、佐藤愛美麗、喜屋武鳴久。
「ナイトは情報がなさ過ぎて、どうアプローチしていいかわからないんですよね」
俺は頭を掻きながら唸る。
ナイトは未来において妹の旦那になる人物だ。
イケメンで優しくて洞察力がある。
幼馴染である大瀬姫乃に苦しめられていた過去はそのままだろうから、今も苦しんでいるであろうことは想像に難くない。
それ以外の情報がないのだ。
どこの高校に通っているのか、どこに住んでいるのか、何も知らない。
こんなことになるなら、ナイトの家にも遊びに行っておくんだった。
サイネリアとゴワスの家が集まりやすいのが悪い。
「このアフロディーテちゃんは?」
トト先が、リストの名前を指す。
「アミはおそらく、家に引きこもってます」
「引きこもり?」
「名前が原因で、学校が嫌になったみたいです」
俺は、二周目の記憶を辿る。
佐藤愛美麗。愛美麗と書いてアフロディーテと読むキラキラネーム。
それが原因で、当時喜屋武の所属していた阿比留のグループにいじめられそうになっていた。
一周目の今も、同じ状況ならアミは不登校になって引きこもっているところだろう。これは推しのAMURE情報だが。
「家が港区にあるのは知ってます。ただ、いきなり訪ねてもまずいんですよね」
「警戒されるだけかぁ」
ケイコ先輩が頷く。
「先輩。喜屋武さんはどうですか?」
伊代がリストを見ながら言う。
「喜屋武は一周目でも同じバイト先にいるかわからないからぁ。住んでる場所が同じなら住吉のアパートに住んでて、うちの近所でバイトしているはずだけど」
喜屋武は二周目でこそアミと仲良くなれたが、一周目ではいじめグループに所属していたこともあり、関係は拗れていそうだ。
夏の旅行の寝言から察するに、喜屋武はアミと同じ高校に通っているはずである。
「この時点では、標準語をうまく話せないコテコテの沖縄弁を気にしてるはずだ」
「なるほど。方言がコンプレックスだったんですね」
二周目での喜屋武は、コンプレックスを克服し、本来の明るい性格を取り戻したが、こっちではどうなっていることやら……。
「学校がわからないんじゃどのみち会えなさそうですね」
「一応、帰りがけに二周目で喜屋武がバイトしてた沖縄料理店を覗いてみる」
ケイコ先輩が、ホワイトボードに書き込む。
「じゃあ、田中君はその店に行ってもらうとして……ナイト君の方は私たちで探してみるよ。姫乃さんって子を見つければワンチャンあるでしょ」
「似顔絵、描いた」
さっきから黙々と作業をしていたトト先が、似顔絵を見せてくる。
「俺の記憶にある情報だけで、よくもまあここまでそっくりに描けますね」
「いえーい、ぴーすぴーす」
抑揚のない声でトト先がサムズアップをする。ピースじゃないのかよ。
今日もトト先はマイペースだった。