疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第368話 まるちゃまでの予期せぬ遭遇

 一周目の世界に戻ってきて、それなりに時間が経った。

 最初は焦燥感に駆られていた。

 一刻も早く二周目に戻りたい。そればかり考えていた。

 最近は、周囲の人間とのコミュニケーションにも力を入れている。

 

 ゴワスとはゲーセンで何度か会った。対戦を重ねて、少しずつ距離が縮まっている。

 

 喜屋武とは、がちま屋で会話を重ねている。

 沖縄の話を聞いて、小説のネタにする。喜屋武も、楽しそうに話してくれる。

 

 アミには、まだ直接会っていない。

 喜屋武を通じて様子を聞くだけだ。

 学校に通うようになって、今は喜屋武と一緒に女子高生ライフを過ごしているようだ。

 

 愛夏との関係も、それなりに改善されてきた。

 積極的にコミュニケーションを取ってきたのが功を奏した。

 朝、挨拶をする。学校であったことを話す。夕食の時間を大事にする。

 最初は戸惑っていた愛夏も、徐々に反応してくれるようになった。

 会話が増え、笑顔も見せてくれるようになった。

 まだ二周目のような関係には遠いが、それでも前進している。

 

 二周目に戻りたいのはやまやまだ。

 ヨシノリに会いたい。あの世界に帰りたい。

 その気持ちは変わらない。

 

 それでも、この世界に残ることになるであろう本来の自分のことを考えて、執筆活動も余裕を持って焦らず進めている。

 ポニテ馴染のリメイク版は、着実に進んでいる。

 一周目に戻ってきた状況も織り込んで、物語を紡いでいる。

 焦って書いても、いい作品にはならない。丁寧に、一文字ずつ積み上げていく。

 それが俺の戻る世界を再構成してくれるのだ。

 

「飯どうすっかなぁ……」

 

 今日は愛夏が部活で遅くなる。

 吹奏楽部の練習が長引くらしい。

 

「まるちゃまにするか」

 

 悩んだ末、一人で夕食を取ることにした。

 近所のラーメン屋、まるちゃま。

 二周目でも、たまに来ていた店だ。

 店主のおじさんが気さくで話しやすい店で、味もヨシノリが絶賛するくらいには保証されている。

 

 暖簾をくぐって店に入る。

 厨房からは、湯気と香ばしい匂いが漂っている。

 

「いらっしゃい」

 

 店主が、笑顔で迎えてくれる。

 

「おう、田中君。久しぶりだな」

「ご無沙汰してます」

 

 俺は、カウンター席に座る。

 

「あおさタマゴ。チャーシューは白で」

「おう、待ってな」

 

 店主が、手慣れた様子で麺を茹で始める。

 その手つきを見ながら、俺は少しだけリラックスする。この店の雰囲気が好きだ。静かで、落ち着く。

 

「最近、学校はどうだ?」

 

 店主が、ラーメンを作りながら話しかけてくる。

 

「まあまあですね。友達も増えましたし」

「おお、そいつは良かった。前はぼっちだったもんな」

「ぼっちって言わないでくださいよ」

 

 俺は苦笑する。

 

「事実だろ?」

「まあ、そうですけど」

 

 店主が笑う。その笑い声が温かい。

 やがて、ラーメンが出来上がる。

 湯気が立ち上って、豚骨醤油の香りが鼻をくすぐる。

 

「ほら、できたぞ」

「ありがとうございます」

 

 箸を手に取って麺をすする。

 

「相変わらず、おいしいですね」

「そりゃ良かった」

 

 店主が、満足そうに笑う。

 それから、店主と談笑しながらラーメンを味わう。

 学校の話。部活の話。最近読んだ小説の話。他愛もない会話が心地よい。

 

 会話を楽しんでいると、店のドアが開いた。

 カランカランと、ベルが鳴る。

 

「いらっしゃい」

 

 店主が、新しい客を迎える。

 俺は、ラーメンを食べながら、ちらりと横を見る。

 そこに、見覚えのある人物が立っていた。

 

 ジャージ姿にポニーテールというスポーティな出で立ち。

 化粧はしていなくてもわかる整った顔立ち。

 それは一周目の中学時代から大きく変わっていなかったが、一目見てわかった。

 

「おじさーん。あおさタマゴ一つくーださいっ!」

 

 そこにいたのは、ヨシノリだった。

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