疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
ポニテ馴染がほぼ書きあがったこともあり、一部の漫研メンバーで俺の送別会が行われることになった。
メンバーはトト先、ケイコ先輩、俺、伊代の四人だ。
お菓子を並べて飲み物を用意してみんなで机を囲む。
窓から夏の夕暮れの日差しが、部屋の中へと差し込んでいた。
「皆さん。短い間でしたが大変お世話になりました。俺が帰ったあとも一周目の俺のことをよろしくお願いいたします」
ジュースの入った紙コップを掲げて、軽く頭を下げる。
「ついにこのときが来ちゃったかー」
ケイコ先輩が名残惜しそうにポテチを割りばしで摘まむ。
「二周目の君が来ていろんなことが変わったよ。一周目の田中君が戻ってきてどうなるかはわからないけど、あとのことは気にしないでね」
「カナぴのおかげでケイコも復活した。感謝してる」
トト先が静かに頷く。その横で、伊代も小さく笑った。
「二周目の先輩がいなくなるのはやっぱり寂しいですけどね」
「寂しがられるほど、長くいたわけでもないんだけどな」
「いや、充分長かったよ。それはもう濃密だった」
ケイコ先輩がコーラを飲んで、紙コップを置く。
トンッと、テーブルに小さな音が響いた。
「田中君が来てから、漫研の空気が変わった。都々ちゃんも前より喋るようになったし、私も漫画描けるようになったし。伊代ちゃんも入ってきた」
「それは俺のおかげじゃなくて、みんなが動いた結果ですよ」
「そうかもね。でも、きっかけは田中君だった」
「その通り」
トト先が頷く。伊代もポテチを一枚取って口に運んだ。
「先輩、二周目に戻ったら私のこと覚えてますか」
「覚えてるよ。てか、それ何回聞くんだよ」
「ごめんなさい。ちょっと不安になっちゃって」
伊代が小さく笑った。安心したような、寂しそうな笑顔だった。
それから、しばらくお菓子を摘まみながら雑談が続く。漫研の話。学校の話。最近読んだ本の話。他愛のない会話が、部屋の中に流れていく。
「そういえば、二周目の伊代ちゃんってどんな子だったの?」
ケイコ先輩が話題を変えた。
「二周目の世界を管理する役目を負わされていて、俺が二周目に戻るための手助けをしてくれました」
「へぇ。それって大変そうだね」
「大変そうでした。でも、本人は淡々とこなしていましたね」
「二周目が現実世界として安定すれば、神の代理から解放されるって言ってました」
伊代が補足する。トト先が眉を寄せた。
「現実世界として安定って、結局何?」
「うーん。並行世界が完全に独立した世界として成立すれば、もう管理する必要がなくなるとか、なんとか」
「なるほど」
トト先が頷く。ケイコ先輩がコーラを飲んで、少し考え込んでいた。
「あれ? そういえば、二周目の伊代ちゃんって田中君が〝神野塚伊代〟って名前を付けたんだよね?」
「そうですね。思いつきでしたけど、神の使いとかけて付けてみました」
「んー……うん?」
ケイコ先輩が怪訝な表情を浮かべる。
「どうかしましたか」
「いやさ、こっちじゃ普通に伊代ちゃんの家族もいるし、実在もしてるじゃん。田中君が名前を付けた神の代行と名前がぴったり同じなんて偶然あるのかな?」