疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
「そういえばさ」
ヨシノリが少しだけトーンを変える。
「最近、ちょっと面白いことがあってさ」
「面白いこと?」
「練習試合のとき、他校のサッカー部のマネが揉め事起こしてて」
「揉め事?」
「うちの学校のサッカー部のマネに向こうのマネがキレちゃってさ。練習試合の相手の男子がイケメンだったから逆ナンしてたみたいでね」
それは真面目なマネージャーからしてみれば、怒っても仕方ないだろう。
「なんでも、向こうのマネの子がその男子好きだったみたいでね」
「修羅場じゃん」
「なんか大変だなぁって思ったんだよね。その子、明らかに苦労してる感じで」
ふと、俺の脳裏にある可能性が過る。
「どんな奴だったんだ」
「背が高くて、イケメンで。なんか、ちょっと飄々としてる感じの人。キレてたのは一緒にいた清楚系の女子だったよ」
起き上がる。ベッドの端に腰を下ろして、スマホを強く握る。
背が高い。イケメン。飄々としている。一緒にいた女子はパッと見清楚系。
その組み合わせと起きているエピソードから手がかりを掴めた気がした。
「そうそう。あとで噂好きの子に聞いたら、その二人って幼馴染らしくてさ」
「幼馴染ねぇ」
「ああいうパターンもあるんだなぁって。なんか、ちょっとかわいそうで……」
一つひとつの特徴が、頭の中で重なっていく。
姫乃がサッカー部のマネージャーをしているとしたら。そしてナイトが同じ学校のサッカー部にいるとしたら。二周目で見てきた二人の関係そのままだ。
「ヨシノリ。その男子の名前、聞いてないか」
「あっ、そっちも聞いたんだけど、カナタと同じで田中って名前らしよ」
その一言で確信した。ナイトだ。
まさかヨシノリが鍵を握っていたとは思わなかった。
二周目では、仲間内から消えた仲間の運動部としての繋がり。それがこういった形で活きるとは思わなかった。
「カナタ? なんか急に静かになったけど、大丈夫?」
「大丈夫。ちょっと、気になる奴がいてさ」
「知り合い?」
「知り合いになりたい奴だな」
ヨシノリが少しだけ間を置く。
「なんか、カナタって最近積極的だよね」
「変わったんだよ、色々あって」
「そっか。良かった」
ヨシノリの声が優しい。
「カナタの良さをみんな知ってくれるとあたしも幼馴染として鼻が高いってもんよ」
冗談めかしたその言葉を黙って聞く。
ヨシノリは、ずっとそう思ってくれていたのだ。
一周目でも、二周目でも、それは変わらなかった。
「どの立場だよ」
「後方腕組み幼馴染ってやつ?」
ヨシノリが笑う。スマホ越しでも、その笑顔が目に浮かぶ。
それから少し会話を続けて、電話を切った。