疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

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第394話 ちょっとお話しましょうか?

 集合場所へ向かいながら、俺はヨシノリの隣を歩いていた。

 並んで歩くこと自体は珍しくない。ただ、いつもと違うのは会話の密度だ。

 

「鹿児島、行ったことあるか?」

「ない。カナタは?」

「俺もないな」

「……そう」

 

 それきり沈黙が落ちる。いつもなら間を埋めるようにヨシノリがあれこれ話しかけてくるのだが、今日はそれがない。

 話しかけてくるタイミングを計っているような、妙な間だった。

 

「屋久島とか行くんだろ、今回」

「うん。ハイキングって聞いてる」

「体力あるから余裕じゃないか」

「カナタこそ死なないでよ。運動不足のくせに」

「死なない」

「絶対死ぬって」

 

 軽口が続き、内心胸を撫で下ろした。

 少しずつ、いつもの空気が戻ってきている。それだけで、心が温かくなった。

 集合場所に近づくにつれ、見知った顔が見えてくる。

 

「カナタン! ヨッシー! こっちさー!」

 

 喜屋武が大きく手を振っている。その隣にはナイト、アミ、そしてゴワスが並んでいた。ゴワスはスポーツバッグを肩に担いで腕を組み、どこか眠そうにしている。

 そういえば、ゴワスはゲーム実況動画の編集で最近は忙しいみたいだからな。

 

「おう、おはよう」

「二人して遅いじゃないですか。何かありましたか?」

「ヨシノリが迷子になってた」

「なってなかったから! ちょっと方向を確認してただけ!」

「迷ってたんですね、わかります」

 

 アミがくすくすと笑う。

 

「それにしてもよぉ……お前ら、仲直りは済んだのか?」

 

 欠伸をしながらゴワスが言った。

 一瞬、空気が止まる。

 

「別に喧嘩してないから」

 

 ヨシノリはさらりと答えた。嘘でも強がりでもない、本当に何でもないことのような口調だった。

 

「ゴワス」

 

 その言葉にゴワスが何か言おうとした瞬間、ナイトの肘がゴワスの脇腹に深々と刺さった。

 

「ぐっ……」

「そんなことより荷物の確認は終わったかい? パスポート不要だけど学生証は必要だからね」

 

 ナイトは何事もなかったような顔で話題を切り替える。その手際の良さに、俺は内心で頭を下げた。こいつは本当に察しが良い。

 ゴワスは脇腹を押さえながら黙り込んだ。

 

「カナタ君、ちょっといいですか」

 

 そのとき、アミの声が聞こえた。振り返ると、アミと喜屋武が並んで俺を見ていた。

 笑顔だった。満面の、笑顔だった。

 

「ちゅてえ話しをするさー」

 

 喜屋武も笑っていたが、目は笑っていなかった。

 

「な、何の話だ」

「大丈夫ですよ。怖くないですよ」

 

 アミが俺の左肩を掴む。喜屋武が右肩を掴む。

 

「ちょっと待――」

「行きましょうか」

 

 有無を言わさぬ力で、俺はその場から引き離されていった。

 

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