疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第374話 一周目の新メンバーでオープンキャンパス

 高校二年になると、慶明大学のオープンキャンパスがある。

 付属校の生徒は参加が推奨されていて、外部の高校生も来ることができる行事だ。

 せっかくだからと、ヨシノリと喜屋武、それにゴワスを誘った。

 

 当日の朝。

 慶明大学の正門前で待ち合わせをすると、ヨシノリが先に来ていた。

 いつもより少しだけ気合いの入った格好をしている。髪もきちんと整えていて、ポニーテールがいつもより丁寧に結ばれていた。

 

「おはよう、カナタ」

「おはよう。早いな」

「まあ、ね」

 

 ヨシノリは少し照れたように視線を逸らす。その様子がどこかそわそわしていた。

 しばらくすると、喜屋武がやってきた。その後ろに、なぜかアミがくっついている。喜屋武の背中に半分隠れるようにして、おずおずとこちらを窺っていた。

 

「おっ、例のお友達も来たのか」

「きゃ、キャンちゃんに連れてきてもらったんです……大学って、どんな感じか気になって」

「わんが誘ったんです!」

 

 喜屋武が屈託なく笑う。

 最近ではすっかり二周目のごとく明るさを取り戻している。ただ、いまだに喜屋武が標準語でしゃべっているのは違和感が拭えない。

 それから少し待つと、ゴワスも現れた。

 

「よっ、奏太。やっぱ都内だとキャンパスの広さはそこまでだな」

「一応、都内にしては広いほうだぞ。えーと、そっちが奏太の幼馴染の佐藤由紀さんか?」

「あ、え? ……どうも」

 

 ヨシノリが無表情でゴワスに会釈する。明らかにテンションが下がっていた。

 

「……ヨシノリ?」

「なんでもない」

 

 ヨシノリはそっぽを向く。

 そのときになって気づいた。ヨシノリは自分だけ誘われたと思っていたのだ。それがこの人数では、がっかりするのも無理はない。

 

「悪い、ヨシノリ。ちゃんと伝えておけばよかったな」

「……別に、そんなんじゃないし」

 

 口ではそう言っているが、ポニーテールへの力の入れようを見れば明らかだ。

 うーん……この時期のヨシノリが俺に好意を持っているのかは不明なのがまたややこしい。小学校のときは好きだったと未来のヨシノリは言っていたが、どうなのだろうか。

 なんと声をかけるべきか迷っていると、見慣れない顔が近づいてきた。

 

「あっれぇ、カナタじゃん。お前もオーキャン来てたのか」

 

 まさかの平井だった。

 俺とヨシノリの幼馴染であり、女たらしのクズだが、どこか憎めない男である。

 

「お前は付属じゃないのに、なんで慶明に?」

「いや、大学ってどんな感じか見とこうかと思ってさ。最近、回ってるんだよね。キクりんとシューヤには振られちまったけど」

 

 それはそれで感心する話だが、平井の場合は下心が何割か混じっていそうだ。

 

「それなら、せっかくだし一緒に回るか」

「サンキュー」

 

 ヨシノリの視線が俺を刺す。

 また余計なのが増えた、と顔に書いてあった。

 

「あんたはどうせナンパ目的でしょ」

「ん? んん? もしかして、ヨシノリか!」

「……ま、初見で気づいてくれるのってカナタくらいよね」

 

 ごめん。全然初見じゃないんだよな。

 

 それからみんなで大学のキャンパスを回った。

 講義棟、図書館、学食、サークル棟。正直、二周目の去年にこの辺りは全部回ってるので新鮮味はなかった。

 ちなみに、リリさんは大学にいなかった。ゴワスに確認しようにも、姉がどこの大学に通っているかを聞くのはリスクだったのでやめておいた。

 情報の扱いには気をつけねば。

 

「だ、大学の図書館って、こんなに広いんですね……」

 

 アミが目を丸くしながら棚を見渡す。喜屋武も興味津々で背表紙を眺めていた。

 

「大学生になったら、ここで勉強するわけか」

「わんも通ってみたいけど、受験がなぁ……」

「ゴワスは大学どうするんだ」

「今は指定校推薦狙ってる。姉ちゃんにいろいろ聞いていいとこ探してるってとこだ」

 

 ゴワスが頭をかきながら言う。本人なりに考えているらしかった。

 ヨシノリはキャンパスの風景を写真に収めながら、少しずつ表情がほぐれてきていた。

 

「あれ、平井は?」

 

 学食を出たところで、ふと気づいた。

 さっきまで隣を歩いていた平井の姿がない。

 

「いつの間にいなくなったんだ」

「そういえば、ちょっと前から見てないさー」

「あいつ……」

 

 嫌な予感がした。

 

「ちょっと探してくる。みんなはここで待ってろ」

「一人で行くの?」

「すぐ戻る」

 

 ヨシノリの声を背中で聞きながら、来た道を戻る。

 中庭、講義棟の前、サークル棟の脇。そうやって順番に見ていくと、サークル棟の外のベンチに平井の背中が見えた。

 誰かに話しかけている。

 近づいてみると、相手は見覚えのある女だった。

 長い髪。整った顔立ち。どこか気を張ったような立ち姿。

 

 目下、探している人物である大瀬姫乃だった。

 

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