疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
そういえば、こいつらは秋葉原でカラオケの予定だったか。
「ふーん、あたしたちとはカラオケ行きたくないのにアミとはデートするんだ」
ヨシノリが拗ねたような声色で言う。その目にはどこか探るような色が混じっている。
「デート? 相談に乗りつつ、買い物に付き合っただけだぞ」
「カナタ。それは世間的にデートって言うんじゃないかな」
ナイトが肩をすくめながら悪戯っぽく笑う。
「か、カナタ君と私が、で、ででで、デート!? そ、そそそんなんじゃないです!」
アミの顔が見る見るうちに真っ赤になっていく。手元の袋が小刻みに震える。おい、機材入ってるんだから落とすなよ。
「……でも、カナタ君となら……悪くないかも、です……」
アミは視線を逸らしながら、こちらをチラチラみながら何か呟いていた。
「へぇ、大先生も隅におけねぇな」
「はぁ? 何言ってんだ、お前」
ゴワスが皮肉っぽく言いながら、上機嫌に笑ってきたので適当に返しておいた。鬱陶しい奴は、雑に対応するに越したことはない。
その後、家まで荷物を届けてもらうのは悪いと言われ、アミの父親が車で迎えに来ることになった。
そのため、俺たちは駅前で解散となった。
アミが手を振りながら車に乗り込むのを見届けてから、俺はヨシノリと共に秋葉原駅へと向かう。
ここからわざわざ神保町まで歩くも怠かったため、総武線で亀戸まで行き、そこから徒歩で家まで帰ることにしたのだ。
「で、カナタ?」
改札を抜けた瞬間、隣で腕を組んでいたヨシノリが声をかけてきた。低い声色といい、じとっとした視線といい、完全に拗ねている。
「何だよ」
「本当に、デートじゃなかったの?」
「だから違うって」
正直、デートと言われるとしっくりこない。
俺としては未来のクリエイター仲間を増やすための投資というか、そういう類のものだった。
「アミの相談に乗って、それで機材の買い物に付き合っただけだ」
カラオケで歌ったりした件については黙っておこう。さすがの俺でも、それを言うことが地雷だということはわかる。
「それに名前で悩んでいた美少女キャラが、トラウマを克服して得意な分野で活躍していくってのは、ストーリーとしても面白いだろ。タイトルは〝ギター少女アフロディーテ〟ってとこか」
そう言った瞬間、ヨシノリの歩みがピタリと止まった。
俺も思わず足を止める。
「……そういうとこ、ホントにカナタらしいわ」
「何がだよ」
「みんなをキャラとして見てるってこと」
淡々と告げると、ヨシノリは深く息を吐きながら、少しだけ笑った。
「まあ、カナタならそうだと思ってた。だから、そこまで気にしてないけどさ」
ヨシノリはそう言いながら、電車が来たことを告げるアナウンスに耳を傾けた。
俺たちはそのまま総武線に乗り込む。
亀戸駅に着くまでの間、ヨシノリは先ほどまでの不機嫌が嘘のようにご機嫌な表情を浮かべていた。
うーん、どういうロジックで機嫌が直ったのだろうか。