疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
リメイク版ポニテ馴染は、大きな軌道修正を余儀なくされた。
一周目で再会したヨシノリ、そして新たに出会った喜屋武が俺に好意を抱いている。
その前提を組み込まなければいけなくなったからである。
「はぁ……どうして、こんなことに」
栄養ドリンクを飲みながら該当箇所を修正していく。
わかっている。悪いのは全部俺だ。
必要なことだったとはいえ、随分と強引な方法で二周目の仲間との縁を結んだ。
ヨシノリともできるだけ関わらないようにと思っていたのに、いざ再会したらこれだ。
まるちゃまで偶然会って、連絡先を交換して、電話して、遊びに行って。
気づけば二周目と同じくらい近い距離にいた。
すべては俺の意志が弱いから招いたことだ。
キーボードを叩く。文章を削って、新しく書き足す。
ヨシノリとの再会シーン。喜屋武との出会いシーン。二人の関係性。全部を書き直す。
二周目でアミに告白されたときも思ったが、気持ちに応えられない人から好意を向けられるのは想像以上に辛いものがある。罪悪感が胸の奥で重くなって、呼吸が浅くなる。
修正力による感情の抑制がないから猶更だ。
感情が生のまま動いている。抑えられていたものが解放されている。
その結果が、これだ。
栄養ドリンクを飲み干して、缶をゴミ箱に放り込む。金属音が響いて、また静かになった。
画面を見つめる。文字が並んでいる。
俺が書いた世界の続きが、そこにある。
ポニテ馴染のリメイク。二周目に戻るための鍵。
これを完成させなければ帰れない。
それに伊代のこともある。
俺が二周目に戻ったとき、伊代が消えるかもしれない。
その可能性がずっと頭の片隅に引っかかっている。
確証はない。でも、否定もできない。
だからこそ、残さなければならない――一周目の俺が二周目に行ったとき、何が起きたのかを知るための手がかりを。
「やっぱり、残しておかなきゃな」
リメイクを進めるのと同時に、俺は一周目の自分への手紙を書くことにした。
データではなく紙に書く。
筆跡が残り、間違いなく自分が書いたものだと証明できるものが必要だ。
机の引き出しから便箋を取り出す。白い紙に罫線が引いてある。
ペンを握って、最初の言葉を綴る。
『一周目の俺へ』
インクが紙に染み込む。文字が形になる。
何を書けばいいのか。
伊代のこと。ヨシノリのこと。喜屋武のこと。二周目で起きたこと。本来の一周目から変わったこと。
要点だけを絞り、ペンを走らせる。
便箋を折りたたんで封筒に入れる。封をして、机の引き出しの奥深くにしまう。
どうか、この手紙は修正されないことを祈るしかない。
世界が書き換わっても、この紙だけは残ってほしい。
それだけが、俺にできる抵抗だった。