疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第372話 結局、離れるのは不可能

 漫研の調査は、難航していた。

 放課後のたびにケイコ先輩とトト先が動いてくれているが、成果が出ない。

 

「姫乃ちゃんの所属校、まだ掴めてないんだよね」

 

 ケイコ先輩がホワイトボードの前で腕を組む。

 

「情報が少なすぎる。名前と顔だけじゃ、どこの学校かすら絞れない」

 

 トト先も珍しく手詰まりな顔をしている。

 大瀬姫乃。ナイトの幼馴染であり、長年幼馴染という立場で縛り続けた性悪女だ。

 割れ鍋に綴じ蓋というか、最終的には俺の幼馴染の女たらし平井とくっついていた。

 そんな彼女の一周目での情報は、ほぼゼロだった。

 そもそもナイトに繋がりそうな情報がゼロなのだから仕方ないといえば仕方ない。

 

 いくらナイトがイケメンだろうが、有名人ではないのだ。

 よっぽど特定のスポーツで頭角を現していない限り、探すのは難しい。

 自己顕示欲の塊のような姫乃さんなら、本名でSNSやってると思ったんだが、さすがに厳しかったようだ。

 

「あまりにも当てがなさすぎる」

「一周目のナイト君とは、どういう接点で知り合うはずだったの?」

「妹の愛夏の旦那ってことはわかってるんですよ。ただあの頃、家族含めて周囲に興味なさ過ぎて、出会いも含めて何も知らないんですよね」

 

 基本的に、人との関りは職場くらいだったからなぁ。

 大人になってから関わってたのって、同じチームのリリさんとトムさんくらいだったし。

 

「情報がなさすぎるよねぇ」

 

 ケイコ先輩がマーカーのキャップを外したり閉めたりしながら考え込む。

 

「地道に外部から当たるしかないかな。姫乃ちゃんの名前で調べられそうなところ、片っ端から」

「時間がかかりそうですね」

「そこは仕方ない。田中君も引き続き、心当たりを探してみて」

 

 一旦、ナイトの調査はそこで打ち切りになった。

 その夜。自分の部屋でポニテ馴染の加筆をしていると、スマホが振動した。RINEの通話着信だ。

 画面を見ると〝佐藤由紀〟の名前が表示されている。

 昨日連絡先を交換したばかりだというのに、もう電話がかかってくるとは思わなかった。パソコンから手を離して通話に出る。

 

「もしもし」

「あっ、出た。あたしだよー」

 

 スマホ越しに聞こえてくる声が、少しだけテンション高めだった。

 

「なんか、わざわざ電話してくれたんだな」

「だって連絡先交換したんだし、使わないともったいないじゃん」

「なんか用があったのか?」

「ないけど。なんとなく」

 

 なんとなく、か。

 そういえば、二周目では通話どころか用もないのに土日は俺の部屋に入り浸ってな。

 

「まあ、いいか。俺もちょうど話したかったところだし」

「えっ、ホントに? 良かった。暇だったんだよね」

 

 ヨシノリの声が明るくなる。

 それからしばらく、他愛のない会話が続く。

 

 学校の話。部活の話。最近読んだ漫画の話。

 

 ヨシノリの話し方は変わらない。早口で、次から次へと話題が飛ぶ。

 パソコンの画面を閉じて、ベッドに寝転がる。

 天井を見上げながら、ヨシノリの声を聞く。

 

 こんなにも単純なことが、こんなにも幸せだとは思わなかった。

 

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