疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
目が覚めると、そこは俺の部屋だった。
天井を見上げると、そこには見慣れた天井があった。それは一周目のときと変わらない。
しかし、俺は寝間着姿になっており、時刻もまだ六時。外はまだ薄暗い。
「戻って、これたのか?」
明らかに記憶が断絶しているこの感じは、世界の移動が行われたとみていいだろう。
身体を起こして、布団から出る。
「……結局どうなったんだ?」
問題は二周目にきちんと戻れているかということと、伊代がこっちで存在しているかどうかだ。
机の上を見る。スマホが置いてある。
「うっし! ちゃんとスマホに戻ってる」
一周目ではガラケーのままだった俺の携帯は、きちんとスマホに戻っていた。
手に取って画面を点け、ロックを解除する。
俺の携帯がスマホになったのは、成績上位をキープしていた二周目ならではの出来事だ。
一周目では、成績が中の下だったため買ってもらえなかったはずである。
「伊代は……あった!」
漫研のRINEグループを見てみれば、そこには伊代のアカウントが存在していた。
プロフィール画像、名前、全てが一周目の神野塚伊代だ。
果たして、あの上位存在なのか、一周目の伊代の記憶を持った存在なのか。
それはわからないが、可能性はまだ潰えていない。
トーク履歴を遡れば、伊代とのやり取りが残っている。
漫研の話。部誌の話。夏コミの話。
全部、一周目の記憶だ。
どうやら一周目での出来事が、俺がリライトしたポニテ馴染通り残っているようだ。
「期待は……して、良さそうだな」
そして、もう一つ確認しなければならないことがある。
ヨシノリに対する恋愛感情。
一周目では、修正力によって抑制されずに残っていた。二周目ではどうなっているのか。
ヨシノリの名前を思い浮かべる。
胸が温かくなり、心臓が早く打つ。
俺はヨシノリが好きだ。
その感情が、はっきりと胸の中にある。
「よっしゃあああ!」
思わず叫んで、ガッツポーズを取る。
抑制されずに、ちゃんと残っている。
ヨシノリを好きだという気持ちが、この世界でもちゃんとある。
「朝からうるさいよ、お兄ちゃん」
ドアが開いて、迷惑そうな表情の愛夏が顔を出す。
どうやら寝起きらしく、髪が乱れている。
「悪い、起こしたか」
「起こしたよ。何なの、急に」
「俺はヨシノリが好きだ!」
もう一度叫ぶと、愛夏が呆れた顔をする。
「私に言わないでよ。てか、知ってる……今更気づいたの?」
「今更じゃない。確認したんだ」
「はいはい。それで?」
「すぐに告白してくる!」
愛夏がため息をつく。
「いや、それもいいけどまず準備してからにしてよ」
「何の?」
「何のって」
愛夏が俺を見る。不思議そうな顔だ。
「お兄ちゃん、今日から修学旅行でしょ?」
その言葉に、視線がカレンダーへと移る。
そうだ高校二年生は、今日から修学旅行だった。
二泊三日で行先は鹿児島である。
「……そうだった」
「忘れてたの?」
「いや、覚えてた。ちょっとボーッとしてただけ」
「ボーッとしすぎでしょ」
愛夏が呆れながら部屋を出ていく。
俺はベッドから降りて、制服に着替える。
シャツのボタンを留めながら、窓の外を見る。
晴天だった。雲一つない青空は、まるで俺の心の中を映し出しているかのようだった。
みんながいる世界に、ヨシノリがいる世界に、二周目に戻ってきた。
そう思うと、胸の奥が温かくなる。
「修学旅行、か」
ヨシノリと一緒に行く修学旅行。
告白するなら、そのタイミングがいいかもしれない。
想像するだけで、心臓が高鳴った。